こうふく あかの (小学館文庫)

  • 807人登録
  • 3.17評価
    • (12)
    • (62)
    • (118)
    • (35)
    • (6)
  • 81レビュー
著者 : 西加奈子
  • 小学館 (2011年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086089

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

こうふく あかの (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • ★4.5!

    良かったー!
    さすが西さん。
    何て言うか、この言葉が面白いとか、
    登場人物が、とかそういった細かいことでなく、
    描かれている、町が、生活がすき。
    描かれていない日常までも想像してすき。

    きっと何気ない日常を表現するのがうまいんだろうな、と。
    だから世界が見えるし私もそこに住める。
    そんな不思議な感じ。

    話は戻って、本作品は
    こうふく みどりのと、時代や町は一緒だけど、
    内容も、人も全然違う、別のお話。
    でもあとがきで西さんが言うように、
    些細なことで繋がってることを発見したとき、感じたとき、こうふく感を得た。

    例えば同じ登場人物が出てきたとき、
    あ、この人この前会った!!!
    というような、リアルな既視感を感じた。

    不思議。


    主人公はものすごく物事を達観してる、
    一見完璧な人間。

    人のことを内心小バカにして、
    自分が一番。そんな人。
    でも嫌いになれない。
    客観視出来てしまう人間にしか分からない寂しさ、切なさがある。
    私もそう。
    すごく共感できた。

    ほんとは周りの“バカな人間“のように、
    感情を全面に出したり、
    周りを気にせず自分勝手に生きたりしたい。
    それでもって周りに好かれるなんて…!!?
    心底羨ましい。
    そんな感じ。

    本編の合間合間に描かれる少しだけ先のプロレスの世界。
    これも面白い。
    ロマンというのかな?
    男っていいなー!
    …けど女で良かった!
    そう思う作品。

    こうふく みどりの とは違った家族愛。

  • ふたつの話が交互に進んでいくんですが、
    最後にびっくりの展開でつながるというお話。

    ひとつめがとある三十代の夫婦のお話で、
    夫は会社ではできる社員で、家でもいい旦那で。
    でも奥さんのことをすごくバカにしてて
    そこそこ可愛いけどバカで俺がいなきゃ何もできない
    と思っているんだよね。
    まずそこがイライラするポイントなんだけど。
    旦那様は裏の裏とか考えて良い上司を装ってるタイプで、そこもイライラするんだけど。
    とにかく腹立つんだよね。
    ある日、奥さんが妊娠するんだけど、
    この夫婦はしばらくそんなことしてないので
    必然的に奥さんの浮気になるんだよね。
    旦那様は内心ブチ切れるんだけど、大人な人間を装って
    冷静なふりをするんですよ。
    でも奥さんが産むって言い出して、
    旦那様も社会的にかっこ悪いから離婚したくなくて。
    会社のデキナイ同期の紹介でリングがある居酒屋に行くんだけど、
    その動機にだけホントのことを話すんだよね。
    その居酒屋にデビュー前の大きなプロレスラーと小さなトレーナーがいるんだけど。
    旦那様は奥さんが好きだからじゃなくて、プライドを傷つけられたってことで怒ってるんだよね。
    そして、母としてどんどん強くなっていく奥さんに
    モヤモヤしだしてキレて誰の子なのか聞き出すんだよ。
    そしたらなんと、旅行先で襲われてそのままそうなったと。
    奥さんは旦那様が自分に無関心なことが寂しかったんだよね。
    そして産まれた子供が浅黒い巨大児。
    赤ちゃんと自分が同じ道を共有したことに嫉妬して、
    一生この子供を愛せないと思っちゃうんだよね。

    もう一つの話は無敗のプロレスラーの話。
    覆面してるけど体が大きくてめちゃめちゃ強い。
    セコンドに小さいおじさんがいて。
    二人共すごい個性的なんだけど、かっこよいんです。
    プロレスラーとして戦う限りは、死ぬ覚悟で戦う!
    その覚悟があるから勝てる。と。
    歳をとってきて、そろそろ負けるんじゃないかって言われてるときに、
    得体のしれない新人からの挑戦を受けて試合して…
    そのプロレスラーが…

    時代がずれていて、最後はうまく噛みあうという
    命の大切さとか、夫婦の関係とか。
    どういうふうに子供を愛するのか。
    最終的には自分の子供を誇りに思うことができるんだけど。
    いろんな思いがあったんだろうなと。
    素敵なお話でした。

  • 西さんにしては駄目じゃない人が主人公 ある意味駄目なんですが
    プロレスが題材になってる作品、プロレスを知る人間ならより楽しめる
    ただアムンゼンと新人レスラーの試合の描写は残念に思った
    兎島と主人公のやり取りは結構良かった

  • 猪木…素晴らしい人なのですね。

    人は赤いトンネルを生死をかけて通ってくる。
    命を生み出す器と世界を結ぶ道。

    神秘とはこういうことなのだろうなぁ。

  • 「みどりの」を読んでいないせいか、それとも自分が男だからなのか、いずれにせよここまで理解できない作品も珍しい。
    面白いとか、面白くないとか、そんな次元ではなく、ただただこの作品の本題がわからなかったので評価不能です。

  • 新しい形のハッピーエンド。

  • 読み始めは、物語に入っていけるかな〜と思ったけど、読み進めるうちに引き込まれていった。新しいジャンルの本で私的には新鮮だった。2017/3/11完読

  • あたたかかったです。さいごがとてもあたたかかったです。ああ、(主人公を、その姿に重なる自分なのか人なのかを)救ってくれてありがとうございますと西加奈子さんに心の中で呟きました。解説にもうひとつのこうふくの本が書かれていてまだ買ってないその本も読みたいと思いました。西加奈子さん読み続けてるから(?)ほっこり。

  • 男とは。父とは。赤いものとは。繋がりとは。プロレスとは。まっすぐに生きることの何が悪いのか。ひたむきに生きることは間違いか。男心を少し理解でき、男性という存在を愛しく思える、そんな一冊。

  • 「こうふく みどりの」と若干、本当に若干かぶる話。

    職場で完璧な上司を演じていたし、家ではちょっと頭の足りないでも美人な妻もいる。自己満足に浸った日々にある日青天の霹靂が起きる。3年間セックスレスだった妻に「子供ができた」というのだ。

    男気を見せて「俺の子として育てる」というものの、段々嫉妬の感情に支配され、しかも相手は外国人という事も分かり、もはや自分が父親と証明できるものは何もないと分かった時に出産を迎える。

    同時進行するのは2039年のプロレス界。
    国籍不明の天才レスラー、アムンゼンの前に、同じく国籍不明で新人のサミー・サムが現れる。彼の試合の最前列では貧相な男が「俺の息子だ!」と叫んでいる。

    巻末で作者と西原理恵子さんの対談が載っていて、「遺伝子を運ぶ船」の話をしていたが、なんだかこの本を読んだ後にこの話を聞くと感慨深いなと思った。

  • 自分の子ではない子を産むと言われた夫と、プロレスラーの話。ちょっと今一歩だと思った。本作と姉妹関係にある「こうふく みどりの」の方が良かったな。みどりの方がストーリー展開に興味が湧いた。

  •  39歳の中間管理職・靖男の、突然妻が他人の子を宿す話と、2039年、衰退しつつあるプロレスで、無敵の王者を誇るアムンゼン・スコットの物語が交錯するように進んでいく。
     最後は二人の物語と、こうふくのみどりともすべてがつながり、ちょっとした快感を得ることができる。

     靖男はシンプルに言うと嫌なやつだ。計算高くて、いつも周りを見下してて、自意識過剰。嫉妬に類される醜い感情が嫌いだから、いつも安全地帯から物事を見ている。嫌なやっちゃな〜と思ってふと考えると、「自分もこんなんやん。」と気付く。挫折を知らない友人にも、こういうタイプは多い。
     そんな彼が、恥も外聞も捨てて、アムンゼンに挑む姿へ「俺の息子だ!」と叫ぶことになるまでに、どんな道があったのだろう。彼が世の中で最も嫌悪していた嫉妬という感情を乗り越えるまでの期間。そこに思いを馳せると、落涙を辞さない。
     女は、膣で考えている。でも、その赤い道は、誰もが通る道だ。

     アントニオ猪木対ストロング小林戦は観たことないけど、同じ瞬間を多くの人が共有し、そして前に進んでいく。それって、なんて美しいことなんやろう。本でも芸術でもスポーツでも景色でも、人の心を動かしてくれる存在は偉大だ。

  • こう言うことを言うと、誤解を生むかもしれないが、女性だから書ける男性小説。

  • 2007年、妻が他の男の子どもを妊娠するサラリーマンの話。
    2039年、小さなプロレス団体に所属する無敵のレスラーの話。
    2つの話が交互に描かれます。面白かったです。全く関係ないと思われた2つの話の繋がりが見えたとき、小さな感動が生まれました。
    『こうふく みどりの』の緑ちゃんも同じ世界に生きているんだよね。いや、他の西作品の登場人物も。なんだったら、他の作家の小説の登場人物も、みんなみんな。…不思議な気持ちになります。
    2007年の主人公の自意識過剰ぶりは、イライラとか通り越して笑えました。

  • この主人公、こういう人いるんだろうな。
    一生懸命ヒトカラ見た理想の自分想像しながら生きてる人。
    私もどっちかっていうとそっちだわ笑
    でも、章ごとに数十年先のプロレスの試合の話が出てきて、ああこうふくな将来に繋がったんだなと読み取れた。
    みどりの方も読もうかな。
    バリ島が関係あったから、バリのプールサイドで読んだ笑

  • 最後、ちゃんと幸せになってよかった!

  • 同タイトルで「あか」と「みどり」の二冊。双方の違いは「あか」は純文学で「みどり」はエンタメと分類。そして主人公が男か女か。みどり→あかと読むとおもしろさが倍増。私は逆だったが、それでもおもしろかった。腹黒くしたたかな主人公が妻の裏切りで怒りをあらわにし・・・的な内容だが、それは怒るだろうと私は思う。プロレス好きならもっとおもしろいかも。

  • 取り繕いは、ただの自分だまし。

  • 「こうふくみどりの」と
    合わせて読めば、
    不思議と 繋がって。
    それぞれが完結したお話だけど、
    二冊まとめて読むことで
    壮大なストーリーが味わえ、
    感動は深まります。

  • みどりの、を読んでからだったので
    あれとこれが繋がって、って整理しながら
    読むのが楽しかった。
    真面目な人ほど絶望した時の狂い方は
    怖いんだろうなあ。そんな自分が嫌いで
    その自分をイラつかせてる相手も嫌でって
    ループ。嫌だなあ〜。
    生きる、産まれる、産む、
    壮大なテーマのようだけどすらっと読めました。

    老婆二人は、みどりの、に出てくる
    人なのかな?みどりちゃんなのかな?

    西さんの、
    全然知らない人も本当は繋がっていて
    みーんな同じ輪の中にいるんだよって
    表現がすごく好きです。

    一人じゃないなあって思えます。

  • この奥さん、私生理的にちょっと無理。

  • つながったーー

    なんかすごい設定だった。
    プロレス興味なかったけど
    観てみようかな。。猪木戦。

    装画がいくえみ綾♡

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。二〇三九年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。この二つのストーリーが交互に描かれる。三十九歳の俺は、しだいに腹が膨れていく妻に激しい憤りを覚える。やがてすべてに嫌気がさした俺は、逃避先のバリ島で溺れかけ、ある光景を目にする。帰国後、出産に立ち会った妻の腹から出てきた子の肌は、黒く輝いていた。負けることなど考えられない王者、アムンゼン・スコットは、物語の最後、全くの新人レスラーの挑戦を受ける。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    これまたびっくりするくらい非現実的なお話。
    いくら妻が茫洋な?女性だからって、他人の男の子どもを産むと言い張るとか考えられないし、それに流されて受け入れる旦那様も正直ありえない...

    個人的な価値観の問題でもあるかとは思いますが。
    里親とかいるよねとか養子とかいるよねとかそういう問題じゃないですよね(´・ω・`)

    そもそもそこからおかしいと思ってしまって。
    正直あまり楽しめなかった。

    未来のプロレスラーのお話と交互にストーリーが進んでいくのですが、寡黙な無敗のプロレスラーの生きざまはかっこよかった。

    主人公の男性(サラリーマンの方)がね。
    底が浅すぎてね。
    でももちろん、作者はそれを狙って書いているんですよ。

    こいつ底の浅い、嫌味でバカな男だなぁ、と思わせるように。

    そうそして私も見事にはまります。
    なぜなら、この人ちょっと嫌だな、って気持ちがないと、ラストでの感動(大げさ)に繋がらないから。

    いい人じゃダメなんですよ、きっと。

    奥さんも含めた周りを全部見下して、こうすれば好かれるだろうことを臆面もなく(無理しつつ)演じて、他人の眼で認められることでしかバランスを保てない主人公。

    そしてそのバランスを保つために、妻が身ごもった他人の子供も自分の子供のふりをする。

    でも、その演技が自分の思うものとずれてきて、なおかつ子供のこともあって、どんどんバランスを崩していく。

    言いかえれば、人間ぽくなって行く、のかな。

    それにしてもこの作者なぜこんなにプロレスが好きなんだろう><
    内容的にも、装丁的にも、手に取るのは女子が圧倒的に多そうな気がするけど。
    そんな女子たちのニーズにプロレスは合っているのだろうか?なんて余計な心配ですが。

    さらりと読むにはおススメの本です。
    ...「みどりの」の方が、私は好きですけどね

    ま、それはともかく、
    ぜひ最後まで読んでくださいね^^

  • たまたま目について手にとっただけにしては、ちょっと新しい感じで面白かった。

  • すぐ読めちゃった。
    現代と近未来の二段構えの進行なんだけど、繋がってくるんだろうなと予想しながら読んだ。
    現代の「俺」、きっとこういう人嫌い。
    でも自分もこんなかも。
    人からどう見えるかばかり気にして、何が大事かわかってない。
    だけどきっと、わかったんだと思う。
    二つの時代の隙間に彼は変わったんだと思う。
    やっぱり西さんはどんな人のことも愛してくれるんだなあ。

全81件中 1 - 25件を表示

こうふく あかの (小学館文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

こうふく あかの (小学館文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

こうふく あかの (小学館文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

こうふく あかの (小学館文庫)の作品紹介

結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。二〇三九年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。この二つのストーリーが交互に描かれる。三十九歳の俺は、しだいに腹が膨れていく妻に激しい憤りを覚える。やがてすべてに嫌気がさした俺は、逃避先のバリ島で溺れかけ、ある光景を目にする。帰国後、出産に立ち会った妻の腹から出てきた子の肌は、黒く輝いていた。負けることなど考えられない王者、アムンゼン・スコットは、物語の最後、全くの新人レスラーの挑戦を受ける。

こうふく あかの (小学館文庫)の単行本

ツイートする