- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094088793
作品紹介・あらすじ
今も胸を打つケネディの名演説
ケネディ没後50年特別企画。
2013年11月22日で第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが暗殺されて50年となった。日本におけるケネディ研究の先駆者である国際ジャーナリスト・落合信彦氏が93年に上梓し、ベストセラーとなった『ケネディからの伝言』を増補文庫化。
本書はケネディ元大統領、そして68年に同じく暗殺された弟のロバート・ケネディ元司法長官の来歴・業績を2人の「言葉」を通じて振り返っていく。ケネディ兄弟の数々の名演説について、スピーチの英語原文と著者による日本語訳を併載。既得権勢力や社会の偏見と闘った彼らの言葉は、50年が経った今日もまったく色褪せていない。
感想・レビュー・書評
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落合信彦(1942年~)氏は、東京都出身、都立両国高校(定時制)卒、米オルブライト大学卒、米テンプル大学大学院中退後、米国で友人と石油ビジネスを始め、エクアドルの油田を掘り当てるなど成功を収めたが、1973年に帰国し、その後作家活動を続ける。メディアアーティストの落合陽一は実子。
本書は、1961年に43歳という若さで大統領となり、米国(及び世界)に希望と勇気を与えたジョン・F・ケネディと、ジョンが暗殺された後、1968年に民主党の大統領予備選をトップで走りながら、同じく暗殺された弟のロバート・ケネディが残した数々の(言葉と行動による)メッセージを、彼らの実績とともに振り返ったものである。1993年に出版され、加筆修正の上、2013年に文庫化された。
私は30~40年前の若い頃に著者の多くの作品を読み、その世界を舞台にしたスケールの大きい話に夢中になったし、私がケネディ兄弟を好きなのは、著者の影響が少なからずある(と思われる)のだが、今般新古書店で偶々本書を目にし、思わず手に取った。
読み終えて、著者のケネディ兄弟に対する並々ならぬ思い入れはあるにしても、これほど魅力のある政治家というのは、やはり他にはいないと思われ、特に、ジョンが大統領を務めた、米国人が夢、ヴィジョン、希望、寛容、慈しみを持ち、米国が輝いていた時代(現実にはキューバ危機等が起こっていたのだが)とはどのような時代だったのか見てみたかったと強く思った。
ボビーが暗殺されてから半世紀が経つが、資本主義世界は新自由主義に走って貧富の格差を拡大し、東西冷戦こそ終結したものの、世界中で自国第一主義が蔓延した末、米中対立やロシアの対外侵攻が世界を揺るがしている。にもかかわらず、世界を見渡しても、心に響く言葉を発する指導者は見当たらない(陳腐なワードを繰り返すことしかできないトランプや、官僚の書いた原稿を棒読みする日本の政治家は論外である)。今、ジョンやボビーが指導者だったら、どのような言葉を語るのだろうか。。。
本書の中には、印象的なスピーチ、フレーズが溢れているが、私が最も心に残ったのは、ジョンが1963年6月10日にワシントンのアメリカン大学の卒業式で「平和のための戦略」と題して行ったスピーチの中の、ソ連国民に向けた以下の一節である。
「互いの相違点が存在することは認めよう。しかし、同時に互いの共通の利益にも目を向け、相違点の解決にも努力しよう。そして、もし今相違点を克服できないとしても、少なくとも多様性を認めるような世界を作る努力は成せる。なぜなら、最終的にはわれわれの最も基礎的な共通点は、皆この小さな惑星に住み、皆同じ空気を吸い、皆子供たちの未来を大切に思っている。そして、皆死んでいく身なのだ」
複数の集団(国でも宗教でも)があれば利害が対立するのは世の常であるし、国際情勢・力学もその時々で変化するものである。しかし、このような言葉を聞いて、1ミリも心を動かされない人間などいるであろうか。
著者は本書を次のように締めくくっている。
「ジョン・ケネディは繁栄と凡庸の時代に犠牲の精神を説き、対決の時代に和解を説いた。ボビー・ケネディは超バイオレンスの時代にあって愛と慈しみの心を説いた。そして二人とも、人間の善意、良心、勇気を信じ、人間は絶対に愛する価値があるのだということを命を賭してわれわれに教えてくれた。これこそケネディ兄弟がわれわれに残してくれた最大の遺産であり、未来の人間たちへの伝言でもあった。」
(2023年4月了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ケネディ元米大統領といえば暗殺されたことにスポットが当てられがちだが、ここでは大統領職に就いた3年間での数々の演説や業績に焦点が当てられている。どれだけ国と国民を想い、難題に切り込んでいったかが伺える。特に人種差別問題への取り組みは心を打つ。
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ケネディ家の功績を知ることが出来た。ちょっとスピーチが長すぎて、
途中飛ばしながら読んだ。