- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094120172
感想・レビュー・書評
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複数の作家が青森を舞台にした短編を寄稿したアンソロジーだ。
西村京太郎のような昔ながらの紀行ミステリー作家もいれば西加奈子や井上荒野など文学よりの作家もおり、その顔ぶれがおもしろい。
こうして短編集になってみると、物語性の強い土地だな、と思う。
どこかまだ未開の、霊的な磁場を持っているように感じられるのだ。
短編はスピリチュアルなものからホラーやゲイの話、青春小説までさまざまで、作家の個性があっておもしろい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
題材が津軽か恐山ばかり。
青森には南部もあるんだよ!
と思う、南部衆でした。
やはり青森といえば
このようなイメージなのでしょうか…
でもしかし、
青森へのイメージを率直に知ることができる、面白い短編集であると思います。
ストーリーになんとか青森を盛り込もうと苦心する、作家さんの姿が目に浮かぶようでした。 -
タイトルを見て、東北新幹線青森開通にちなんだ発刊なのかと思い、手に取りました。
島本理生、嶽本野ばら、夏川草介、森見登美彦など、気になる作家のアンソロジーというのも気になります。
読んでみると、想像していたものとは違いました。
東北新幹線延長にちなんだ短編集と思ったため、未知の北に対する好奇心やワクワクにあふれたものかと思いきや、どこか重く暗く陰鬱でよどんで謎めいた空気が立ち込める作品ばかり。
作家それぞれに、持ち味である独特の世界観、軽みがあるはずですが、寄せられた稿は、どれも一様に暗く塞がれたような押し殺した雰囲気で、これは青森に対して作家が抱くイメージがどれも同じようだからではないかと思いました。
森見作品はミステリー。さすがに普段の京都ではなく、青森を舞台にしています。
『きつねのはなし』といい、この人のミステリーは、曖昧模糊としすぎて私にはよくわからないのですが、今回もすっきりしないままに終わりました。
『神様のカルテ』の夏川氏は、その中でもかすかに救われる感じの内容となっていました。
森沢明夫の『津軽百年食堂』『青森ドロップキッカーズ』の本の紹介ページが挿入されていましたが、彼の作品はありませんでした。
太宰の生家を訪ねる西加奈子の短編は、青春物語の明るさがありましたが、深読みしすぎたのか、彼らのその先の目的地は『津軽』のように竜飛で行き止まりになってしまうのではないか、という閉塞性も感じてしまいます。
掲載されている写真も、古くて貧しく寒い感じがするものばかりで、常にどこかに立ち枯れの死の影が漂っています。
北の果てというイメージが世間一般に浸透しているのはよくわかりますが、オリジナルの視点を提示してくれる作家をもってしても、やはりそこからは抜け出せないものでしょうか。
青森に親戚がおり、津軽人の明るさ、朗らかさを知っている私としては、単一イメージには食傷ぎみで、なにか打破する、目の覚めるような新鮮な視点を待っていましたが、そういった飛び抜けた意識はどの作品にも見られずに少しがっかりしました。
逆に、青森に縁遠く、最果てのイメージを持って読む人にとっては、まさにぴったりとツボにはまるものかもしれません。
そう思うと、青森は、不動のアイコンとして物語られる余地を未だ残したシャーマニックな土地だと思えてきます。
今をときめく作家たちが青森の、かなり辺鄙な地方までそれぞれに赴いて、執筆に当たっての情報収集をしたという点に、なかなか感慨深いものがありました。
短編集なのに、この本を編集する上でのまえがきや解説がありません。
編集後記はありますが、青森私記のようなもので、本全体についての説明がなく、よくわからないままに読み終えました。
ストーリー・ボックスというスタイルを知らないせいかもしれませんし、『青森へ』というタイトルに尽きるのかもしれません。
青森は、やはりミステリアスな土地なのですね。 -
青森出身としては読むしかないでしょ
と思い購入。
さくさく読めます。
不満はただ一つ
南部を舞台にしてくれ -
自分の生まれ育った故郷青森が題材の短編集ということで手に取りました。しかし、わりと暗いネタばかりで、「あぁ~、青森ってこういう印象がなんだ?」と思いつつも、普段、怪談やホラー、幻想小説を好んで読む自分としては、決して嫌いではありませんでした。中でも森見登美彦さんの「夜会」の雰囲気が印象的です。また、嶽本野ばらさん「死霊婚」も怪談としては秀逸です。しかし、欲を言わせてもらえば、もし次回青森ネタで続編を書いてもらえるのであれば、津軽方面ばかりではなく、三戸、七戸、八戸あたりの南部方面もネタにしてもらえると嬉しいです!
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青森を舞台にした、書き下ろし読みきりモノを集めてあります。
神様のカルテシリーズ以外の、唯一の夏川草介の作品が収録されています。
夏川草介もそうですが、あんまり、青森と縁がなさそうな作家が書いている、というのが面白いところ。
故にかどの作品も、東京を中心とした「外部」から青森を訪ねていく、という設定ばかり。地元の人が読んだら、どう感じるのか、感想を聞いてみたくなります。 -
2011/03/18読了
なかなか面白かった。青森って、どんなところなんだろうな?少し物寂しい感じのイメージがあるんだけど。
そういや、シャーマンキングのマタムネ編が自分の如実な青森ってイメージです。少し荒廃したような、でも不思議な神秘さを持っているような。
モリミーがいたから買ってみたんだが、それ抜きでもなかなか面白かった。
こういうテーマアンソロジーは興味深い。
あ、「海峡」岩川隆 著 文集文庫
気になるね。絶版してるらしいんだが、どうにかして読んでみたいなってメモってみたり。
「寄り道」夏川草介
これが一番面白かったかも。いい伏線だった。
大学の事を知っているから分かりやすかったし、いやあ、フィールドワークっていいねえ。
あと、こういう偏屈なおじさんほど、人の愛情をわかってるんじゃないかな。
「下北みれん」井上荒野
うーん・・・よくわからなかったなあ。
ラストがいまいち理解できんかった…。
「捨て子たちの午後」島本理生
神父でなく、一人の人間、捨てられた子どもとして、その女の告白を聞いた中山神父は何を考えたんだろうね…。ちょっと苦しい感じだった。
「泣く女」西加奈子
これは共感できる。
まさしく今の私だったからさ!
作家さんのいた土地めぐりは興奮するよね。
青森の寒寒しい、荒々しい?うーん…何ともいえない、物悲しい風景のイメージが脳裏に浮かんだ
「死霊婚」嶽本野ばら
いや、男最低すぎるだろうが…
「夜会」森見登美彦
うーん、きつねのはなしのノリ。マジメサイドでしたね。
何ともいえない謎テイスト、結構怖かったぞ!
「親指」相場英雄
まあ面白かったけど、ムリがあったぞ
「青森わが愛」西村京太郎
句読点乱舞で、読みにくかったぞ! -
購入:2010/11/21、読了:2011/6/2
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青森へ 「夜会」