アラスカ 永遠なる生命(小学館文庫) (小学館文庫 G ほ- 1-2 VISUAL SERIES)
- 小学館 (2003年5月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094111927
作品紹介・あらすじ
“広大なアラスカ北極圏で、ぼくは点になって待つ”
「広大なアラスカ北極圏で、ぼくは点になって待つしかない」 アラスカに魅せられ、20年にわたりその大自然と動物たち、その土地に生きる人々を撮り続けた写真家・星野道夫。不慮の事故による急逝後も、彼の写真と文章は見る人に変わらぬ感動を与え、新たなファンを増やし続けている。本書はアラスカの大自然の中で星野が多くの生命と出会い、残した数々の写真作品とエッセイの中から選りすぐり、写文集として再構成。写真と文章が相まって生まれる臨場感が、星野ワールドの魅力をさらに広げる。
感想・レビュー・書評
-
星野道夫が、厳しくも美しいアラスカ北極圏を撮影した感動の写真集と文章の物語です。
「カリブー(北アメリカ産のトナカイの呼び名)」
アラスカ北極圏、コンガクット川上流の谷をゆくカリブーの大きな群れを見ながら毎年千キロの旅をするカリブーに想いを馳せます。それもいくつもの大きな川を渡り、著者の撮影用の三脚が飛ばされそうになるほどの強風が吹くブリザードのなかをひたすら歩くカリブーの2万とも10万ともいう大群を思いうかべます。この大群が毎年同じ道をたどるのでなく、どのようにして北に南にと移動して行くのかと。
この群れの中で子供を生んだ雌のカリブーが生まれたばかりのまだ立てない我が子を見つめる姿。生まれたばかりの子どもは足をぐらつかせながらもやっと立ち上がり、必死で母親の乳首を探しています。そのけなげさに感動します。一生懸命に歩いて行きます。それが子どもの生存率の鍵であるとは厳しい自然です。
まだ走ることが出来ない子どもを狙いオオカミやクリズリーが襲って来ます。カリブーの子どもの死亡率は出産後の1週間に集中していると。少し大きくなった子どもが母について川を渡り終えるのを見るとホッとします。
「グリズリー(北アメリカに生息するクマ科の大型動物)」
荒々しくも可愛らしいクリズリーを見ていると読み進めるのが楽しく、母の背中にべったりと乗っかった子グマはなんともいえず可愛いく。兄弟の子グマがじゃれあうさまは微笑みが出てきます。川でクマの鋭い爪のある前脚と口を巧みに使い、数キロもあるサケを巧みに捕まえる姿には驚きが禁じ得ません。クマは、秋に食べるだけ食べて体に脂肪をつけて冬には何も食べずに冬眠します。そのためにはサケをブルーベリーなどの実を食べます。
「ハクトウワシ」
僕を見つめているハクトウワシには、過去も未来も存在せず、まさにこの一瞬、一瞬を生きている。そして僕もまた、遠い昔の子供の日々のように、今この一瞬だけを見つめている。118頁。
【読後】
読みながら、美しい写真を見ながら感動しています。さすがに写真家が撮った感動の貴重な写真です。ただ字が小さすぎで、読んでいると頭の後ろの首の上が痛くなって少しずつしか読めません。この本は、星野道夫が亡くなった後に発表作品とエッセイを、新たに編み直し構成したものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アラスカ 永遠なる生命
2003.05発行。字の大きさは…字が小さくて本当に読めない大きさ。
2022.09.16~20読了。★★★★☆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんと言っても、素晴らしい写真
これを見るだけでも読んだ甲斐があります!
子供にも見てもらいたいと思います
最後に星野道夫さんのお父さんのコメントが載っていて、より感動しました! -
このシリーズは
ほんとうに 嬉しい
そして この一冊は
あの 星野道夫さん
「写真」はいうまでもなく
「文章」がまた 素晴らしい
全て
どこかで 一度
目にしたものなのですが
また 新たな感動を
呼び起こしてくれます
小学館の「編集部」の
力技ですね
最後の
星野逸馬さん(道夫さんの父)の
回顧録が また 素晴らしい -
極寒の北極圏の大自然の中、テントを張ってシャッターチャンスをひたすら待ってとらえた動物たちの写真と、アラスカの自然に思いを馳せるエッセイを集めた一冊。ブリザードの中をゆくカリブーの群れ、母親の背中にじゃれつくグリズリーの子ども、口いっぱいにダムの材料を加えたビーバー。遠いどこか、に思いを馳せたくなったときに勧めたい一冊。
-
星野道夫にしか撮り得ないアラスカ。
星野道夫にしか語り得ない生命。 -
動物の写真がとにかく美しい。グリズリーと鮭の写真が特に好きだった。
最後のお父さんのあとがきも良い。
果てしない自然に身を置いて自分自身の小ささや生き方を考える。星野道夫さんの哲学が詰まっている本のひとつだと思う。 -
自然や野生を感じる1冊。
紀行文や日記からの抜粋もあり、自分もアラスカを旅しているかのような臨場感がある。
何よりも生命力に溢れた写真が素敵。
同じ風景を見ることができたら、きっと圧倒されて涙してしまうんじゃないかな。 -
山仲間のお薦めで購入しました。
この書籍は、写真家・星野道夫氏が発表したアラスカの自然・野生動物に関する写真・エッセイを再編成したもので、巻末には星野道夫氏のお父さんによる回顧録、星野道夫氏の年表がありました。文庫サイズですが、写真は全てカラーでした。
エッセイを読みながら写真を眺めていると、アラスカの厳しくかつ豊かな大自然の中で、動物達を追いかけたり待ちながら写真をとり続けている、星野道夫氏の世界を想像しながら、その世界に浸れて、なかなか良かったです。
書籍中にはカラー写真が沢山使われていましたが、価格は840円だったのでコストパフォーマンスの面でも満足でした。
この書籍が属している小学館文庫ビジュアルシーズ(文庫本サイズの写真集)には、他にも面白そうな作品があったので、そのうち購入したい。 -
なにか悩んだとき、なにも考えたくないとき、心を柔らかくしたいとき。
言葉に透明さがあり、軽くなくて、空虚に響かない。
読んでいて、必ずこころのフックに引っ掛かっる場所がある。
自分にとって大切な一冊。
-
極寒という人間にとっては過酷な中で過ごした星野さんの感性で綴られる文章に触れていると、「命」や「生きる」ということに対して真摯な気持ちになります。
かつてアメリカの大平原を埋め尽くしていたバッファローが消え、あらゆる大いなる風景が伝説と化したこの時代に生まれたことを、「遅く生まれすぎた」と言う星野さん。
躍動感あふれる写真と、静かだけど力強さを感じさせる文章に引き込まれます。
星野道夫さんのお父さんが書いた「あとがき」が実は私の中で最も印象が強く、息子を見守り続けた父親のその優しさと強さは憧れです。
43歳のときに、クマに襲われ命を落とした星野さん。
私のこの人生の中で、少しでも、一瞬でも、星野さんのように生きられたらなと思う。