寂しい写楽 (小学館文庫)

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著者 : 宇江佐真理
  • 小学館 (2013年2月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094087970

寂しい写楽 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 節制や質素な生活は良いことである。節目節目に贅をこらすのは良いにしても、なんでもいつでも贅沢に怠惰に金にあかせて無茶な消費をしたり煽ったりするとロクな事がない。バブルとそれが崩壊したときに、日本のあらゆるところであらゆる人がそりゃもう痛感したわけで。
    ただ、質素倹約を政治的に強制されると、これまた話が違ってくる。「欲しがりません勝つまでは」と税金から労働から時間からしまいにゃ命までささげて、ボロボロの生活を政治が強いた結果がどうだったか。質素倹約なんてものは、言うてくる場所が高ければ高いほど胡散臭いものだと思っていた方が良い。自分で勝手にやるのが一番良いんだと思う。

    この小説は、高い場所から質素倹約が聞こえてくる寛政の改革時代の、浮世絵やら黄本世界を舞台にした歴史小説。宇江佐真理といえば、市井人情物時代小説、と思わせておいて歴史小説である。時代小説と歴史小説って、同じ遺伝子をもった兄弟のような関係だと思う。兄貴と上手く行ったからからといって、弟と上手く行くとは限らない。宇江佐さんにはやっぱり時代小説がいっちぃはまるんだなぁと思った。

    登場人物たちの動きが悪い。市井人情物の手法で葛飾北斎や滝川馬琴やらを描く手法は悪くないと思うんだけど、いまいち乗ってこないというかどうにも動きが芳しくない。これが葉室麟あるいは松井今朝子なんかだと、もっと上手く動かすんだろうけど、宇江佐さんの得意な手法が、歴史小説にはまらずギシギシしてる感じが、それこそ本作でいう寂しさを誘う。

    それとこれは俺が思い込んでしまったことなんだけど、東洲斎写楽の扱いがかなり軽い。タイトルにだまされてはいけない、重要な役回りにあるとはいえ、写楽は完全な脇役である。

  • 写楽の正体に迫る物語ではなく、斉藤十郎兵衛が普通に登場してしまいます。ただ山東京伝、後の北斎である春朗、馬琴、一九などそうそうたるメンバーが出てくるというだけで嬉しくなってしまう本です。蔦屋が写楽を売り出そうとするところは面白いですね。というか、見どころはここだけでした。
    ストーリーの中心になるものがなく、結局何が言いたいのか分からないまま淡々と終わってしまったという感じです。
    写楽については登場人物達ですら興味をなくしているので、読者がついていけるはずないです。話の流れを切ってまで人物の生い立ちに触れたりとか章を変えたりというのもいかがなものでしょう。
    田沼意次=賄賂という史観も古いですね。

  • 写楽がこんなにミステリアスな人物だとは知りませんでした。
    未だ解明されていない浮世絵界の謎だそうで…。
    写楽自身の不可解さもありますが、
    蔦屋を中心に集まってくる、絵師、戯作者など
    後世に名を残す面々が生き生きと描かれています。
    それぞれの確執や接点が面白いです。

  • 表紙のイラストとタイトルが気になって読んでみました。

    写楽や浮世絵、その当時の文化については歴史の授業で習った程度の知識しかなく、よく知らないまま読み始めた、話も淡々と進んでいったのもあり、小説というより歴史書のような感じで読んでしまいました。

    解説で「写楽は覆面絵師として登場し、正体をめぐってさまざまに議論されてきた」とあって、読み終わってから驚いてみたり(^^;;

    ちょっと違った側面から江戸の町を見ることができるお話でした。

  • 写楽が誰なのかって、

    裏でどうやったのかって、

    かかわった人達の心情は?って

    私はもっとドロドロした話を期待しちゃいました。

    皆さん粋でしたね。

  • 江戸市井の人情話もいいが、史実を踏まえた歴史物も面白かった。耕書堂蔦屋が初めて手がける役者絵刊行の一大プロジェクトが進行する様子にわくわくする。当時の浮世絵業界の現場がいきいきと描かれて大変興味深い。
    登場人物それぞれの事情を語ることで物語が進行するという構成も面白い。
    それにしても舞台は、山藤章二が『ヘタウマ文化論』でタイムマシンがあったらいってみたい時代としてあげている蔦屋重三郎の奥座敷そのもの。江戸の粋人たちの関わりを覗き見れる楽しさがある。

  • 写楽をめぐる当時の人物を「寂しさ」で括った話・・・なのですが、登場人物がその時々で名前の呼称が変わり、ちょっと読みづらかったのと、説明的に「寂しさ」でまとめている感じがぬぐえませんでした。
    個人的には著者の作品としては活気が無いというか・・・キャラクターもお仕着せな感じで息吹が感じられないというか・・・、著者特有の哀切な感じが活かしきれずに終わってしまっている印象を受けました。

  • 東洲斎写楽の正体を解明しつつ、当時活躍した有名な人物たちを描く。

    時代小説というよりは、かなり歴史小説っぽい中身。

    写楽の正体については、現在最有力な説なんだそうです。

    史実の枠があるせいか、人物や時代情勢の説明にページが多く割かれているため、宇江佐センセの人情モノの良さがあまり発揮されていない気がします。

    葛飾北斎や十返舎一九、そのたモロモロの有名人たちのエピソードは、はじめて知る内容がほとんどで、けっこう面白かったデス。

  • 全1卷。
    写楽をめぐるお話。

    著者の代表作「髪結い伊三次」シリーズの
    人情味溢れる作風を想像していたら
    結構堅めでとまどった。

    ミステリーの定番テーマ、
    写楽は誰だをテーマとしながら、
    葛飾北斎ら当時を生きる
    そうそうたるキャラクター達を描く
    史実を基にした物語。

    当時、商業的に写楽は失敗だったとか、
    同世代の大衆文化のスターとか、
    「へーっ」てなること多く、興味深かった。

    が、
    物語の主役を、登場人物から登場人物へ
    受け渡すような構造の中で、
    いちいち彼らのバックボーンを全部説明するので
    あまり知識が無い自分にはわずらわしかった。

    キャラクターを愛すというより知る感じ。
    表紙は好き。

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寂しい写楽 (小学館文庫)の作品紹介

寛政の改革令に反旗を翻した浮世絵板元の蔦屋重三郎は歌舞伎役者の大首絵刊行を試みる。喜多川歌麿の離反にあい、絵師探しが難航するなか、突然現れたのが正体不明の東洲齋写楽という男だった。助っ人に駆り出されたのは不遇の日々を送っていた山東京伝、葛飾北斎、十返舎一九の三人。謎の絵師を大々的に売り出そうとする重三郎のもと、計画は進んでいく…。写楽とはいったい何者なのか。そして大首絵は刊行できるのか。宇江佐真理が史実を元に描いた傑作長編。

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