- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086188
感想・レビュー・書評
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以前から読みたかった夏川さんの小説。
難しい手術をするスーパー外科医ではなく、地方病院内科医の一止が主人公。話し言葉が変だけど漱石の草枕を愛読するとそうなるらしい。自分も読んでみようか。表紙の女性は一止の妻ハルでとても可愛い設定で良し。シリーズものなので続きも是非読もうではないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生かすだけのために治療するのが医療ではない。
もう治らないと大学病院から見放された患者を受け入れるのが医師一止の病院。最期を看取る事が多い中、延命治療はせず亡くなった旦那さんに逢いに行かせてあげようという一止たちの想いに涙した。
漱石の口調が時代を困惑させるが、癖になる。一止の周りのみんな、個性が強くて堪らない -
とても読みやすく、死と医療という重く切ない内容ですが、それぞれキャラが個性的で重くなりすぎず暖かいストーリーになっています。
今さらながらのこのシリーズですが続けて読みたいとおもう(^^) -
あ〜〜。
気をゆるしてたな〜。
職人気質で気難しいけどゆるくてほのぼの。
シビアで多忙な現場を飄々と切り抜ける。
そんなお医者さんの毎日。
お医者さんの話だと
『ブラックジャックによろしく』くらいしか読んだことないから
それにくらべると、ヒリヒリ感なく
ユーモラスでゆるい雰囲気だなぁ、なんて
油断してたんですよ。
だもんで満員電車で読んでたんです。
そしたら、
止められなかったな。。。
涙。。。
あ〜〜。
気、ゆるしてたな〜。 -
夏川草介 著「神様のカルテ」を読みました。
主人公は信州にある24時間、365日対応の病院で働く29歳の内科医。休む間もない診察を続けていく毎日を過ごしながら、大学で最先端の医療を学ぶべきか、死を前にした患者のために働くか、悩む主人公。そんな彼の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者からの思いがけない贈り物だった。
医療の現実や命の尊さが、一人の医者とその妻や同僚、患者たちを通して描かれていました。
登場人物はいずれも一癖も二癖もあるような人たちでしたが、ひたむきに医療に取り組む主人公を支える存在で、とても温かい印象を受けました。
また主人公は夏目漱石をこよなく愛するちょっと古風な先生として描かれ、今までにないキャラクターでとても新鮮でした。
そんな彼が最後の決断をする時の言葉が印象的でした。
「思えば人生なるものは、特別な技術やら才能やらをもって魔法のように作り出すものではない。人が生まれおちたその足元の土くれの下に、最初から埋もれているものではなかろうか。(中略)迷うた時こそ立ち止まり、足元に槌をふるえばよい。さすれば、自然そこから大切なものどもが顔を出す。」
今の自分の心にしんみりとにじんでくるような言葉でした。 -
追記:
「神様のカルテ2」を読み終えた今、大狸先生と古狐先生の掛け合いをもう一度読み返したい。
白い巨塔たる大学に戻れば最先端の医療を学ぶことができる。だが、大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医師でありたい・・・。一止の思いが美しく描かれすぎていて、大学病院の勤務医がドライであるように見えてしまう構図が少し残念。大学病院だって大変なんだよ・・・。安月給で人間関係もややこしいし。
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よかった。主人公の愛妻のハルがたまらなく可愛い。
映画では宮崎あおいちゃん。ごっつイメージ通り。
大学病院と地方の総合病院ってこんなに違いがあるのかね?
大学病院しか知らないからそこのところのリアリティが良く分からないけど、筆者は実際お医者さんだから変に膨らましたりはしてないか。。
学士さんの一件がすごい良かったなぁ。
あとおばあちゃん患者さんのところ。-
まっき~♪さん
こんにちは。わぁー、なんだか仲間を見つけた気分です(^o^)ありがとうございます☆
大学病院に勤務している身なのでこ...まっき~♪さん
こんにちは。わぁー、なんだか仲間を見つけた気分です(^o^)ありがとうございます☆
大学病院に勤務している身なのでこの作品は余計に面白おかしく読んだ記憶があります。
私の本棚、雑然としてますがフォロー嬉しいです♪こちらもフォローさせてくださいね☆2012/06/12
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神様のカルテ
彼らは再び世の中という大海原に向けて船を出す。難破を恐れて孤島に閉じこもる人々ではない。生きにくい世の中に自分の居場所を見つけるために何度でも旅立つ人々だ。そういう不器用な人々を奇人と噂するのは、生きることの難しさを実感したことのない凡愚の妄言である。
「心臓はかくも見事に役目を果たしている。だが、心臓の持ち主が死を望んでいるのであれば、この拍動もただ血液を送り出すだけの機械運動に過ぎない。」「人は機械ではないのだ」
「学問を行うのに必要なものは、気概であって学歴ではない。熱意であって体裁ではない。大学などに行かずとも、あなたの八畳間はまぎれもなく哲学の間であった。あの部屋には思索と英知が溢れ、ひらめきと発見があった。こんなことは今さら言葉にするまでもないことだ。八年をすごしたその探究の道になにを恥じ入ることがある」
「持っていけ、それだけの気概にこの俵一つがあれば、冬も越せよう。一度捨てた命なら、飢えも寒さも恐るるに足るまい。見事家族を守ってみせよ」
「門出には桜が似合うだろう?」
「こいつは敗北ではない、門出だぞ、学士殿!」
「この一歩は前への一歩だ。前進なんだ。そのための花道だ。絶対忘れるな!」
「一に止まると書いて、正しいという意味だなんて、この年になるまで知りませんでした。でもなんだかわかるような気がします。人は生きていると、前へ前へという気持ちばかり急いて、どんどん大切なものを置き去りにしていくものでしょう。本当に正しいことというのは、一番初めの場所にあるのかもしれませんね」
「でも、最後の最後にこんな幸せな時間が待っていたなんて、本当に人生というものはわからないものです」
迷うた時にこそ立ち止まり、あしもとに槌をふるえばよい。さすれば、自然そこから大切なものどもが顔を出す。
そんなわかりきったことを人が忘れてしまったのは、いつのころからであろうか。
足もとの宝に気づきもせず遠く遠くを眺めやり、前へ前へとすすむことだけが正しいことだと吹聴されるような世の中に、いつのまになったのであろう。 -
とても心温まる物語でした。
近くにあるものが本当に大切だったと気づくのは、
遠くに離れてしまったとき。
大切な人を亡くしたとき、もっとああしていればよかった、と思うんですね。
リアルな医療の世界と、
奇人ばかりで変わった言葉使いの御嶽荘の住人の
コントラストが良かったです。
特に学士殿の見送りシーンには号泣しました。
200ページ弱と短く読みやすかったのですが、
このストーリーをもっと楽しみたかったというのが
正直な感想です。
あと50ページぐらいあれば良かったと思いました。 -
ほのぼのとした物語だった。救急現場なのに重苦しさがなく、会話もコミカルで楽しかった。