出星前夜 (小学館文庫)

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著者 : 飯嶋和一
  • 小学館 (2013年2月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (714ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094087963

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出星前夜 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 読み進めるに連れて読む速度が遅くなり、しかしあるところから転げ落ちるように速度が早くなり、だけども読み終えることが辛くて、その速度を何度も落とそうとしたのだけども…読み終えました。
    この本に出会えて苦しくとも幸せでした。読んでいる時期に自身の環境の変化があり、余計に感慨深いものがありました。
    江戸初期に実際にあった、キリシタンに対しての苛烈を極めた弾圧と過酷な課税、そのためにすべての普通の生活を奪われ、天災による不作と貧困のために伝染病が蔓延し、もうどこにも引き返せなくなった農民たちが起こした、最大規模の反乱の話である。
    キリシタンであることが反乱のすべての理由ではないのに、最後は討伐軍側の都合のいいように、都合の悪いことは隠蔽され、見せしめのために叛乱軍は全滅させられる。女子供すべて。
    解説にもあったとおり、元々史実であり、絶望しかない物語なのだけれど、それでも微かな希望は撒かれ、僅かにでも広がっていく。
    人の救いは、信じるものは、絶望の中でも決して無くなりはしないと、信じたい。悲しみの物語が終わり、エンディングに僅かな希望を読んだ時に、そう思った。

  • 2015.8.20.読了。島原の乱の背景を描いた作品。島原の乱は、弾圧されたキリシタンの信仰のための抵抗戦争だと思っていたが、背景にこんなことがあったんだなあと、自らの単純さを恥ずかしく思った。今のイスラム教信者のテロの報道に際して宗教っておそろしいと思っていたが、一人一人が幸せならば狂気とも思える行動に走るわけもなく、あらためて考えさせられるきっかけになる作品たった。ただ、長い上に同じような名前〜右衛門、〜左衛門ないっぱい出てきて誰が誰かこんがらがり大変だった。

  • 世に言う島原の乱の話。
    学校では、島原のキリシタンが蜂起をして幕府軍と戦った、ぐらいにしか習わないがじつはそんな単純な理由ではなく根深いものとして描いている。
    前半は無能な藩主の圧政に苦しめられるもそれに耐え忍ぶ村人たちの生活を描く。そしてそんな大人たちに対しての歯痒さから島原の乱に繋がる火種を起こす少年たち。
    後半は島原の乱の顛末。戦いのくだりが長く読み飛ばす場面もけっこうある。最後は蜂起が鎮圧と言うか皆殺しにされ救いがないように思えるが、島原の乱の火種を起こした少年があることから医者となり人の命を救うことに生涯をかけることになるのがこの小説での光だと思う。

  • な、ながかった。。。。面白いんだけど、だんだん最後の方は流し読みになってしまった。とはいえ、色々なことを考えさせれられる1冊だった。

    島原の乱をベースに描かれた時代小説。
    松倉家への苛政に対する武装発起を様々な角度から描かれている。英雄が現れて、民衆とともに立ち上がる!というようなものではなく、そこにいる一人ひとりが主役になっている。

    解説より↓
    「殉教という響きに陶酔する危うさ。戦の寒々しい熱狂の後にやってくる虚無感。上を前にした時に現れる人間の本性。カリスマを崇める心の弱さ。統率を失った時、いとも簡単に崩れる個人の意思と自制。善の陰に潜む醜さ。特定の人間を崇めることなく、また特定の宗門や立場を支持するわけでもなく、ただ淡々と徹底的に、著者は個人に寄り添う。そして二万七千という数字が一人ひとりの顔を持った個人となって浮かび上がり、その生が限りなくいとおしいものだと気づかされる」

  • 農民たちの苦労が延々と語られるを読むのに疲れる。本書を読むと、島原の乱の最大の原因は、信仰の迫害というより為政者の無能だという印象を受ける。本書に記載されている松倉家の為政はそれほどひどい。しかし、社会構造の中で、自分もこの松倉家のように、弱者を搾取する側に回ってしまっているかもしれない。そんなことを考えさせられる。

  • さすが 飯嶋和一。これも傑作。

    島原の乱の原城は原城跡だった。

  • 本屋大賞、2009年7位。一ヶ月近くかかった。疲れました。島原の乱を取り上げた歴史小説で面白いんだけで、この人の文書は緻密に詰まりすぎてて読み進めるのにとても骨が折れるのです。集中して読まなきゃ文書が頭に入ってこないし。この人の「黄金旅風」ってのを丁度一年前に読んだんだけど、その小説と時代や登場人物が一部重なるので、こりゃ、とっつきやすいし今回はさくさく読めるかもって期待したのですがやっぱりだめでした。まあ、この人のやつの中では一番小説ぽくって良いとは思うけど。。。

  • 早く次の作品が出ないかなと、いつも待ちきれない数少ない作家の一人。
    飯島和一さんの作品は四~五年に一回くらいしか出ず、それだけ内容に吟味を重ねて作られているのだろうと想像する。時代小説を書く作家は多けれど、これほど引き込まれ心を震わす作品を書かれる作家も珍しいのではないか。
    ならば何故有名では無いのか。飯島さんは一切マスコミには登場しない。マスコミに一切媚びを売らない。という方だからだ。
    どなたかが飯島和一にハズレなしと言ったらしいが、まったくその通り。
    今回の出星前夜は島原の乱をテーマとしているが、天草四郎が主人公ではない。もちろん討伐軍が主役でも無い。所謂一般の市井の人々だ。その目線で描かれた島原の乱がいかに愚かな戦いであったかを活写している。
    飯島さんはいつも英雄になったような人物は描かない。そこがまたいい。
    しかも歴史に翻弄され、未来に希望の欠片もみえない状況を描きつつ、最後には真っ暗闇に微かな光が見えるような終わり方をする。
    ああ、次の作品がすでに待ちきれない。

  • 2009年本屋大賞7位

    島原の乱

    自分の今まで持っていた「島原の乱」のイメージといえば
    “エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり” の山田風太郎「魔界転生」。
    “妖艶”且つ“神格化”された悲劇のヒーローだったのに、本作を読んであまりのギャップに驚愕。

    沈鬱な話であるのに、征伐軍のアホさ加減には笑ってしまった。ただ、300年以上経った今でも「保身」「出世欲」といった業(ごう)というものは変わらんのだなぁ、と。

    重苦しい中に、タイトルでもある寿安(北山寿庵がモデル⁉︎)の話は、本当に星の如き光が射してジーンときました。

  • 壮大だった。
    誰もかれもが自分の手柄を欲した中、こんな話をよく調べ書かれたものだと思った。

    しっかし、長かった…
    この著者の本をまだ読みたいと思うけど、取り敢えず、休憩しよう(笑)

  • すごい。
    江戸時代の暮らし、社会の仕組み、医療や漢方薬に関すること、宣教師とキリシタンのこと、島原の地理、城の作り、戦の仕方、ほかにもたくさんのことをどれだけ調べたらこんな話が書けるのか。
    島原の乱を描いたら悲劇になるに決まってると思ってたけど、ただ悲惨なだけじゃない、すごい世界があった。

  • 最近軽い本ばかり手を出している私は、ずいぶん苦戦しました。
    天候不順も一切考慮されない通常の倍の年貢、栄養失調から子供たちの間に伝染病が広がる。そんな松倉家の苛政に武装蜂起する若い寿安。朝鮮出兵で戦いの悲惨さと無意味さを知り、農業の発展により苛政を凌ごうとする庄屋の甚右衛門。そんな二人がいつか入れ違い、甚右衛門は島原の乱を貫き、暴徒と化した民衆に失望した寿安は、長崎で子供たちの伝染病治療に邁進する。
    島原の乱を題材にした700ページにわたる歴史大作です。司馬史観という言葉がありますが、この作品も飯嶋史観といった雰囲気もあります。ずいぶん濃密な書き込みでなかなか前に進まず。特に後半は戦闘場面が延々と続き、途中から少し流し読みみたいになってしまいました。
    しかし悲惨な中に救いもあって、読後感はいいですね。
    読み応えのある読書でした。

  • 何故、島原の乱が起きたのか、
    何故、この地に、キリスト教が根付いたのか。
    何故、徳川幕府が、キリスト教を迫害してきたのか。
    それらの事実が、理解しやすく描かれている。

    キリスト教が、世界的な宗教にもかかわらず、争いごとが耐えないのは、
    この宗教が、潜在的に持つ、排他性にすべての原因が有る。
    島原の乱は、非情に悲惨な歴史的事実だが、
    キリスト教と言う宗教を、この国に入れなかった、
    徳川幕府の方針は、有る意味、正しい気がする。

  • 期待通りの読み応え。
    ジリジリと導火線を這う火花のような緊張感。
    その場にいるような臨場感。
    これは読まないと。

  • 圧政は圧制を生み、歪は下へ。
    最下層は望みもなくただどうにか生き耐える。
    島原の乱。
    著者の史実への誠実さが、深く重く心にのしかかる。
    それは読み終えてほっとするほど、強烈に辛い事実。
    いま。時代が変わっても変わらぬに悪政。過去から学ぶことはたくさんあるのに。

  • いわゆる「島原の乱」を描く、重く、辛い、圧倒的な物語。それなのに、物語の中にほんとうの、強靭な希望が宿っている。読みだしたら止まらない傑作。飯嶋和一、ほんとにすごいや。

  • 或いは読む方によって色々な感じ方が在る作品であるような気がする。各劇中人物がどうなって行くのか、どうして行くのか…「島原の乱」を背景とした重厚な群像劇であり、なかなかに興味深いと思う。

  • 島原の乱をテーマに描かれた作品。
    発端となったのは飢餓からくる伝染病で、藩の悪政に対抗してやがてキリシタンが立ち上がり武装蜂起となっていく。
    しかしこの作品の主人公は天草四郎ではなく、争いをなるべく止め、民を助けようとする青年寿安や庄屋の甚右衛門や医者の恵舟である。
    島原・長崎の男気あふれる人物たちの物語は読んでいてすがすがしい。
    ハッピーエンドとはならないが、心意気の強さは伝わる。

  • 読みごたえあります!!

    島原の乱のはなしです♪

  • 圧倒される。著者の作品でも一番流される血の量が多いけど。
    文庫本のカバーで紹介されている過去の二作品、なるほどと頷く。確かに繋がっている。単行本が出てから時間が経つので忘れていました。

  • オリンピックの年にしか新作が出ない作家、飯嶋和一の最新作(の文庫化、700頁)。前作『黄金旅風』の続編にも若干なっている。天草四郎がほとんど出てこない「島原の乱」。主題が主題だけに救いがない話しだけれど、とうぜんのように読み応えあり。「民衆史観」とも言えないが、飯嶋独自の視点と史観がしっかりしているとこうなるのだと思う。権力者の野望と人殺しだけを「歴史」と見るような凡百の歴史小説とはまったく異なる。ただ前作までの文章に比して、今回は同じ表現が重要なシーンでときおり出てくるのは少し気になった。でも「飯嶋和一にはずれなし」は継続中。

  • ひたすら暗い。重い。
    島原の乱がベースだけど
    一般的にイメージされてる内容だと思うと
    ガツンとやられます。
    それくらい深い。重い。暗い。

    同じ長崎を舞台にした
    「黄金旅風」とあわせて是非。

  • 寡作の人、飯島和一。漸く文庫化なったこの本、満を持して読み始める。
    しかし700頁余になる大部を一冊にされると寝っ転がって読んだり通勤で持ち運ぶのはちょっと大変。加えて仕事が忙しく読む時間が殆ど取れず、且つ重厚濃密丹念な文章はサクサク読み進めることは能わず、ひと月掛かって読了。
    「黄金旅風」の時から少し歳月が経ち、末次平左衛門が大政商として治める長崎から少し離れたところで起こった「島原の乱」の一部始終が、いつもながらの語り口で描かれていく。
    私の田舎は西彼杵のほうで長崎からはまた島原とは違う方角なのだけど、ここもまた遠藤周作が「沈黙」で描いたように隠れキリシタンの里であって、本書に描かれる地味に乏しい土地で過酷な労働に耐え信仰だけを支えに生きる人々の暮らし振りには、今でも残るそうした風情に何となく似たような風景を想像させられる。
    小学校の修学旅行では島原へも巡り、その事前勉強で「島原の乱」や原城のことも出てきた記憶があるのだけれど、覚えている天草四郎や乱のイメージとは全く異なる姿を、作者は淡々と提示する。
    文章の確かさ、戦の場面の精緻さ、サイドストーリーにも手抜きの無い語られ方は相変わらず期待通りも、誰にフォーカスを当てているのかも分り難く、何より殆ど救いの無いお話で、最後の寿安の話が星が出る前の希望の話になったのか、鬼塚監物や蜂起勢の名もなき人たちの死に様を見た時には、聊かの違和感を思う。

  • 枝葉の多い文章でくどく、私には少し読み辛かった。でも独特の勢いというか熱を持った小説で、「読み辛いなー」と思いながらも読むことをやめられなかった。話に捕らわれた感じだった。
    話は、島原の乱を題材にしている。昔歴史の教科書でそういう出来事があったことと天草四郎の名前は覚えていたけれど、詳細については全く知らなかったので、とても興味深かった。あの時代の九州について書かれた本を読んだのは初めてだった。
    人の世のやるせなさ、その中で強く誇り高く生きる人達の生の眩しさ。人の宿命、使命…そういうことを考えながら読んだ。
    私も、逆境にあっても顔を上げて生きていたいと思った。

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出星前夜 (小学館文庫)の作品紹介

寛永十四年、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)が一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に集結した。折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを彼らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負う。松倉家入封以来二十年、無抵抗をつらぬいてきた旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった…。第35回大佛次郎賞受賞の歴史超大作。

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