- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086720
感想・レビュー・書評
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「森崎書店の日々」続編。
主人公・貴子は普通に恋して、普通に悩んで、普通に個性のない人間になっている。最初から最後まで結構有りがちな話の流れだったなぁ。悪くはなかったけれど。
小説でも映画でも、私はあまり病気ネタが好きじゃない。折角の神保町古書店の話なんだから、もっと古書に纏わる話やアクの強い人々が出てくると良かったのに。この話じゃ、古書店が喫茶店でも雑貨屋でも古着屋でも変わりなく進めれそうな内容…。 -
森崎書店の続編はひたすら愛に満ちたお話しでした。
素敵だなぁ。ここの人達。
映画、観たかったなぁ。 -
神田は神保町の古本屋を舞台に、失意の渦中にある主人公が様々な本と周りの人々の触れ合いの中でやがて失った自分自身を取り戻してゆくハート・ウォーミングストーリー『森崎書店の日々』の続編。
初作の舞台から1年が経ち、登場人物達もそれぞれの生活に勤しんでいる様子が優しい視点で描かれ、主人公の貴子の恋愛話あり、叔父のサトルへの人情話ありでストーリーは進んでゆく。
前作が600字ほどの文学賞応募作品故の「あらすじ」で有ったため描きこみ不足の感が拭えなかった前作を「プロローグ」として位置づけ、今作で丹念に描き込んだ「続編にして完全版」とする構成が上手い。貴子に恋人が出来、日々の出来事に揺れる心情や老舗喫茶店「すぼうる」の厨房で働く極度の人見知り青年の高野とトモコとの仲を描く事で、貴子自身の恋愛観を再考するきっかけを得たり、読んでいる文学書を「人生の指南書」に絡めるところなど、作者は初作で描きたかったであろうシークエンスを「これでもか!」と書き込む様子は処女作『森崎書店の日々』への深い愛情が読み取れる。
核を成すストーリーは、前作のボーナスストーリーとして収録された「桃子さんの帰還」で≪主役≫を務めた貴子の叔母、森崎桃子の生涯を綴ったもので、前作からのミステリーな部分である、なぜ失踪したのか?なぜ戻ってきたのか?という答えをクライマックスに据え、叔父サトルとの夫婦愛と桃子の生き方は、恋人を得て人間として成長した貴子の≪これから≫である「女性としての人生観」にやさしく、切なく、そして何よりも大きく影響を与える。
全編を通して「昭和な」ストーリーは、「良き頃のホームドラマ」のテイストであり、映画でいえば山田洋二監督作品。ベタである。『人情もの』の基本に忠実なベタさ。しかし基本に忠実に、新しいストーリーを構築することほど難しいものはない。
流行りの作品群から見れば、何気ない日常を綴っているだけと見える向きもあるが、実はその中にこそ真のドラマが有り、淡々と進む事象ゆえにリアリティーがあると筆者の綴る文字は語る。話題性重視の「派手さ優先」作品ばかりの昨今では、貴重な作品といえるだろう。 -
失恋傷心した貴子が叔父の古書店で前に進む力を与えられ、叔父の妻桃子が突然の失踪から戻ってきて平凡でささやかな生活が再び始まった前編から2作目の本作では、恋愛に消極的な友人トモちゃんと辛い経験をしている貴子が互いの相手を信頼して気持ちが通じ合う迄の葛藤や迷いを古書店を取り囲む仲間を通じて成長し大人になって行く姿が描かれている。
小説の前半では古書通の話や昭和初期の小説が幾つか登場し読書家にとってはちょっとニンマリする場面もありますが、前作・本作で共通している物語の骨格は男女の感情(特に古書店主夫婦や姪貴子の恋愛関係)に焦点が合わせられて居り、特に叔父サトルと妻桃子の微妙な空気感でお互いを思いやる独特な関係は今時珍しい純愛なんだと思います。
古書店主夫妻・姪を中心としたとても狭い世界だけど素朴に温かくやさしく前を向いて生きる姿は現実の社会でも通用する生き方なのではないかと読後切ない気持ちになりながらも明日への希望を与えてくれる1冊でした。 -
「森崎書店の日々」の続編です。
前作で予測していたけど、桃子さんの話が
中心にきているような気がしました。 -
数年前に映画を観て以来、気になっていた本。
描写が独特だったり、文体に魅力がある訳でもないんだけど、そこはかとなく優しい物語。街全体が見守っている感がある。
今年、神保町に行ってみようと思っていて、
なんとなく、この本のように穏やかな街なのかな、と想像してみる。 -
前回とは少し変わった主人公の身辺。おじさんの奥さんが亡くなるところはつらかったな。