こうふく あかの (小学館文庫 に 17-5)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086089

感想・レビュー・書評

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  • 「こうふく みどりの」と若干、本当に若干かぶる話。

    職場で完璧な上司を演じていたし、家ではちょっと頭の足りないでも美人な妻もいる。自己満足に浸った日々にある日青天の霹靂が起きる。3年間セックスレスだった妻に「子供ができた」というのだ。

    男気を見せて「俺の子として育てる」というものの、段々嫉妬の感情に支配され、しかも相手は外国人という事も分かり、もはや自分が父親と証明できるものは何もないと分かった時に出産を迎える。

    同時進行するのは2039年のプロレス界。
    国籍不明の天才レスラー、アムンゼンの前に、同じく国籍不明で新人のサミー・サムが現れる。彼の試合の最前列では貧相な男が「俺の息子だ!」と叫んでいる。

    巻末で作者と西原理恵子さんの対談が載っていて、「遺伝子を運ぶ船」の話をしていたが、なんだかこの本を読んだ後にこの話を聞くと感慨深いなと思った。

  • 自分の子ではない子を産むと言われた夫と、プロレスラーの話。ちょっと今一歩だと思った。本作と姉妹関係にある「こうふく みどりの」の方が良かったな。みどりの方がストーリー展開に興味が湧いた。

  •  39歳の中間管理職・靖男の、突然妻が他人の子を宿す話と、2039年、衰退しつつあるプロレスで、無敵の王者を誇るアムンゼン・スコットの物語が交錯するように進んでいく。
     最後は二人の物語と、こうふくのみどりともすべてがつながり、ちょっとした快感を得ることができる。

     靖男はシンプルに言うと嫌なやつだ。計算高くて、いつも周りを見下してて、自意識過剰。嫉妬に類される醜い感情が嫌いだから、いつも安全地帯から物事を見ている。嫌なやっちゃな〜と思ってふと考えると、「自分もこんなんやん。」と気付く。挫折を知らない友人にも、こういうタイプは多い。
     そんな彼が、恥も外聞も捨てて、アムンゼンに挑む姿へ「俺の息子だ!」と叫ぶことになるまでに、どんな道があったのだろう。彼が世の中で最も嫌悪していた嫉妬という感情を乗り越えるまでの期間。そこに思いを馳せると、落涙を辞さない。
     女は、膣で考えている。でも、その赤い道は、誰もが通る道だ。

     アントニオ猪木対ストロング小林戦は観たことないけど、同じ瞬間を多くの人が共有し、そして前に進んでいく。それって、なんて美しいことなんやろう。本でも芸術でもスポーツでも景色でも、人の心を動かしてくれる存在は偉大だ。

  • この主人公、こういう人いるんだろうな。
    一生懸命ヒトカラ見た理想の自分想像しながら生きてる人。
    私もどっちかっていうとそっちだわ笑
    でも、章ごとに数十年先のプロレスの試合の話が出てきて、ああこうふくな将来に繋がったんだなと読み取れた。
    みどりの方も読もうかな。
    バリ島が関係あったから、バリのプールサイドで読んだ笑

  • 最後、ちゃんと幸せになってよかった!

  • 同タイトルで「あか」と「みどり」の二冊。双方の違いは「あか」は純文学で「みどり」はエンタメと分類。そして主人公が男か女か。みどり→あかと読むとおもしろさが倍増。私は逆だったが、それでもおもしろかった。腹黒くしたたかな主人公が妻の裏切りで怒りをあらわにし・・・的な内容だが、それは怒るだろうと私は思う。プロレス好きならもっとおもしろいかも。

  • 取り繕いは、ただの自分だまし。

  • 「こうふくみどりの」と
    合わせて読めば、
    不思議と 繋がって。
    それぞれが完結したお話だけど、
    二冊まとめて読むことで
    壮大なストーリーが味わえ、
    感動は深まります。

  • みどりの、を読んでからだったので
    あれとこれが繋がって、って整理しながら
    読むのが楽しかった。
    真面目な人ほど絶望した時の狂い方は
    怖いんだろうなあ。そんな自分が嫌いで
    その自分をイラつかせてる相手も嫌でって
    ループ。嫌だなあ〜。
    生きる、産まれる、産む、
    壮大なテーマのようだけどすらっと読めました。

    老婆二人は、みどりの、に出てくる
    人なのかな?みどりちゃんなのかな?

    西さんの、
    全然知らない人も本当は繋がっていて
    みーんな同じ輪の中にいるんだよって
    表現がすごく好きです。

    一人じゃないなあって思えます。

  • この奥さん、私生理的にちょっと無理。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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