小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086423

感想・レビュー・書評

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  • 忍びの国、のぼうの城に続き、和田さんの作品は3作目。

    面白かった!
    前の2作よりも展開が早く、すんなり入り込めた。
    人物の心理描写がより深くなっているのかも。
    本来なら痛快であるはずの、敵を次々と撃ち落としていく場面がとても切なかった..
    物語の最後も戦国の時代だからこその結末。
    ロマンですね。

  • 史実にはないフィクションのお話であるとあとがきに書いてありました。
    それでも当時の時代背景、男たちの価値観や美徳などがとても魅力的に描かれており、そんな時代を、そんな時代らしく豪快に生きた半右衛門。それとは対照的な小太郎の少しずつ絡んでいき、迎える壮絶な最期にはとても感動しました。

  • 戸沢家の武功者『功名漁り』こと林半右衛門と児玉家で『功名餓鬼』の異名をとる花房喜兵衛そして、小太郎の物語。 小太郎は祖父の要蔵にその才をひた隠しにされていたが実は群を抜く銃の使い手だがそんな小太郎の望むものは『人並みになる』こと。『人並みになる』ということは喜びだけではなく、悲しみも苦しみもすべて引き受けるということ。それを享受したとき小太郎はどうするのか。 もう、どうして戦国の時代ってこうなんだ。考え方が格好いいと言うのか、それとも阿呆というのか。呆れる。けど、格好いい。 和田竜さんの作品で1番すき。

  • タイトルの左腕とは火縄銃を左構えで撃つ事だった。半右衛門という武将が中心でテンポ良く読めた。ストーリーの途中で現在との比較や解説をしてくれる場面が特に好き。

  • 和田さんの作品はどれも好みだが、その中でも一番のお気に入り。
    「のぼうの城」が面白さに痛快さを、「忍びの国」が面白さに人間臭さを、「村上海賊の娘」が面白さに愉快さを足した作品なら、この「小太郎の左腕」は面白さに刹那さを足した作品と言えるだろう。
    登場人物たちがもつ男の誇りとそれによって生まれる一瞬の輝きが強烈な一冊。

  • 雑賀衆、出た!

    戦国時代の男は、単純豪傑で、かっこよい。
    哀しい中にも清々しい生き様。

  • 読後は清々しくも、涙が止まらなかった。この時代の武者魂には心底惚れる。と、同時に小太郎の優しさ、才あるがために負った苦悩の運命。いちばん納得のいくラストはこれしか無いとは言え、ただ涙。

  • その後小太郎はどうなったのだろう。戦に関わらず暮していれば良いなあと思いました。

  • 銃の天才、清らかで無邪気な小太郎が、戦に巻き込まれていく。和田竜さんの本は、どれも史実に基づき綿密に積み上げられていてリアル。小太郎も、本当に存在していたんじゃないかと思ってしまう。可哀想な小太郎。

  • 戦国時代の初期頃、まだ織田信長などが火縄銃の戦術を前面に戦い始める前の頃。そこに生きていた小太郎という天才的な火縄銃の使い手がいた。ただ、祖父はその技術を決して表に出させず、ある意味惚けた馬鹿な子どものように育てていた。火縄銃を使わなければ心優しい純粋な少年であるその生き方を祖父は小太郎に息させたいと育てていたのだ。そのため小太郎は左利きで特殊な左利き用の火縄銃でなければその実力を出すことが出来ないように祖父はその本当の腕を出せないように育てていた。

    戦国の中この少年の腕を見抜いた武将半右衛門は城下の火縄銃大会に参加させることを少年と約束し、その大会でその腕を認めさせる。そして、戦が始まり半右衛門の陣営は城に籠城する作戦を立てるが壊滅的な状況になり、小太郎を騙して連れ帰り、戦でその火縄銃の腕を発揮させ戦に勝つことを城主から命令され半右衛門は城を抜け出し小太郎の祖父を殺し、祖父を殺したのは相手陣営の武将たちだと嘘をつき相手方の武将をことごとく火縄銃で撃ち殺し、半右衛門の陣営に勝利をもたらす。

    半右衛門はそもそも嘘をつくことがなくそういう教育を受けて育ってきた武将で、その嘘をついて小太郎を利用したことで自分を責めふぬけの武将へと様変わりしてしまう。

    小太郎を騙したことを苦にして豪快な武将としての資質も失い小太郎の運命が狂い始めた時もそれを守ることが出来なくなる。小太郎はその火縄銃の腕を恐れられ味方の側からも恐れられ殺しておくことが最善の策だととらわれの身となる。この事により半右衛門は小太郎を守ることを元の武将としての資質を取り戻し、小太郎に嘘をついて相手方を殺させたことや自分が祖父を殺害したことも小太郎に伝え自分の味方の陣営ではなく相手方の信じられる武将に小太郎を差し出し預ける。

    小太郎のこの左利きの火縄銃の技術がなければきっとこんな殺戮をする事も無かったし、純粋なままの少年として育ったはずだが、戦国の戦の中に組み込まれたらそれは恐ろしい火縄銃の使い手となってしまう。それは本来の少年が望んだ生き方では無いと言うことを半右衛門も分かっておりその人生を狂わせたことを悔いていた。そしてまたそれぞれの兵を率いて戦が始まる。

    全てを話し小太郎の怒りを自分に向けた半右衛門はその戦で小太郎の怒りを自分に受けようとして相手方の武将に託し、その後は元の暮らしに戻れるようにと小太郎を預ける時に頼んでいた。それが分かる武将でもあった。

    最後の戦いが始まり半右衛門は小太郎に向かって馬を走らせる。

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