カラーひよことコーヒー豆 (小学館文庫 お 36-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086966

感想・レビュー・書評

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  • エッセイというのは、それぞれが本当にそれぞれらしくて楽しい。勿論、その人の本質など知らないのだが、限りなく近付ける場だと思うのだ。
    小川さんのエッセイは優しく心地良い。さり気ない優しさに溢れていて、また等身大の姿が垣間見えて、読み終わった時にほっと満たされた気持ちになる。休憩中の午後の紅茶的エッセイとでも言おうか…。

    ちなみにタイトルのカラーひよこ、私は知らなかった。モールで出来たひよこの事かと思いきや、生きたひよこだったとは。今では絶対売れないような物だね(^_^;)

  • なんで、この本を読もうと思ったのかを、もはや忘れてしまった。

    前半と後半で、テイストがやや違う。
    前半では、小川洋子が観察する人の話が中心。
    その人を観ている自分の話というより、その人をいかに浮かび上がらせるかという、なんだか黒子のような透明感があった。
    ああ、この方は、こんな風に人を見つめているんだな、そして自分は無色透明の語り手なんだな、という感じが小説に繋がる気がして、腑に落ちた。

    『博士を愛した数式』を読んでいる女性をクローズアップしたエピソードが、なんか好き。

    後半は、本の紹介が多くなる。
    ラジオのアナウンサー藤丸さんとの話が良かった。
    本を介した話のなかで、相手を知ってゆくこと。
    そういう会話が成り立つことは素敵だと思う。

    『こころ』『錦繍』『枕草子』『夜と霧』。
    自分も触れてきた作品を、こんなに愛おしく語る人に出会えるとは。

    感銘を受けた映画の感想を「かなしかったね」で終わらせた相手に、幻滅するエピソードもあった。
    自分は自分の感じ方を豊かに出来ているだろうか、急に恐ろしくもなった。

  • 図書館の文庫本コーナーを眺めていた時に、名前のインパクトの強さに惹かれてすぐ借りてすぐ読み終わった。印象的だったのは、過去に言ってもらえた相手の褒め言葉は一生の思い出だ、という部分。嫌なことがあったとしても、過去の褒め言葉を思い出せば、いつでもその時の気持ちに浸れるということが共感できた。また、自分で決めたことなのだから文句は言えない、という記述も心にぐさっときた。嫌なことが起こったときは、たまーに、いや大抵人のせいにしてしまう私だが、人のせいにする前に立ち止まって自分が決めたことなのでは?と考えてみることが大事なんだと思う。
    こんなにも謙虚かつ小説界でも結果を残している小川洋子さん。それがこの本を読み終えての感想。昭和の人は古臭い、なんて文中には書いてあったけれど、私はそんなこともないんじゃないかなーと思えるような本だった。

  • 小川洋子さんのエッセイは初めて読みました。書かれている小説から勝手に描いていたイメージと違い、同年代の友達のような親しみやすさを持った方だということがわかりました。私も犬を飼っているので、愛犬ラブちゃんの話は切なく胸に響いてきました。

  • 読みやすい文体で語られているので、エピソードの一つ一つがすいすい頭に入ってきて、楽しかったです。

  • 作品はクールなものが多いイメージだが、エッセイは温かさ溢れる楽しいものだった。タイトルに惹かれて読んでみたが、カラーひよこの悲しみと愛犬のコーヒー豆そっくりの疣のおかしみは繋がらなかった。私も昭和の人間だから共感することが多かった。自己を主張する人より、ひっそりと目立たない脇の人に着目するのは作家独特の視線と思う。カラーひよこの思い出はもっと掘り下げて欲しかったし、コーヒー豆そっくりの疣をつけた愛犬の様子をもう少し読みたかった。

  • しなければいけない経験はそのときにするようになってる。今を一生懸命生きよう。今を楽しもう。救いの道は必ずあるのだ。

  • 表紙が明るさより、落ち着いた内容で、小川洋子さんらしくて、どのエッセイもよかったです。

    同年代という感じがしました。

    また、ラストの「自分にとって理想の1日は?」が、さすがだなと思いました。

  • 小川洋子さんの作品は
    博士の愛した数式を読んだことがあり
    とても好きな作品だったので
    エッセイも購入しました。

    対象年齢より少しだけ上のファッション誌を読んでいる感覚になりました。
    エッセイ集になっていて、一つ一つが話が程よい長さなので、読みやすいと思います。

    ちなみに私もドイツとインドの違いがわかっていませんでした…笑

  • 仕事終わりの眠い頭で読んだからか、可もなく不可もなくという印象です。
    出せなかった手紙が棘になって刺さる、よく分かります。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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