シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)

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制作 : Tyler Hamilton  Daniel Coyle  児島 修 
  • 小学館 (2013年5月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (551ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088014

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シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 【内容紹介】

    ドーピング、隠ぺい、手段を選ばぬ勝利の追求―自転車レースを支配するシリアスな闇の世界に、ランス・アームストロングのマイヨジョーヌに貢献した元プロ自転車選手のタイラー・ハミルトンとノンフィクション作家のダニエル・コイルがメスを入れる。

    煌びやかなプロ自転車競技界の裏側にある幾重にもつらなった腐敗を暴き、かつ恐ろしいまでに不穏な世界を暴きだす。
    元プロ自転車選手ならではの心理を克明に描いた傑作ノンフィクション。

  • 希望の持てる終わり方でよかった。前半の高揚感、中盤からの緊張感、そして危機と終焉。構成もすばらしい。
    結局、ランスですら真実を告白せざるを得なかった、ということは、やはり”不正”はひとの心を蝕む、ということなのだろう。「みんなやってる」というのはこころの奥底には効かない、ということなんだろうな。

  • 面白い。ノンフィクション。アスリートのストイックさに胸を打たれる。有力選手がほぼ全員ドーピングをしている中で、ドーピングを拒絶することが真のフェアプレーといえるのか。状況次第で善悪やフェアの概念は変化し得るかとの疑問を投げかけている。

  • 一流へと上り詰めた自転車レース界のヒーローたちが行っていたドーピングについてを告発した本。
    タイラー・ハミルトンへのインタビューをもとにして著者が物語調で作り上げたものとなっている。

    子どもたちの憧れにもなっていたようなランス・アームストロングをはじめとする選手たちが、ドーピングという禁止行為を行って記録を更新し続け、世間を欺いてきたという内容である。
    ただドーピングはスポーツ界に蔓延しており、今度も無くなることはないように思える。
    運悪く見つかったか、密告されたかの違いであり、密告者本人も使用者だったりするような足の引っ張り合い状態である。

  • ロードバイクの世界を知ると同時にロードレースの最高峰、ツールドフランスの激しく熱く戦う世界に夢中になりました。毎年のテレビ観戦を心から楽しみにしていました。これほど過酷な競技で、しかもなんと癌を克服した上で7連覇もしたアームストロング氏の書籍を読み感銘を受けたころにドーピング事実が発覚、しかも彼自身認めたとのことを知り大変な衝撃。

    ただ本書を読むことによって、当時の世界ではドーピングしなければ絶対に勝てないどころか選手としては生きてはいけないほど蔓延していたという事実を知りました。ドーピングを受け入れるか?選手としての人生を下りるか?という究極の選択を、まさに今、夢が実現しようというところで迫られます。巻き込まれるのは状況的にどうしてもいたしかねないと感じさせられること、もしそういった状況に身を置かれると誰もが手を染めかねないと思わせられる衝撃。

    その事実を、アームストロング氏と同じチームに所属された経験があり彼の優勝にも貢献してきたタイラーハミルトン氏の選手時代のドーピングにまつわる全てのストーリー、そして引退後にその全ての事実を世間に公表したことを記された物語となっています。

    ただこの物語を読むことで、世界的なヒーローだったはずのアームストロング氏のイメージが事実とはかけ離れたつくられたものであったという別の意味の衝撃もありました。

    現在のロードレースの世界はクリーンになっているのでしょうか?過去にこれほどのドーピングシステムが構築されていたものを完全にクリーンにすることができるものなのでしょうか?
    現在のロードレースの世界を信じたい気持ちになりますが…選手たちの言葉を信じたい気持ちになりますが…たたドーピング問題は決して選手たちの判断だけでは行われないこと、スポンサーや主催側の営利目的が原因でもあること。
    そしてそれはロードレースの世界だけに限らずどのプロスポーツにも当てはまるので、当分は心の中で葛藤しながらのスポーツ観戦が続きそうです。

  • 事実は小説より奇なり。
    という言葉が正に当てはまるようなタイラーの半生が綴られている。
    特に興味深かったのはランスがどういう人物だったかという描かれ方で、死の淵を覗いた者は必ずしも他人に優しくなれるのではなく、自らの欲望を加速させ何物をも省みなくなるような刹那的で危うい生き方をする者もいるのだと思った。
    倫理的かどうかはともかく限りなくドラマティックであり退屈などという言葉とは無縁だ。
    タイラーが母へ真実を告白する時には思わず涙が出た。
    私は怪物が観たいのではなくてレースを通して人間が観たいのだと改めて思った。

  • サイクルロードレース界の長きにわたるドーピングの実態について、元プロ選手タイラー・ハミルトンの語りをノンフィクション作家ダニエル・コイルがまとめる形で執筆した「シークレット・レース」。

    暴露本のような下品さはなくて、プロ選手の苦悩、人間としての葛藤、友情、家族、幸せとは何かなど、丁寧に書かれています。

    自分はクリーンに懸命に準備してきた。でも周囲は不正をしていて、このままでは自分に勝ち目がない。会社は自分にも不正を勧めてくる。その時自分はどうするか?という、自転車選手でなくても誰にでもあてはまる問い。懸命に準備している人ほど悩むと思います。

    読んでみて、今年もツールを応援しようと思えたのでよかった。

  • もやもやする。大きな罠に絡めとられていく感じが伝わる。でも、もやもやする。

  • スポーツの歴史の裏側には、もれなくドーピングの歴史がついてくる。
    それほどまでに切っても切れない問題なのだ。

    オリンピックなどの大きな大会では必ずと言っていいほど、陽性反応が
    出た選手のことが報道される。若くして亡くなった陸上短距離の女王、
    フローレンス・ジョイナーにも生涯ドーピング疑惑がつきまとった。

    三大ツールのなかでも日本で最も名の知られたツール・ド・フランスに
    出場し、アテネ・オリンピックの自転車競技で金メダルを獲得したのが
    本書で自身と自転車競技界のドーピングの実態を赤裸々に語って
    いるタイラー・ハミルトンだ。

    自転車競技の元トップ・レーサーによる告白は実に生々しい。

    再起不能と思われた癌からの生還、レース界への復活、不可能と言われ
    たツール・ド・フランス7連覇を果たしたランス・アームストロングのチーム・
    メイトでもあったハミルトンは、徐々に「あちら側」の人間になって行く。

    誰もがドーピングでパフォーマンスを向上させている訳ではない。同じ
    チームの中でも上位に食い込める可能性を秘めた選手に話が持ち掛け
    られる。

    選ばれたエリートたちによる違法行為は、まるでギャンブルや麻薬のよう
    にエスカレートする。ステロイドなどの違法薬物からヒト成長ホルモン、
    そして血液ドーピングへ。

    より速く、より強く。上を望めば望むほどに、深みに嵌って行く。その裏に
    大きな落とし穴が待っているのも忘れて。

    レース界復帰から何度もドーピング疑惑が持ち上がり、周辺では暗黙の
    了解になっていたランス・アームストロングの実態についてが衝撃的だ。

    本書が出版された時点ではアームストロングに対しての捜査が打ち切り
    になっている(共著者のノンフィクション作家が、打ち切りになった原因に
    ついての推測を記しているのが興味深い)。だが、逃げ切れないと悟った
    のか。2013年1月、テレビ番組の中でドーピングについて認めた。

    「かたが自転車レースじゃないか」

    あるレースの最中にハミルトンと並走する選手が言う。そう、かたが自転車
    レースなのだ。だが、最高のパフォーマンスを求める彼らにはそう考える
    ことが出来なかった。そして、厳正に監視すべき国際自転車競技連合
    自体がトップ・レーサーのドーピングを容認し、ツールの主催はあろうことか
    検査機関に記録の書き換えを要請する、狂った世界だった。

    マイヨ・ジョーヌ。ツール・ド・フランスの総合優勝者に与えられる黄色い
    ジャージ。ドーピングまみれの大会で与えられたマイヨ・ジョーヌは汚れ
    ていた。

    ランス・アームストロングの『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』で感動した
    のはなんだったのだろう。尚、アームストロングのツール・ド・フランス
    7連覇の記録は抹消されている。

    厳しいレースの為に鍛えられた選手たちが競う自転車競技。それは
    ドーピングなんて手段に訴えなくとも、驚異的な走りなのになぁ。

  • 元プロ自転車選手タイラー・ハミルトンによる告白本。
    組織ぐるみのドーピング、専門医による処方、ランス・アームストロングのこと、ドーピングをしなければ勝つことが困難、それ以前にドーピングしなければ同じ土俵に立てない、選手生活を続けていくことすらも困難な世界。
    とても面白かった。

    今はどうなんだろう?

  • 面白かった!!

    近藤史恵氏の作品を読んでいたのでエースと同室であることとか、エースを勝たせることとか、多少知識があったのもあるけれど、ロードレースを知らなくても、どんどん惹きこまれる。
    (ライターの人が上手いのだろうな。。。)

    他の人も感想に書いていたけれど
    「事実は小説より奇なり」!!!
    新作でアームストロング氏を彷彿するようなベテラン選手が登場するのだけれど、物語だし、と思っていたけれど
    本物の方が 濃い!!!

    若手や巻き込まれた選手たち。。。
    けれど、ドーピングが蔓延したロードレース界のお偉いさんや、スポーツ選手たちを売りにしていた医者は酷い。。。

    ドーピング=卑怯、という認識を抱きがちだが、そんな単純なものではないのだな、と。。。

    「以前は、彼らを弱い人間、悪い人間だと考えていた…だが今は、彼らがそうせざるを得ない状況に置かれていたのだと考えている。同じ状況下にいたら、私も同じことをしたかもしれない。」というある医師の言葉。

    チームで戦うスポーツだからこそ、チームメイトは家族だからこその選択だったのだろうか。。。

  • ツールドフランス7冠の大英雄ランス・アームストロングをアシストしていた元チームメートのハミルトン・タイラーによる告白本である。自転車業界トップ選手の間に蔓延していたドーピング。これをチームぐるみで奨励・命令していた監督・チームドクター。かかる闇を知ってて知らぬふりをしていた業界団体・スポンサー。闇医師らのスパイ小説もかくやと思わせる暗躍。そして何よりも、英雄ランスの自分には向かう者は消していく桁はずれの欲望の大きさと権力の恐ろしさ。
    近藤文恵の「サクリファイス」等でドーピングで自殺した選手等が出てくるが、「事実は小説より奇なり」×10倍であることがわかるし、実情は想像の遙か上をいっており、頁をめくる手がとまらない。
    ランスの勇姿ををリアルタイムで見ていた者にとって、「ただマイヨジョーヌのためでなく」を読んでいた者にとっては、衝撃の一冊であろう。もちろん、自分のような全くの自転車競技素人にとっても、大きな渦に否が応でもなく巻き込まれた一選手の率直な真情を記した青春期・告白録として、十二分に面白くそして重い一冊である。

  • タイラー・ハミルトンというロードレーサーの半生を通してスポーツとドーピングについて考えさせられると同時に、ランス・アームストロングという存在までが浮き上がってくるノンフィクション。
    ランスの悪役ぶりは見事なほど。
    そんなランスをタイラーは理解しようと努めているようにも見え、タイラーのランスへの視点によってこの長い告白が切なくかすかな希望を残して終われているように感じた。
    全編を通じていくつかの「真実」がすれ違う。「真実」は振りかざすものではなく、人が心を安らかにして幸せに生きるためのものだと思わされた。

    <ニースの丘でふたりきりで走ったあの頃。ランスが死力を尽くし、僕がそれに応える。これはどうだ?ついていけるとも。これならどうだ?平気さ。346P>

    このシーンは何度か繰り返される。
    タイラーが実際に繰り返したのか、D・コイルが効果的だと踏んで使ったのか。
    いずれにせよタイラーのランスへの思いを綴った美しい一シーンだと思う。

  • 人気漫画弱虫ペダルを読み、自転車競技自体に興味が出てきたので読んでみた。オリンピック開催年だったこともありドーピング問題が大きく取り上げられていた。選手視点の文章なので興味深く読むことができた。

  • 真実は人を自由にする。

  • 20160303(2回目)
    タイラーハミルトンの言葉をもとに作られた本。サイクルロードレース、特にツールドフランスのように長いレースにおいて薬物の使用が効果的だったこと、使わないと勝つことも、ついていくこともできない環境だったこと。あらゆる手段で薬物を入手、または自己輸血をし、レースのために危険を冒していた。
    その世界で生きるには欠かせないことであり、当たり前のことでも、外から見れば異常。
    ランスアームストロングは最後ツールのタイトルを全て剥奪されている。
    言葉が単調だけど、嘘を重ねることは自分の心身に良くない。正直に生きよう。

  • 本書は、プロロードレーサーの宿命を実感せざるを得ない。

    自転車はダイエットにいいし、お尻も引き締まるし、健康に良い乗り物。そう、我々のようなアマチュア素人にとっては。

    でも彼(タイラー・ハミルトン)は言う。プロロードレーサーがどんなものかを。

    本書では、こんな話を紹介している。

    「自転車レーサーがどんなものであるかを知りたければ、下着になって時速65キロで車を走らせ、車のドアから身を投げ出して、金属の固まりの中に飛び込んでみたらいい」

    ちょっと分かりにくい表現だ(訳の問題か)。でもこういうことだ。

    彼等は、平坦な道であっても、ゴールに近くなれば、時速60キロ以上で走る。単独で走るのではない。集団で走るのだ。ちょっとハンドリングをミスれば、いや、集団で走っているうちの誰かが1人でもミスをすれば、それはたちまち「落車」に巻き込まれることになる。

    時速65キロで、レーサージャージなんて、殆ど来ていないと同然の代物。裸同然で、アスファルトの固まりに身体を打ち付けることになる。

    当然選手は、骨折とは無縁ではなくなる。擦過傷なんて当たり前だ。

    著者のハミルトンは、肘・方・鎖骨(2回)・背中腰(複数回)・助骨・手首・尾骨、に骨折経験がある。

    実に危険なスポーツだ。

    下り坂を飛ばせば、100キロ以上になる。実際ツールでもピレネー山脈の下りで死者も出ている。

    こんな過酷なスポーツをしている彼等が、EPOを注射することによって赤血球を増やすことで絶大なる持久力を獲得できる。EPO注入による身体への僅かなリスクなんて、(大きなリスクを背負って)下りを飛ばして数秒時間を稼ぐことに比べれば、全く大したことない。

    これは正直なプロロードレーサーの気持ちだと思う。そもそも死を覚悟するほどの危険を犯して勝負の世界に住んでいる彼等にとって、ドーピングのリスクは、大したことじゃない。

    だから、それが当たり前のようになる。だから、ドーピングを根絶するのは、本当に困難なことだ。。

    そしてレース中は、騙し騙され、時には紳士にもならなければならない。

    そんなプロロードレーサーの生き様は、善悪入り交じった人間の究極の姿をさらけ出す。

    だから、こんなに人気があるのだと思う。実に人間臭いスポーツなのだ。

    そして私も観戦し続けるだろう。これからも。

  • ドーピングに手を出してしまうロードレーサーの気持ちがこの本で分かる。
    もちろんドーピングは悪だけどドーパーが絶対悪とは言い切れない。

  • 暴露本とも評されるが、葛藤を乗り越えて描き出された優れたルポルタージュ。なぜレースでドーピングの必要があったのか。競技者として選んだ答えと、その後に破綻した生活の中で「一日を少しでも良く過ごす」ことを目標に再生に向かう著者の姿勢は、どろどろとした内幕の中でもすがすがしさを感じてしまう。

  • 暴露本というよりはドキュメント。
    ロードレースの闇の部分を克明に書いてる。
    ドーピングについての考えが少し変わった。
    自分も間違いなく仲間入りしちゃう…

  • 自転車競技の暗黙の掟のなかでもがいた選手の長い旅路です。目が離せないクライマックスへ収束していきます。

  • プロ自転車競技のドーピングの実体験を語った本。
    自転車競技に夢を持って取り組み、多くの仲間と走り、ツール出場も夢でなくなった頃からこの世界の「内側」へ。まるでミステリーのようにドキドキしながら読み進め、読み終わった後では主人公とともに完走したような心地です。

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シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)の作品紹介

自転車競技を支配するドーピングに鋭く迫る

過酷なまでの勝利の追求がもたらしたドーピングとその隠蔽――自転車レースを支配する闇の世界に、ランス・アームストロングのマイヨジョーヌに貢献した元プロ選手タイラー・ハミルトンとノンフィクション作家ダニエル・コイルがメスを入れた。
そこは、煌びやかなプロ自転車競技界の裏側にある幾重にも連なった腐敗と恐ろしいまでに不穏な世界だった。
「現時点における、自転車競技の薬物問題に関する最も包括的で、誰もが入手できる報告である」(NYタイムズ)。

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