- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086720
感想・レビュー・書評
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森崎書店の続編はひたすら愛に満ちたお話しでした。
素敵だなぁ。ここの人達。
映画、観たかったなぁ。 -
神田の古書店が舞台。前作は、傷ついた若い女性が店主の叔父、古書店周りの人々との交流の中で元気を取り戻してゆく暖かい物語。2010年頃に読んでいたが続編が出ていたのは知らなかった。この続編で描かれるその後の日々も、大きな出来事がありながらもやはり静かで優しい。ささやかな一人一人の平凡な人生にもいろいろなことがあり、喜び悲しみの中で浮き沈みしながら多くの人々の思いに寄り添われて日常が続く。
映画化された「森崎書店の日々」は、出張中に下高井戸の小さな映画館で午前の上映を見た。とても良い気持ちになって映画館を出たのだけれどその日は家に帰れなかった。2011年3月11日のこと。 -
前作よりも、うねりのある内容。
叔父の妻、桃子さんの死が後半に押し寄せる。
これほどまでに、大切だと思える人に出会えた
サトルと桃子が羨ましい。
大切な人の死を乗り越えるというよりは
抱きしめて受けとめる。
さらりとしているようで、とても奥深い作品だと思った。
そして、やはり古書店は魅力的。 -
神田は神保町の古本屋を舞台に、失意の渦中にある主人公が様々な本と周りの人々の触れ合いの中でやがて失った自分自身を取り戻してゆくハート・ウォーミングストーリー『森崎書店の日々』の続編。
初作の舞台から1年が経ち、登場人物達もそれぞれの生活に勤しんでいる様子が優しい視点で描かれ、主人公の貴子の恋愛話あり、叔父のサトルへの人情話ありでストーリーは進んでゆく。
前作が600字ほどの文学賞応募作品故の「あらすじ」で有ったため描きこみ不足の感が拭えなかった前作を「プロローグ」として位置づけ、今作で丹念に描き込んだ「続編にして完全版」とする構成が上手い。貴子に恋人が出来、日々の出来事に揺れる心情や老舗喫茶店「すぼうる」の厨房で働く極度の人見知り青年の高野とトモコとの仲を描く事で、貴子自身の恋愛観を再考するきっかけを得たり、読んでいる文学書を「人生の指南書」に絡めるところなど、作者は初作で描きたかったであろうシークエンスを「これでもか!」と書き込む様子は処女作『森崎書店の日々』への深い愛情が読み取れる。
核を成すストーリーは、前作のボーナスストーリーとして収録された「桃子さんの帰還」で≪主役≫を務めた貴子の叔母、森崎桃子の生涯を綴ったもので、前作からのミステリーな部分である、なぜ失踪したのか?なぜ戻ってきたのか?という答えをクライマックスに据え、叔父サトルとの夫婦愛と桃子の生き方は、恋人を得て人間として成長した貴子の≪これから≫である「女性としての人生観」にやさしく、切なく、そして何よりも大きく影響を与える。
全編を通して「昭和な」ストーリーは、「良き頃のホームドラマ」のテイストであり、映画でいえば山田洋二監督作品。ベタである。『人情もの』の基本に忠実なベタさ。しかし基本に忠実に、新しいストーリーを構築することほど難しいものはない。
流行りの作品群から見れば、何気ない日常を綴っているだけと見える向きもあるが、実はその中にこそ真のドラマが有り、淡々と進む事象ゆえにリアリティーがあると筆者の綴る文字は語る。話題性重視の「派手さ優先」作品ばかりの昨今では、貴重な作品といえるだろう。 -
ずっと続編を読みたくて、図書館にも古本にもなくて、とうとう買っちゃいました。前作と変わらず登場人物みんな個性的だけど、素敵な人ばかりで、心温まりました。ただ後半には悲しい出来事もあり、涙腺ユルユルの私は、涙・涙で大変でしたが、森崎書店が営業再開し、常連さんが集う日常がもどり、ホッとしました。私も和田さん同様、その輪の中に入れてもらいたいです。
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前作、自分の事で精一杯だった主人公。
今作は、更に成長している。ああ神保町へ行きたい。 -
落ち着いた雰囲気の良い作品でした。
何かあった時に読書に逃げる気持ちが共感できます。
改めて振り返ると、自分もこれまで随分と本に助けられてきたように思います。
来年こそは神田古本まつりが開催されますように。 -
一作目をあんなに温かな気持ちで楽しく読み終えたのに、
まさか、続編でこんな終わり方をしてるとは!!
今回もほんわかと読み終えるつもりで読んでいたのに、
つらくてつらくて・・・。
でも、ラストには
優しい笑顔で、頑張ろうと思える一冊でした。
サトルおじさんに桃子さん、
トモちゃんや高野くん、
和田さんと、
色んな楽しい仲間たちに囲まれて
貴子は幸せだな~。
ツライ失恋をしたけれど、
そのおかげで、こんな生活を手に入れられたのだから
人生、どんなことがあっても
前を向けば幸せになれる。
自分次第だな、と思った。 -
文章の巧みさや美しさはないのかもしれない。そういう技術面を求める人にとっては、いささか物足りない本だと思う。
ただ、純粋に物語が美しい。そして愛おしい。本を、そしてそれに関わる人々を愛する人にとっては、とても魅力ある物語だと思う。
文章も、言い方を変えると「平易で読みやすいもの」で軽く読めるのでオススメ。
初版本だったが、P.174「醒めた人間」というのはどう考えても誤字だと思う。わざわざルビが振ってあるけど、ルビを振る時に校正の人は気付かなかったのかなあ。でもあと100年ぐらいしたら、手元にあるこの本にも価値が生まれるのかしら。ひょっとして、私が死んでからこの本が神保町で取引されてるかもしれない。そう考えると単なる誤字にも面白さを感じるよね。