ジェローム・ロビンスが死んだ (小学館文庫)

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著者 : 津野海太郎
  • 小学館 (2011年11月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086607

ジェローム・ロビンスが死んだ (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  •  さして時を違わずして、ロシアではブルジョワ的、修正主義として多くの芸術家が粛清=暴力によって抑え込まれ、逆に資本主義の日本でも非国民として、赤狩りが行われ、アメリカでもマスメディアを使っての「非米活動委員会」よる赤狩りが行われていた。
     この本を読み、その世界的な流れを作ったスターリンの根深さを感じる。
     本書の軌軸で、ロビンスの出生作と言っても良い『踊る大紐育』(1944年)について、多くのページが裂かれているが、残念ながら、まったく知らなかった。むしろ後の『王様と私』『ウエスト・サイド物語』『屋根の上のバイオリン弾き』の振付師といった方が、ピンときた。
     往年の大スターたちの名前と、作品が多く出てきて、読むのに難航した。
     たかだか三年間の共産党員としてのロビンス。しかも党内では中心人物でもなく、ジーン・ケリーのような各上のスターでないことも、密告者として狙われたことの一つと述べている。
     移民の国アメリカ、だからこそロシアバレーと、前衛をミックスして、新しいアメリカ芸術をつくりだそうとしていたエネルギーが溢れていた1940~50年代。ロビンスが、ユダヤ系移民であること、ゲイであること、とても真面目な人格だったこと、そして失う地位の大きさから密告へと至った事が述べられる。

     顎をやや上向きに、胸をはって、足をピンと伸ばして決めるポーズは、今思えばどこか中国の革命バレーとも共通するようにも思う。よりリアルティーな表現へ辿りつく前の美しい型も、また芸術遺産でしょう。

  • 『踊る大紐育』『王様と私』『ウエスト・サイド物語』…。ブロードウェイ、ハリウッドで数々の名作を生んだ巨匠として知られる振付家ジェローム・ロビンス。実は彼は、かつて赤狩りの標的となった末に、同志八人を名指しした「密告者」だった―。一九九八年夏、彼の訃報に触れた著者はそこで初めてこの事実を知る。なぜ彼は密告者となったのか。やがてその背景に、人種、同性愛といった、当時の米国ショウビズ界が抱える問題が見えてくる。平成二十年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞の傑作ノンフィクションが待望の文庫化。

    ジェローム・ロビンスが「ウエスト・サイド物語」の振り付け家であることは知っていたが、それ以外のことはまったく知らなかった。

  • 僕の大学生の頃は、タップダンスが再び流行ったりして、昔のミュージカル映画をレンタルビデオで借りて来て見ることも多かった。
    と言いつつ、見ていないが、名作と言われているので作品名は知っている「踊る大紐育」や「ウエストサイドストーリー」の振り付けなどを担当したジェローム・ロビンス。

    彼は有名なダンサー、振付師、演出家であると同時に、冷戦下で行われた赤狩りで、仕事仲間を元共産党員だったとして売った「裏切り者」というレッテルも貼られている。

    昔ロビンスの明るいミュージカルに惹かれた筆者がロビンスの訃報を聞いて、その明るさと真反対の裏切り者という彼の側面を、当時のアメリカの世相も掘り下げながら探った作品。

    ハリウッド・テンや、赤狩りは歴史として知っているものの、その当時の世相が実際どうだったのかというあたりや、実際には共産主義排撃が、人種差別、移民差別、同性愛差別などと合わさりながら行われていたというあたりの話が、多面的に見えて面白かった。

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ジェローム・ロビンスが死んだ (小学館文庫)はこんな本です

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