羆撃ち (小学館文庫)

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著者 : 久保俊治
  • 小学館 (2012年2月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086911

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羆撃ち (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 久しぶりにすごい本を読んだ。

    私が「ヒグマもの」にはまっていたときに買った本で、買った当初数ページだけ読んでそのまま積ん読にしてあったものです。

    今回なんとなく「今かな」という気がして読み始めたら、もう止まらなくなりました。

    もう驚きの連続でした。
    私の「ハンター」の想像というのは、車で山まで行って、そこから山の中ウロウロして獲物を探して、いなかったら諦めて下山して家に帰って、後日また来る……というものでした。

    ところがところが!
    久保さんはまず山の中にキャンプを張り、そこから獲物の足跡などを追って山の中深く入り、追ってる獲物がその日のうちに見つからなかったらビバークするっていうんですから。
    北海道ですよ、ヒグマいますよ。
    「えーっ!」と信じられない思いでした。

    そして獲物を倒したら、その場で解体。
    それも心臓とか、その場で炙って食べながらやるっていうんですから、もう想像もつかないことばかりで「すげーっ!」の連続。

    淡々と、誰かとの会話文なんてほとんどなく、獲物を追って山の中を歩いてる描写が続くのですが、それがすごく臨場感があって、書評で「まるで森の中にいるよう」と言われたのも頷けます。

    なんという人がいたんだ、気づけてよかった、本を出してくれてよかったと思いました。

    そして猟犬フチとの出会いと別れ。
    たった一人で狩りをしていた久保さんにとっては、フチの才能は本当に心強かっただろうなあ、それだけにフチを失った悲しみは計り知れないです。涙なしには読めませんでした。

    読んだらブック〇フ〜くらいに思ってましたが、絶対に残しておきたい本になりました。
    私は持っていたので他の本に差し替えてもらいましたが、一万円選書をお願いした時にも候補に挙がっていた本なのもわかる!

  • 2016.10.23読了。
    今年8冊目。

    岩田書店一万円選書の一冊。

    これまたものすごく良かった!

    何から書けばいいだろう...

    とにかく久保さんに魅了されっぱなしだった。
    その場で体験してるかのような臨場感のある描写。
    狩猟に全く興味のなかった私だけど、北海道での猟、アメリカでの生活、フチとの関係、そしてフチとの猟、どれもとても魅力的に描かれていてどっぷりのめり込んでしまった。
    だけど一気に読むのはもったいなくて少しずつ少しずつ大切に読んだ。
    羆撃ちとしての生き方、考え方ももちろん素晴らしく、そしてなにより素敵な文章を書く人だなぁと思った。


    続きが読みたい。もっと知りたい。
    恋する乙女のような気持ちで読み終えた。

  • みずみずしく読むうちに語感が目覚めていく気がする。
     厳しさを厳しいと感じさせない山中での狩猟生活の素晴らしさ。筆者の優れた狩猟感覚と身も心も自然ととけ込んでいるせいであると思う。自分などにはとてもできないだろうけれどとてつもなく憧れてやまない。

  • 大草原の少女みゆきちゃんのお父さんが、若かった頃、熊猟を主として生計を立てていたころの様子を描いた著書。羆を獲ってその場で解体して、内臓を食うという、野性味あふれる人物像とは裏腹に、書く文章がうまい。特に山の中の自然描写には多くのページ数を割いており、素晴らしい山の情景を読者に少しでも多く伝えたいという筆者の想いが伝わってくる。羆のわずかな痕跡を見つけだし、後を追い、仕留めるという息詰まるような攻防もまるで目の前に繰り広げられているかのような描写で書かれ、中盤以降出てくる猟犬「フチ」との生活や、永遠の別れの部分なども、この本に大きな色をつけてくれている。山での生活は、想像しているよりももっと壮絶なのだろうが、そんなことよりもある種の憧れを抱かせるような世界観を見せつけてくれる。

  • 岩田書店さん選書

    羆猟で生活をしていた方の話。
    猟犬のフチとの猟とアメリカでの生活の話が面白かった。

    こんなに自然の中にに生き、生き物を愛している人がいるなんて知らなかった。

    自分が今いる世界を彼のように愛せているか、自問自答した

  • 作者の淡々とした語り口から、自然と対峙するということは、本当に「容赦のない」ことなのだと、ひしひし感じる。
    甘い、とか、厳しい、でもなく、感情の届かない場所にあるのが自然の摂理というものなのだろう。

  • 友人が「犬の話だよ」と言って貸してくれた、北海道のハンターが書いたノンフィクションです。著者は大学卒業後、就職せずに狩猟だけで生きていこうと決意し、北海道の山の中で鹿や熊を撃って生活し始めます。
    読み始めたときは動物を殺すのが何だかなと思ったのですが、著者の動物の命と向き合う姿勢や、撃った動物を余すところなく感謝しながらいただくという姿勢に、狩猟に対する考えが変わりました。
    そして著者が育てた狩猟犬が本当にすばらしい犬で、こんなに信頼し合えるってすごいことだなと思いました。
    犬好きはもちろん、北海道好き、動物好き、自然好きな人にもおすすめです。

  • 読み進めるほどに止まらなくなった。特に猟犬フチを得てから。ハンターの気持ちは完全に同調することはできなかったけれど、読んでよかった。
    2015.3.16

  • ビバークが寒そうで自分には耐えられないやと思いながら。仕留めた後、解体しながら食べるのがうまそう。内蔵を取り出したあと、血に染まった手で、タバコを吸う。小樽、標津町、足寄、古多糠、ブラッドソーセージ、羆騒動、火の女神フチ、アイヌ犬、アメリカハンター修行、アーブさん、エルク、クーガー、ユク、別れ、俺の考えが甘かった。ずるかったのだ。

  • 就職はせず、猟師として生きる道を選らんだ著者の半生記。自然そして獲物を斃すまでの情景、駆け引き、心の動きなどは、ヒシヒシと迫ってくる。良い悪いではなく、日本とアメリカの猟とハンターの違いなども垣間見られる。何より、猟犬フチとの出会い、そして別れは、思わず涙してしまう。犬を飼っている読者には、何ともいえず胸にこみ上げてくるものを禁じ得ないであろう。
    そして、本書「あとがき」まで読み進んで、初めて著者が、ドキュメンタリーTV番組「大草原の少女みゆきちゃん」のお父さんだったことを知った。何か、ストンと胸に落ちるもの感じ、納得できた。すでにお母さん(奥さん)が急逝されていたことも本書で知った。遅ればせながら、ご冥福をお祈りいたします。

  • プロのハンターとして、20代に狩りだけで生活した著者の若き日を綴ったメモワール。五感を研ぎ澄ませて山に入り、自然と対峙する孤独と自由。狩りというのは具体的にこのように行うものなのかということも初めて知ったが眼からウロコだった。食糧として持参するのもわずかな米と塩程度。あとは川で魚を釣ったり、獲物が仕留められれば解体したそばから心臓を食べたり。ビバークして明けた厳寒の朝、飯盒でわかした雪を白湯にして飲み、雪に混ざっていた落ち葉が香ばしい香りをつけていてうまい、なんていう経験は絶対にできないだろうと思うと、こういう生き方を選ばなかったことが残念に思われてくる。

  • 序章を除き、愛犬フチの登場までは、自然の中で営まれる暮し、兎、狐、鹿や羆などとの勝負が続き、自然との共存や命の大切さ、生きる者の責任という事柄を考える。根本的には同じことの繰り返しのため、飽きてしまう部分もあり、正直に言ってしまえばとても読むのは辛かった。
    フチが登場してからは一変、展開が変化し、アメリカへ留学したり、その先での出来事などは興味深い内容が多くあった。

    しかし、具体的にどこのページであったかは忘れてしまったのだが、初めて使用するライフルを練習も無しに羆へ発砲し仕留めてきたり、他にも、「これって、本当のこと?」と疑問に思ってしまう箇所があったのは読者として歯痒い。

  • 生きることの真剣さ、命に対する真剣さがひしひしと伝わってくる。森や山での静寂が手に取るようにわかり、自分自身も山の中へ分け入っている気持ちになる。

  • 素晴らしいです。狩猟経験がなくとも、まるで自分が山の中を歩き、せせらぎや鳥の声を聞き、落ち葉や獣の臭いを感じているかのような気分になります。野性味あふれる料理や食事の描写も実においしそう。
    文章も勿論ですが、「パファーン」「ドチュン」といった擬音語が臨場感を高め、上手だなと感じました。
    久々に号泣しました。清らかな気持ちになれる良書です。

  • 展開に波が少ないようにも感じたが、その分自然の中で過ごす日々の描写が丁寧で、臨場感溢れる文章だった。
    動物の痕跡を追跡して対峙して仕留めるスリリングさと、それらの動物を含めた自然への畏敬など、様々な要素が入り混じり、盛りだくさんの作品だった。

  • 狩猟シーンの動物が生き絶えていく描写がリアルで、いたたまれなくなるが引き込まれる表現力。
    愛犬フチとの絆が涙を誘う。

  • 古典的でありつつも前衛的なクマ(マタギ系)小説。アメリカでのハンター修行のエピソードが含まれているのは、この手の小説では珍しい。
    「熊との死闘」というよりは、「孤独な鍛錬」という感じ。猟の様子が緻密に描写されている。
    前半は比較的淡々と話が進んでいくが、終盤、猟犬フチとの別れのシーンは涙必至。

  • 北海道で羆、鹿等を獲る猟師だった著者による体験談。北海道の厳しくも美しい大自然を背景に、山中での数日に及ぶ追跡の末に羆と対峙する狩猟の体験が感動的である。著者が北海道犬の子犬を熊狩りの名犬に育て上げる話、アメリカのプロハンターガイド養成学校での留学体験等興味深いエピソードも多い。雪中のキャンプ、早春の山河等の自然描写も素晴らしい。名ハンターは、名文章家でもある。

  • 手を伸ばせば、その凍える雪に触れられそうな圧倒的筆力。不覚にも電車内で、相棒との永遠の別れに涙し、飯盒の残りめしに腹が鳴りました。タイトルのわりには老若男女を問わないと思いますし、読む価値はかなり高い、と断言します。

    というPOPを立てて販売しています。

  • 自然に対する畏敬の念、獲る命に対する責任感。
    文章の構成はそれほどうまくないけど、部分部分の臨場感はすごい。

  • 今んとこ今年のベスト1!

  • 文章がすばらしい

  • 平積みの装画が目を引き長い事気になっていたが、文庫になっているのをやっぱり平積みで見かけたので購入。
    プロのハンターさんが書いたそうだが、これは普段から物書きしている人じゃないのか!?と何度も疑ってしまうほど、読みやすい本。
    するする読めるので2日程で読破。

    自然の描写がすばらしい。
    また、狩りの作法をしらない人でも想像しやすい親切な書き方。
    ハンターという未知の世界なのに、気付けばその光景を想像してしまっている自分に気付く。

    帯に書かれている「美しき猟犬との絆」に、美しいとはどれ程のものかとちょっと上から目線に思ったが、読んでるうちに完全に猟犬フチの虜いなってしまった。これは美しい!!
    甘やかしたり、うわべで褒めたりしないような著者さんが、フチを色々と形容するたびにフチの素晴らしさが伝わってくる。
    でも、親バカなとも思う。笑
    でも、それも素敵だった。
    二人の絆にとても感動し、泣いた。

    空港で飼い主と再会するフチのシーンが特にお気に入り。

  • 自然とともに生きること。言葉では簡単だが、プロのハンターとして生活していくことは、想像を絶する世界である。主人公である久保さんが、初めて熊を撃った時のリアリティさ、命のやり取りをする動物たちとの対等な関係、その動物たちと同様自然の中で研ぎ澄まされる五感。
    自然や動物に対する深い愛情と畏怖の念が凝縮され、読む者の心まであわられるようだ。
    また、自ら育て上げた猟犬フチとの深い深い信頼感で結ばれた関係も見事に伝わってくる。
     
    北海道の自然を背景としたこの1冊。今年のベスト作品である。

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羆撃ち (小学館文庫)の作品紹介

北海道の大地で一人羆を追う孤高のハンターと比類無き才能を持つ猟犬フチとの迫力と感動に満ちたノンフィクション。大学を卒業後、就職せずに狩猟のみで生きていくことを決意した著者。猟銃と僅かな装備だけを手に山を駆け巡る生活の中で体感した自然の驚異と現実を瑞々しい感性で描く。

羆撃ち (小学館文庫)の単行本

羆撃ち (小学館文庫)のKindle版

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