震える牛 (小学館文庫)

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著者 : 相場英雄
  • 小学館 (2013年5月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088212

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震える牛 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 獣医師と産廃業者。接点がないと思われる二人の男が居合わせた居酒屋で強盗に殺された。当初は外国人による金品目当ての事件と思われていたが、粘り強い捜査の末 大手スーパーマーケットの次期経営者が浮かび上がり…

    BSEや食品偽装など、食の安全について考えさせられる。特に加工肉…安い出来合いの惣菜やファーストフード類の不気味さが今、なまなましい。

    パン一つ買うにも裏の表示を確認して出来るだけ自然に近いものをなるべく選んでいるが、便利な食生活の裏には大量の添加物や得体の知れない業者間のやりとりがある。
    言うまでもなく、身体は食べたもので作られていく。

    お話としてはやりきれないが、流通など様々な視点から説得力のある作品だった。

  • 偽装を題材にしたミステリー
    2年前の通り魔的と思われていた殺人事件を再調査していくうちに初動捜査不足・不備が判明し、
    事件の真相が明るみに。。
    タイトルからBSEは容易に想像できるが、偽装→隠蔽と政治・権力が見える。

  • いろいろ考えさせられる、秀逸な社会派ミステリーだと思う。

    が、欲求不満は拭えない。

    真相を暴き、犯人の自白までたどり着けたけど、証拠はどれも状況証拠のみで、確たる物的証拠はない。

    こんな状態で裁判を闘えるのかと思ったけど、そういう落とし所が待っていたとは。

    なんともやるせない結末だ。

    それにしても、大筋とは直接関係ないが、食肉加工業界で偽装工作があったのがバレた事件があったけど、改めて、自分が口に入れるものは大丈夫なんだろうかと考えてしまった。

  • 田川の再捜査で次々と浮かびあがってくる新事実。
    目撃証言に加え、事件関係者のつながりも徐々に明らかになっていく。
    外食産業にはいろいろとタブーが多いようだ。
    つい最近も、深夜に従業員がひとりしかいない状態で営業していたチェーン店が防犯上等の問題から深夜営業を自粛したばかりだ。
    すっかり飲食業=ブラック企業というイメージを持つにいたった経緯は、マスコミによる影響ばかりではない。
    店で提供される食事は安全なものだ…という無意識の信頼がある。
    そもそも危ないと思っていたらその店に行くことはない。
    どんなものを提供しているのか。
    一番いい方法は、実際に働いていた経験のある人間に聞くことだ。
    しかし、詳しく聞いてしまえば二度とその店には行く気にはならなくなることも多い。
    食品流通システムの影に隠された闇。
    田川の捜査は、それらをひとつひとつあぶり出していく。
    物語の中に詰まっていたのは、どうしようもない「支配する側」の論理だ。
    田川らの地道な捜査の結果、ようやく事件は解決する。
    だが、真相は闇に葬られ、罪のない人たちが犠牲となっていく。
    やりきれないけれど実際にもありそうな終わり方、にジワリとした冷たい感触を覚えた。

  • こういう話、新鮮で色んなことに気づく。
    殺人事件を追う警察と、大手スーパーの不正を暴こうと駆け回る強い女性記者。二つの話が見事に出会い、そこには現代社会が知らない間に抱えていた様々な問題点の絡まり合う恐ろしい結末が。
    ありうる。知らなかったけど、賢くならなきゃ。消費者として、踊らされるだけの存在になりたくない。なってはいけない。安さが正義ではない。
    チェーン店がこわくなる。画一的な大手が地方の温かい町を破壊する。
    最終的にもみ消される事実。

    震える牛。暴かれる実態に震えるのは、むしろ私たち。

  • 推理小説というより、現代社会告発小説と言った方がよいか。
    大型SCの功罪、とくに罪に焦点を当てて、地方の特色を排し日本全国の画一化、食品偽装等々。
    もちろん良心的な店もあるだろうが、読み終わったら、スーパーのハンバーグなど食べられなくなってしまった。

  • 取っ掛かりは、「居酒屋で二人が惨殺される」という事件だけど、そこから繰り出されるテーマは、食の安全を蔑ろにする行為、大店法の問題点、企業と警察の癒着と重厚長大。くず肉から、薬品を混ぜて加工品を作る機械についての説明…これ、フィクションですよね。リアル過ぎて怖くなった。

  • ドラマを見て原作を読もうと思いつつ、ドラマの内容も忘れた頃やっと読んだ。帯にある『これは、本当にフィクションなのか?』読みごたえのある一冊でした。もう一度ドラマも見てみたい。

  • 警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信。
    発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」。
    居酒屋で偶然同時に殺害されたかに見える二人の被害者は、仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。

    当時の捜査本部は、殺害された二人に面識がなかったことなどから、犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。
    しかし「メモ魔」の田川は関係者の証言を再度積み重ねることで、新たな容疑者をあぶり出す。

    元時事通信の記者である作家が、緻密な取材に基づき、食品業界のヤミに迫る一冊!

  • 作り手が見えない食品、そして、街の顔が見えない商業化。モラルハザードを扱った小説。最後かなりすっきりとしない終わり方となるのかと懸念したがどうやら、軟着陸という感じで一安心した。

  • SCオックスマート。どう考えても身近な◯オンのを指しているのは明らか。地方での商売に行き詰まり、海外への進出という点でも、現状のインドネシアでの展開の規模をみても、一目瞭然。
    マージン率での商売、牛へのこだわり(インドネシアではオーストラリアの牧場をアピール)、これは殺人事件のストーリー以外は、事実なのではないか。

    以前からインドネシアの◯オンに置いてある、サイコロステーキの肉が、加工肉にしか見えないが、きっと大丈夫なんだろうけど、この本を読んでから、疑いは増して行く一方です。。

  • 2017.3.22読了
    初めての作家だったので期待は大きくはなかったが、すごく面白かった。
    キーワードが繋がり、段々と解明されていくところも面白いし、巨大流通企業の問題も興味深かった!
    他の作品も読みたい

  • 我々が口にする安い加工食品は安全なのか?地方の商店街はなぜ衰退したのか?「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。秘密主義が情報公開の必要性に優先された。そして政府の役人は道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ。」「21世紀は生き過ぎた企業権力を削ぐための闘いになるだろう。極限まで推し進められた自由至上主義は、恐ろしく偏狭で、近視眼的で、破壊的だ。より人間的な思想に取って代わられる必要があるだろう。」

  • 題名で殺人の動機が大体わかってしまう.最後のキーワードの刃物の「逆手持ち」もそんな有力な証拠とは思えない.誰だってそんな持ち方する.でもファーストフードを食べる気がしなくなるだけのインパクトはあった.

  • 食品ブレンダーのレシピあたりは 昨日ハンバーグ買ったのを後悔したし 気持ち悪くなるくらいキョーレツ。多かれ少なかれこの要素はあるんだろうなぁ。日本って安全な国だったのに どんどんいろんな意味で危険がいっぱいになってる。

  • 章の区切りが短めなのでテンポ良く読める。
    最後、黒幕(?)がちょっと読めてたけど、それでも騙された感があってよかった。
    しばらくは安いお惣菜やお弁当を買う前に躊躇してしまいそう。
    鶴田さんにはもっと大胆な活躍を期待しただけに、少し残念。

  • きっかけ:読書会での紹介本
    感想:肉怖い!
    物語とはわかっているが、実際にあってもおかしくないと思わずにいられなかった。それだけに一緒に推理を楽しめる。
    全体的には読み応えのあるミステリーで、早く真実にたどり着きたくいっきにラストまで読み通した。
    軽いか重いかといえば、やや重めのミステリー。
    ミステリー好きにはおすすめできる一冊。

  • 社会派ミステリー。

    ミステリーの部分に重きを置くと
    物足りなく感じるけど、
    ストーリーを貫いている現代社会への問題提示部分には、ものすごく考えさせられた。

    ただ、大型SCが地方都市の商店街を駆逐し、街自体が破壊されているという構造については、大型SCの出店だけが全ての理由だとするには首を傾げてしまう。
    進むべくして進んだ経済活動の結果であり、ここからどのように変わっていくのかということではないのかなぁ…。
    そういった意味でも鶴田のオックスマートに対する執念の動機にはイマイチ共感出来なかった。

    最後はなかなか含みがあって良かった。
    ページ数が少なくなって、
    「ええっ、ここで終わるの〜⁈」
    っていう絶望的気分がちょっと救われた。

    なんにせよ、ほぼ1日で読み通してしまうほど面白かったです。

  •  ガラパゴスが読みたくて、どうやら登場人物が同じということなので、読んでみた。面白そうだとは思っていたが、内容が少し重い気がしたので、なかなか読む気がしなかったが、読んで正解!やはり会社絡みのくだりはちょっと難しく読みづらかったが、乗ってくるとぐんぐん読めて、気づけばあっという間に読み終わっていた。 
     過去の未解決事件を取り扱う継続捜査班に所属している田川の元に、2年前に起きた居酒屋強盗殺人事件を継続捜査してほしいと上司から命令が下った。
     事件の目撃談とかを照合していくと、犯人はベンツに乗って逃走したということが分かった。はした金を奪って、たまたま居合わせた客2人を殺し、逃走した行き当たりばったりと思われていたこの事件は、実は別の顏を持っているのではないか。田川は事件解決に向け、地道な捜査を開始した。
     
     とにかくよく調べて書かれた小説だと思った。多くは田川目線で書かれているのだが、犯人に近づく証拠が出てくるたび真実に近づいていくのが、無理矢理感はなく、純粋に物語に入り込めたし、楽しめた。
     最後、会社と繋がっていた黒幕により、事件を事実と違った形で捻じ曲げられそうになるも、やはりリアルさ(刑事の上司には逆らえない、長いものに巻かれる)を求めて、そういう結果になってしまうのかなあと思いきやの、あの終わり方は良かった。純粋に真実を追求する田川の上には屈しない姿勢がなんともカッコよかった。

  • 殺人事件と食品偽装、そしてショッピングセンターの地方進出による弊害の問題をうまいこと融合した、社会派ミステリーの名にぴったりの作品、というのが読了後の第一印象です。近い系統の小説ですと池井戸潤さんの作品が思い浮かびますが、本作はもっと過激ですね。WOWOWでドラマ化されたそうですが、スポンサーに配慮が必要な民放ではまず無理でしょう。
    印象に残った場面はやはり食品業界の闇を抉る部分で、非常に説得力があったと思います。よくよく考えたらこの値段でこの商品って適正価格を考えるとちょっと変じゃないの、っていうモノって食品に限らずいっぱいありますよね。それでもどこか性善説に依った安心感のようなものが私を含めて多くの消費者にあるからこそ、深く気にすることなく安い方を選んでしまっているのが実態ではないでしょうか。本作はその危険性を鋭く突き、強く読者に訴えることに成功していると感じました。
    マイナス点を挙げると、視点の切り替えが早く、人間ドラマとして読むと登場人物一人一人の造詣にあまり深みが感じられなかったところが物足りなかったです。もっともその分だけ物語のスピード感は出ており、サスペンスの括りで読むと十分に盛り上がっていたように思います。

  • みやたぁあぁああ

  • WOWOWでドラマ化された『震える牛』を読了。作者相場英雄氏は作家になる前は時事通信社の記者だったとの事。その経験が行きていると思われる小説だ。社会派サスペンスというジャンルの小説になっている故は、事件の背景として描かれているのが強引な地方出店をしかける大手資本の横暴さでかなり踏み込んだ形で、その出店による地方社会の変容だけではなく、その将来にある危険とそれによるよりいっそうの地方の疲弊の危険性などだからだ。本筋の事件の解決にいたる迷宮入りしかけた事件に取り組むベテラン刑事のアプローチが地道ながら、犯人が隠したはずの事件の痕跡に残る少しばかりの情報から本質に迫って行く様がこれまた素晴らしく、先に書いた見事な経済的背景の描写と相まってドラマ化されたのもさもありなんという物語に仕上がっている。おすすめです。

  • 捜査一課の田川は2年前の未解決事件居酒屋強盗殺人事件を捜査するうちに、金目当ての犯行ではなく、ある巨大ショッピングセンターが関係している事に気づく。それは食に対する企業の杜撰な考え方や、大型郊外店の隆盛による既存店舗、商店街の苦境を浮き彫りにしていく。

    いやあ、この本すごく刺激的で今の偽装だらけの企業や、イオンに代表される大型郊外店の物量作戦で死に絶えていく個人店舗などを思い浮かべながら読むことになります。まだ記憶に新しいミートホープの事件めモデルの一つとして出てきます。
    最近ではマクドナルドの件やまるか食品の件などもあったのでだんだんと怖くなってきました。

    ミステリーとしては一個づつ証拠を積み重ねていタイプなんで、ひらめきで解決していく天才的ミステリーが好きな人には辛いかもしれませんが、一滴の水が次第に集まり怒涛の流れになっていく辺りでカタルシスが。

    しかしまさか最後でまさかまさかあの人が裏切るとは・・

    あ、でも私大型郊外店決して嫌いでは有りませんですはい。

  • これは社会派警察小説です。と、解説にありますが、小説を読んで社会について、ここまで考えさせられたのは、初めてでした。

    食品だけではなくあらゆるものは、自分が信じたそれか。読みながら、こんなことが現実にあったらどうしようと、不安になりました。

    わたし自身、社会についてあまりに知らないことが多すぎると痛感しました。

    二人の警察が熱い芯を持って苦労を重ねながら、すこしずつ証拠を集めていく姿もまた、ぐいぐい引き込まれた要因かと思います。

    シリーズ化してもらえたら、読みたいですね。

  • 狂牛病問題やショッピングモールの地方進出によるシャッター通りや地方都市の風景の画一化など、訴えたいメッセージをミステリー形式にした、という感じで、ミステリーものとしては少し物足りない感じ。牛肉の流通の問題などのノンフィクションとして書かれたほうが面白かったのかもしれない。

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震える牛 (小学館文庫)の作品紹介

平成版『砂の器』、連続ドラマ化!

警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。 田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的に洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことを掴む。ベンツに乗れるような人間が、金ほしさにチェーンの居酒屋を襲うだろうか。居酒屋で偶然同時に殺害されたかに見える二人の被害者、仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。
田川は二人の繋がりを探るうち大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地元商店街の苦境など、日本の構造変化と食の安全が事件に大きく関連していることに気付く。

【編集担当からのおすすめ情報】
WOWOW「連続ドラマW」にて2013年6月より、連続ドラマ化!
出演:三上博史、吹石一恵、小林薫ほか
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日本中を震撼させた戦慄のミステリー、ついに文庫化!

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