なぜ ザ・プレミアム・モルツは 売れ続けるのか?: 8年連続売上増のビールをあえて「変える」サントリーの決断 (小学館文庫 か 1-10)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094087369

作品紹介・あらすじ

デフレ不況の中で、高級ビールが売れ続けている。サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」。45年間赤字が続いたサントリーのビール事業を黒字化する原動力となった、「時代に逆行するヒット商品」-。この商品を生み出すための、開発者や営業マンの創意工夫と、経営者の挑戦を追った。さらに2012年春、8年連続で売上増を達成していた看板商品の「刷新」が行われ、売上の伸びは一段と勢いを増す。東日本大震災以降の時代の変化をも掴んだ成功の裏側を大幅加筆し文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 1.「やってみなはれ」という社風が浸透しているサントリーではどんな個性はメンバーが輝いているのだろうと思い、購入しました。

    2.プレミアムモルツが人気を誇る理由は「攻めの姿勢」と「こだわり」です。当たり前のことですが、これを会社単位で実践できている企業はどれほどあるでしょうか。プレモルでNO.1の座を獲得した姿が描かれていますが、本当に大切な部分は、NO.1を取った後に変化を求めて再挑戦していく姿です。本書では、個性派揃いのサントリー社員の中でもプレモルにかかわった社員から話を聞き、どのような過程を経て現在のサントリーへと昇華させていったのかが書かれています。

    3.どんな職業も答えは現場にあるのだと思いました。潰れる企業にはいくつかの特徴がありますが、決め手となるのは、上層部が現場を理解しなくなることです。多店舗展開している企業の人達は本部に配属した瞬間、現場で培った苦労を忘れてしまいます。そのため、現場が改善する策を打てず、現場と本部の溝が埋まらないまま今もなお存続しています。たった1人のスーパープレイヤーがいれば企業は成長するというほど単純ではありません。組織として動く以上、みんなが協力しなくてはなりません。
    私自身、現場でしか働いたことがないため、本部病にならないよう、しっかり仕事をしていきたいと思います。そのためには、プライベートでも積極的に外に出ることが大事だと思いました。現場とは、人がかかわる場所であり、商品と消費者が触れ合う場所です。だからこそ、常に現場にい続けるよう環境を整えていきたいです。

  • 販売不振の中でも終売しなかったのは、
    絶対に美味しい自信と信頼、
    そして執念。

    何より印象的なのは、マーケや研究など各部門が話す中で、書籍の最初が営業だったことかな。
    会社が見えますね。

  • 片山修の手法は、インタビューをベースにして、
    物語を構成する。
    これだけの協力をえれば、客観的な評価が むつかしいのではないか?
    企業の広告的な役割を果たしているような気がする。

    ただ、その企業のめざすべき方向性を、
    わかりやすく つかむことが、できる。

    広告や宣伝のうまさ。
    営業する力の強さがあるが、生産する力という点では
    評価が されにくい状況であったのが、
    プレミアムモルツによって 大きく変化した。

    『なんで売れへんのや 品質に問題があるんとちゃうんか。』

    2011年3月のフクシマで、消費は冷え込み、ビールの売り上げも落込んだ。
    更に、プレモルが好調にも関わらず、2012年1月に 『リニューアル』ではなく、『リバイタライズ(再活性化)』をした。
    『なぜ美味しいのか?』『どこが美味しいのか?』『どう美味しいのか?』
    を見直した。ダイヤモンド麦芽の深いコク、ホップの香りの増強、そして、少し『雑味』(これがポイントだった)を入れた。
    そのプレモルは 深く口に残る印象を、柔らかくした。華やかな香り、飲み飽きず、味わいがあるモノとなった。『もう一杯のみたくなるおいしさ』
    プレモルは 仕事の後のワーク疲れを癒すから、『大切な人と過ごすひととき』
    という豊かなライフのイメージをつくった。プレモルは、人と人の『絆』がコンセプトとなった。それが 値段が他よりも高いだけの価値をつくった。
    サントリー プレモルは 8年連続の過去最高販売数量を更新している優良商品。

    キリンラガービールの苦みばしったコクのあるビール主流から、アサヒが『キレがあり、コクがある』というコンセプトでうりだして、トップに躍り出た。
    ドライビールは、仕事帰りの『のどの渇き』をうるおすということで流行した。
    プレモルは、コクのあるビールを、じっくり『舌』であじわう飲み方。つまり、
    『心の渇き』を癒し、『美味しさ』を追求した。

    デザイン マーケティングも参考になった。
    金と紺 とオーガニックな曲線。

  • 【味ではなく気分を売る(~世界最高峰のビールだという自負がある。)】
    ・最高金賞受賞の味を捨てて作り変える再活性化策
    ・矢沢永吉(本物)を起用し、至福の表情で「最高」と言わせたCM
    ・「大切な人に贈りたい」ギフトから広げた口コミ。

    なぜプレモルが売れ続けるのか?それは気分を売っているからという結論に達した。

    プレモルブランドとはお客との絆だという。絆とはお客がプレモルに口をつける瞬間。
    その瞬間の鮮度維持(製造から出荷までの日数短縮、飲食店へサーバーの清掃とそそぎ方の指導、家庭へのグラス配布とそそぎ方のCM)に力を注いでいる。
    ちなみにラベルは正面から見るとピルスナ―グラスを形とったデザインで「余韻」を感じさせる。

  • 読むとビール業界の営業から開発、工場マン、宣伝やデザイナーの人たちがどんな仕事をしているのかが分かる。
    同じ文章が色んな所で出てきたり、ちょっとヨイショっぽかったりに、この本もPRなんじゃないかと雑さを感じるが、とはいえプレモルに携わる人たちの声が読めるのは面白い。飲む上で、ストーリーを知れるのはそれが正しいものであろうとなかろうと、美味しさが増す気がする。

  • 得るものがない。
    プレモル大変だったんだなぁってだけ。

  •  ビールという既存の市場に,「舌で飲む」「ハレの日に」というこれまであってなかったようなコンセプトで新たなニーズを作り上げる。プレミアムモルツってほんとに見事なビジネスモデルを構築した製品だったんだなぁ。
     でも成功の裏に,開発・生産者・営業などほんとたくさんの人の努力と苦労があったことがよく分かる本の構成でした。
     どれだけ赤字を垂れ流してもあきらめない,やってみなはれの精神を実行できる会社役員の下で働ける幸せ,最近の日本の産業界が忘れていることをやり遂げたサントリーはほんと見事。

  • プレモルの開発秘話。

    高いけど売れているプレモル。
    その味へのこだわりを追求する開発者、維持する現場、
    そして販売する人々の努力が描かれている。

    強い「こだわり」が今の時代には必要な事なのかもしれない。
    同時に、ぶれないで「こだわり」を完遂すること。

    プレモルが飲みたくなるのは必死。

  • 著者の片山修は、この手のビジネス書を多く手掛けている。本書も、彼の得意とする実録版ビジネス書。

    サントリーのビール事業が長年赤字であった事は有名であるが、その赤字が代名詞とも言えるサントリービール事業を黒字化した立て役者が、本書で描かれている「ザ・プレミアム・モルツ」である。

    本書を表すに際して、サントリーの実際の関係者に数多くインタビューしており、語られている言葉には実感がこもっている。

    いやぁ、それにしても、繰り返し「ザ・プレミアム・モルツ」の品質へのこだわりが書かれているので、飲みたくなってしまいました(笑)

  • トップの言葉にわくわくできるって、
    いい会社だなって、素直に思えちゃう。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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