続・森崎書店の日々 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1057
感想 : 159
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086720

感想・レビュー・書評

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  • 読む前から予感はありましたが、胸がギュッと締め付けられる、涙なしには読めない続編でした。

    古書店を舞台にしたこの作品の主人公は、本当に普通な(時には失恋をしたり、落ち込んだり、また恋をしたりする)女性で、何かドラマチックな事件が起こるわけではないです。

    でも、普通に私たちが生きている中で、おいしいご飯を食べること、本を読むこと、大好きな人たちと会話をすること、そして誰もが避けて通れない大切な人を見送ることといった、日常に寄り添った出来ごとを丁寧に描いていて、それがふいにぐっと心に響くのです。

    生きていてうまくいかないこともあるし、やさぐれたくなる時もあるけど、本書全体に漂う、大きな喪失体験をしたからこそわかる日常の有り難さ、尊さみたいなものに思わずはっとさせられ、日々の暮らしを大切にしようと改めて思えます。

    祖母を亡くしてから特に、会いたい人にもう会えない、という、心に穴が空くような寂しさを覚えることがありますが、きっとこの先もそうした喪失体験を繰り返しながら人は生きていくんだと思います。
    それでも、ちゃんといつかは前に進んでいける、という希望を本書は見せてくれました。

    それから、本についての豆知識も楽しく、初めて名前を知った織田作之助の『競馬』や稲垣足穂の『一千一秒物語』など興味惹かれて、手帳にしっかり書き留めておきました。
    作中では結ばれなかったけど、トモちゃんと高野くんの未来も明るい感じがして、ちょっと嬉しい。
    とはいえ、一番心に残ったのは、サトルさんと桃子さんの強い絆。二人共不器用だけど、こんな風に人を想えることはすごく素敵なことだなと、思い返してもまだ胸がじんとします。

  • 青春時代にこの本を読んでいたら、少し違う自分だったかな。

  • 前半は貴子ちゃんの淡々とした日常が書かれていて、「まぁいろいろあるけれど、こんなもんよね(^_^;)」と思って読んでいたら、元気な桃子さんが大変な事にっ!!(;´д`) でも、読み終えると、心がじんわり暖まる(^^) 最後まで気になったのが常連客サブさんの職業(--;)そんなに古書店巡りができる職業が羨ましい!

  • ずっと持っていたい、読み返したい、お守りのような一冊。

  • 誰かを愛する時、不安なのは自分に自信がないからだ。
    大好きなあの人に自分が釣合っていないから、不安になってしまうのだ。
    でも、そういう考えは、自分を選んでくれた人に失礼だ。
    掛け替えのない人が、選んでくれたのが自分なら、自分だって掛け替えのない人間だ。
    そんなことを思いながら読んだ。
    泣きながら読んだ。
    読みながらとても幸せだと思った。

  • まさか続編があったとは!
    ほっこりとした雰囲気は残しつつも起こる出来事はシビア。
    桃子さんが死んじゃうなんてなぁ。。
    つい涙してしまった。
    なんかこれからも彼らを温かく見守っていきたい。また続編出てほしいな。

  • http://sgk.me/vfeuF7 映画化された小説「森崎書店の日々」の続編。 映画化された前作から2年後。
    「本の街」で暮らす人々の出会いと別れを描いたハートウォームな小説です。

  • 神保町の古書店を舞台に、店主の姪と周りの人々を描く物語の続編。前巻でひどい失恋から立ち直った貴子は次の一歩を順調に歩き出していたり。
    今回は「思いを伝えること」というのが結構メインに、書かれているのじゃないでしょうか…
    トモちゃんの「好きになられると怖い」という反応がすごく同感できてどきっとしました。もちろん理由はまったく違いますが(^_^;)
    それと、自分は相手に心を開いていないのに、相手にはそれを求めているという貴子の気づきとか、ああ、と思わされます…

    和田2号はもっと絡んでくるかと思ったんですが、あれだけでちょっと拍子抜け。
    それぞれのエピソードを、もっと深く読みたい!と思いました。なので読後感がややあっさりめ。桃子さんには涙しましたが(^_^;)

    作中に出てきた智恵子抄と陰翳礼讃が読んでみたくなり、購入しました(^-^)

  • 続編のが良かったー
    切ないのに心が暖まるとはこーゆーことかと思った。
    叔父さんも桃子さんもホントに好い人で。
    まだまだ続編出てほしいけど、無理かなぁ

  • 憧れの本の街、神保町のお話で
    本が大好きな人たちばかりが出てくるというだけで、好きな小説
    トモちゃんが「悲しいときは本を読むんです。何時間でもずっと。
    読んでいれば、ざわついていた私の心はまた静けさを取り戻します。
    本の世界ならば浸っても、誰も傷つけることないから・・・」
    という言葉には、ちょっと泣きそうになりました
    人間は様々なことを忘れていく。忘れていくことで生きていく
    本の中の言葉ですが、さびしい気持ちを少し暖かくしてくれる
    そんな小説だなぁと思います

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著者プロフィール

1977年千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒業。「森崎書店の日々」で第三回ちよだ文学賞大賞受賞。同作品は映画化された。著書に「続・森崎書店の日々」「純喫茶トルンカ」「純喫茶トルンカ しあわせの香り」がある。

「2023年 『きみと暮らせば 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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