きみは誤解している (小学館文庫)

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著者 : 佐藤正午
  • 小学館 (2012年3月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094087024

きみは誤解している (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 競輪をこよなく愛する男女の切なく輝く一瞬を綴った6つの人間ドラマ。残り一周を報せる鐘の音が聞こえるような緊張感が漂う作品集。
    ギャンブルは人生を狂わすというが、その渦中に身を置くと、尋常ではない喜びと哀しみが味わえる。極めれば極めるほど知的興奮が上昇するので、止めるきっかけが見つからない。本作品の登場人物たちは、ギャンブル感に優れた者と人間の屑のように身を落とす者がいるが、私を含めほとんどの人間は表題作のような者だ。嫌なヤツだけど親近感は覚えた。

  • 競輪をテーマとした短編集。
    競輪にハマって抜け出せない、あるいは抜け出す必要のないような人たちをつらつらと追っていく。勝っても負けても最終的には損するということをわかっている上で、全員が全員競輪場に赴く。
    話としては面白く、興味深い話もあったけど結局心情は理解できなかった。この本に則って自分を評するならきっと、カスみたいな人間と罵られるんだろうけど、それはそういうものでいいんだろう。

  • 佐藤正午の本を読むと、次に読むどんな本も「やや読みにくいな」となってしうまうことが多々ある。そのくらい佐藤正午の文章は滑らかで、やさしくて、美しくて、且つウィットに富んでいる。

    この本は、多くの人が言ってるように「付録」がたまらない。物語をでっちあげるという仕事が小説家なら、佐藤正午は最強の小説家だ!と思うほど。

    短篇ひとつひとつは、ギャンブラーたちの、どうしようもない弱さやだらしなさ、とことんなダメさを綴ったあれこれなんだけど、みんな、ただただ愛おしくなってしまう。そう、まんまと、でっちあげられた、小説のマジックにかかってしまうのだ。

  • 2013年1月31日(木)、読了。

  • 競輪というギャンブルにかける、あるいは振り回される様々な人間の小説。競輪をまったく理解しない私でも付録と称される解説小説が最後についている。それで競輪の知識があがるわけでもないが。6つの小説のそれぞれタイトルが秀逸。ギャンブラーがいいそうな、少々芝居がかった、自分のことを夢見心地でみているような、そんな話にぴったりのタイトル。語り口のテンポのよさも佐藤正午ならでは。

  •  競輪をモチーフにした短編集。「うんと言ってくれ」が個人的には最も秀逸に感じた。しかし、本編の作品も粒揃いながら、巻末の「付録」と「解説」こそ文学だと思う。

  • 佐藤正午が競輪好きなことは「side B」から知ったのだけど、これは競輪を題材にした6つの短編集。
    作者は佐世保だけど、私は長崎に住んでいた頃、もう50年程前になるけど、造船所勤めの伯父に連れられて競輪場へ行ったことがある。今は競馬ばかりで、競輪は観たい番組がない時に大きなレースをやっていれば観る程度だけど、別に競輪も嫌いな訳じゃなく、私のこういうもの好きはその頃にルーツがあるかもと思ったりする。
    その割に博才無いこと甚だしく、わざわざ当たり馬券を外して買ってるような結果には、我ながらよくも続けているもんだとうんざりするが、来週になったら、今度こそ当たる様な気がするんだよねぇ、これが。最初の話には、そういったギャンブルが仕掛ける甘い罠へ陥る道筋が良く描けていて、そこからもうこの世界へ吸い込まれる。
    ところで、昔は戦災復興の名のもとにあった長崎の競輪場もずっと昔に廃止になって、今はラグビー・サッカー場になっているのだけれど、それをやらない人から見た時の如何わしさやお金にだらしの無い人が嵌る陥穽っていうのはどうしようもなくて、世間のそういうイメージは拭い去れないねぇ。だから4つ目のお話で、鮨屋の社長が『ギャンブルは人生を狂わす』とか言うのも分からないではなく、全編を通してそういう日陰のイメージが漂うお話しは愁いに満ちて物悲しい。
    それぞれのお話であまり賭ける金が大きいのと、それで当たっちゃうのが、私のように小銭で楽しんでると言うか、小銭しか賭けれない者にとっちゃぁ、ちょっと勝手が違ったりしながら読み進めるが、初刊時の書下ろしである最後の話で『競輪場の中では、度胸という言葉は常に自暴自棄と背中合わせであること、そして競輪場を一歩外とにでれば、その種の度胸は何の役にも立たない』とか『寝る間を惜しんで競輪場に通いつめても、どんなに熱心に予想を立ててみても、勝ったり負けたりを繰り返すだけだ』と漸く世間並みの言葉が並んだかと思いきや、最後に曰く、そういう考え方で車券を買うのは『競輪をやる人間としては、クズだ』と喝破するのだから、もはや筋金入りですな。これでやっていっては私のような真面目なサラリーマンが長く続けていられる訳もなくて、まあ、愉しみ方は人それぞれでいいんだけどね。
    全国44ヵ所、結構街中にある競輪場の場所柄や遠征で旅する競輪選手の生活に、ラインや脚質といったレースの特性の上に成り立つ話でありながら、普遍的な男や女の話にもなっていて、なかなか読ますこの世界。寺山修司や山口瞳、虫明亜呂無の頃を思えば、競馬でこういう話を書いてくれる人がいないのかと、ちょっと羨ましく思ったりもする。

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「ねえ聞いてるの?自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」婚約者がたしなめる青年の、唯一の趣味は競輪。死期が近い父親の当たり車券を元手に、彼が大口勝負に挑もうとする表題作。競輪で儲けた金で十三年間暮らす独りぼっちの男が告白する「この退屈な人生」、八年前のある出来事をきっかけに車券を買わなくなった男が会社の金を持ち出したという兄を追って競輪場へと向かう「人間の屑」など六篇収録。出会いと別れ、切ない人生に輝く一瞬と普遍的な人間心理を、競輪場を舞台に透明感あふれる文章で綴った作品集。

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