- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086041
感想・レビュー・書評
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没後発表された短編三作品を収録。デビュー作の「移動動物園」は人間の残酷な面と思い通りにならないジレンマが描かれている。「空の青み」はマンション管理人とそこに暮らす人々のコントラストが巧みに表現されている。「水晶の腕」は同じ職場にいながら他者との差別化と優越性を若さと恋人の有無という立場から見つめている。
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生まれる前に書かれた本。所々昭和な感じの描写がとても良い。出てくる人みんな薄暗くて人間臭くて良き
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ひりひりするなー。そこ書きますか…という汚さもふくめ、不器用な若者たちの、仕事をし、生きていく様子が胸に響く。自分はもう若くないわという実感とともに。
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生前は目立つ評価を受けずに夭折したものの、近年の再評価が著しい佐藤泰志のデビュー作。
表題作をはじめとしてここに収められた3つの短編は、いずれも寄る辺なき労働者の生活をビビッドに描きだす。この時点で、独特の言語感覚に基づく風景や心理描写のテクニックが荒削りながらもみられ、その後の傑作に繋がる片鱗をうかがわせる。 -
1977年発表の表題作と1982年、83年発表の2作品を収めた短篇集。
普段は芥川賞の候補になるような作家の作品は読まないのであまり比べることは出来ないが、このように内面を掘り下げる作家はやはり、2015年近辺の現代にはそう居ないだろうなと思う。 -
夢中になって頁を繰るとまではのめりこめず。
でも、「水晶の腕」はそこそこがっつり読めた。
淡々とした筆致の中に、宝物が隠れてる気配。