別れの時まで (小学館文庫 は 12-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 57
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088113

作品紹介・あらすじ

『水曜の朝、午前三時』著者の長編恋愛小説

私は手記募集で応募してきた女性に関心を持ち面接するが、彼女は女優であり、その波乱の人生に興味を持ち交際を始める。彼女には息子がいたが夫の影はなく、同じく娘を持つ私は共感を覚え密かな情事を深めていった。

しかし彼女の家に出入りするうち私は監視されていることに気づく。そして息子の父親であるかつての「恋人」が指名手配されていることを知る。

著者は2001年11月、書き下ろしの長編恋愛小説『水曜の朝、午前三時』でデビュー。1970年に大阪で開かれた万国博覧会を舞台に国籍問題で引き裂かれていく男女の恋愛をミステリアスな筆致で描いた同作品は、新人作家の第一作にもかかわらず多数の読者の支持を得て、ベストセラーとなった。

本作『別れの時まで』は、著者が10年ぶりに満を持して発表した長編恋愛小説。大人の恋愛の切なさと先が読めないミステリアスな展開に、全国の書店員さんから多数の感動コメントが集まった。

ついに待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • いつもミステリーばかりなので、たまには恋愛小説でも思って読んだ作品。
    序盤は引き込まれるような入りだったが、途中から少しサスペンス要素が入り込み、刑事やら公安やら、ややきな臭い展開に移っていった。
    そしてそれと同じくして、ところどころ首をかしげたくなるような登場人物たちの言動が目につくようになってきた。
    例えば、よく知らない土地で気になった人物を見かけたシーンで、自分と知人の子供をほとんど素性のわからない男に預けて車で追跡するとか、「それはオカシイやろ」と言いたくなるような場面や会話が、少なくなかった。
    最たる例は、エンディング。なぜああいう結末に至ったのか、さっぱりその心理が理解できないし、あまりに唐突すぎると思う。
    退屈せず読めたので、星3つは付ける。

  • 編集者の松永は、母の手記に応募してきた毛利伊都子と出会い恋に落ちた。

    互いに片親ということもあり、松永と娘の早紀と伊都子と息子の隆はなんの問題もなく交流を深めていた。

    その矢先、松永は隆の父親である三田という男の行方を追っているという警察に伊都子の行動について捜査協力を迫られる。

    好きな女である伊都子にたいする思いと、彼女に直接聞くこともできずに三田の存在を周囲に触れ回る自分との葛藤。

    前半がどういう話になるのか展開が読めず、ずいぶんとだらだら読んでしまった
    けれど
    警察が出てきたあたりから午前中だけで読み終えた。

    三田は最終的に自分で松永の前に姿をあらわして警察に逮捕されるわけなんだけど
    逮捕直前に青酸カリ自殺しちゃう感じ。

    キレイな女の裏にはなにかあるってわけね。

  • 結末ではなく、自分の選んだ行動をどう受け止めるか。

  • 久々に蓮見さんの小説を読んだ。 ベストセラー”水曜の朝~”以来の長編恋愛小説。 しばらく恋愛ものから遠ざかっていた分、期待して読みました。 はて、蓮見さんの文体ってこんなに、「まどろっこしい」感じだったけ? と思いながら読んでいたのですが、当人が元編集者だからか、それとも個人好みか、余計な抽象的描写は省かれていて、淡々と内容が進み、読むスピードが段々と早くなっていく、とどのつまり、夢中になった次第なのです。 大人の、しかもバツ1・子持ち同志の恋愛ですが
    身も心もドップリ浸かりきった重々しいものでない為に、真実味がありましたね。 劇団員の伊都子の元男の素性が素性なだけに、主人公の男は
    翻弄されまくっている。 これが悪女を愛してしまった男の顛末なのかと
    納得。 しかし内容の端々に、蓮見さんの個人的見解と思わせる部分がチラホラと出てきて、それが面白かった。 たとえば、『相手が作家なら「面白い」、レストランでは「おいしい」、女性には「似合っている」、この三つの単語でほとんどのことがうまくいくのだ。』 『愛していると使っている小説は黙ってボツにしろ』 とか、そんな所々にちょっとワクワクする。
    最近の携帯小説によくある、『不治の病』とかにも苦言を呈している部分がありましたね。 なぜが笑った。
    最初の「まどろっこしい」印象も結果、全体的にはあっさりと読めるものでした。”泣き”を期待している人には残念ながらお薦めしませんが。

    最後の解説はつまらない。 

  • 大人でなければ読めない小説である。

    親が子を想い、恋人に焦がれ、自らの在り方について思い悩む。人生において、一通りの経験を積んだ者にしかわからない哀しさが描かれている。

    早紀と隆。この二人の子供が持つ真っ直ぐな正しさが主人公だけではなく、読者の心も苦しくする。そう、「正しいことは人を傷つけやすい」のだ。

    大人はいろいろな正しさを計ろうとし、シンプルにAからBへ移動できなくなってしまう。そしてわからなくなる。いつの頃からか自分もそうなっていることに気がついた。

    『水曜の朝、午前三時』と同じように、僕は小説を読みながら涙を流した。感動とは趣の異なるやりどころのない悲しみが溢れだす。

    本当に良い小説だけに、ちゃんと読める人に読み込んでほしいと願う。

  • 女性の穏やかに直情的(クールビューティというのか?)な魅力には、なかなか対抗できない。いわんや特徴のない小市民(否定する感情は全くなし)にとってをや・・・。
    詳述されていない、本作のクールビューティが子まで生した相手の魅力の方が、気になる。

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著者プロフィール

1959年、秋田市生まれ。立教大学卒業後、新聞社、出版社に勤務。2001年に刊行したデビュー作『水曜の朝、午前三時』が各紙誌で絶賛されベストセラーになる。他の著書に『八月十五日の夜会』などがある。

「2023年 『美しき人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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