トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)

  • 180人登録
  • 3.93評価
    • (12)
    • (22)
    • (9)
    • (3)
    • (0)
  • 21レビュー
著者 : 青木理
  • 小学館 (2013年11月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094120479

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 近年の徳田トラオに接近しなければ書けなかった本。秀作だがもう少し徳洲会やかつての過激な選挙戦に踏み込んでほしかったがこれが限界か???
    徳田の称賛本でないところが良い。著者の青木氏はテレビで見る範囲、感じが良く、バランス感覚もある。

  • 徳田虎雄、全国に展開される徳州会の元理事長は、先般の公職選挙違反で一躍有名になったが、ALS (筋委縮性側索硬化症)に侵され寝たきりにながらも実験を握ってグループを率いていたという話も併せて広く知られるところとなった。本書は、公職選挙法違反により、徳州会の存在とその活動が世の中一般で広く知られるようにになる前に書かれたものだ。その事件の前後によって、おそらくは徳田に対する印象と評価がほとんど変わらないであろうということからもその稀有さがわかる。著者と同じく、自分もこの徳田虎雄を悪人だと断罪することができない。

    「一般的には間違っているといわれるようなことでも、正しい目的を成し遂げるためなら、そのために使った手段もすべて正しくなってしまうんですよ(笑)」というグループ幹部の言葉が、徳田虎雄の選挙問題や医師会との軋轢に関するすべての論理であるように思える。

    本書は、不治の業病であるALS罹患が結果として持つ意味と、そのALSに罹った上でいまだ強い意志を持って徳州会という団体に君臨する怪人徳田の物語だ。徳田がALSを患わなければ、またそれ以前に政治に出ていかなければ、どうなっていただろうか、と問うと同時にそんなことは無意味だと思う。当の徳田自身がそういった「たられば」とは最も遠いところで生きている。体の自由が奪われ、栄養の補給も人工的に行われ、いずれ呼吸も自律的にはできなくなり気管切開手術が必要となる。患者の意思の伝達は唯一残る目の動きで示す文字盤の位置によって行われるのみ。介護する家族にも、負担が重くのしかかる。徳田は、医師としてそこから逃れられないことを知りつつ、自らの思いに生きる。全身不随となってからも全国の病院の会議や数字を確認して、病室から指示を出すというのだから正直信じられない思いだ。それは、嫌われることを引き受けることで、自分の意志を通す、それができるのは自分しかいないという想いからの行動なのかもしれない。

    「生命だけは平等だ」というスローガンを掲げ、「年中無休、24時間オープン」、「患者様からの贈り物は一切受け取らない」「困った人には健康保険の3割負担も免除する」というモットーを掲げ、幼き頃の弟の死から誓った離島医療の実現と、徳州会を世界へ拡げるという意志は衰えない。公職選挙法違反に問われたのは、自身の側近を切った意趣返しであったと言われているが、このように情報の入力経路が極端に限定された独裁者が全体をコントロールすることの危うさが伺える。

    徳田が、ALSにかかる前に、死期がある程度わかるので、癌で死にたいと語っているが、その心性は理解できる。ALSに罹った上で戦う徳田の死生観として印象的な言葉ではある。

    公職選挙法違反は間違いないが、そのことと徳州会が突き付ける医療問題、医師会の問題はないがしろにはしてはならないと思う。

  • 徳洲会の創設者、徳田虎雄を描いたノンフィクション。ホリエモンの本で紹介されていて購入。徳田虎雄自身の言葉ではなく、周辺への取材から書かれている。読んでて楽しいとしか感じられない本。

  • 著者はジャーナリストの青木理氏。

    感想。私にとってはとても新鮮な世界。

    備忘録。
    ・「生命だけは平等だ」
    ・「年中無休・24時間オープン」
    ・「急患は断らない」
    ・「患者からものは受け取らない」
    ・「保険の自己負担も困った人には免除」
    ・「冷暖房費無料」
    ・vs医師会
    ・医療改革→離島や過疎地にも充実した医療体制を
    ・政界進出
    ・保徳戦争
    ・自由連合、立候補者多数擁立→失敗
    ・石原新党
    ・小沢
    ・鳩山、徳之島移設
    ・バブル崩壊後RBSによる事業証券化で2000億円調達し邦銀借入を返済→リーマンショック後邦銀がリファイナンス
    ・2012年12月公職選挙法違反(職員の選挙応援=運動員買収)
    ・能宗

  • 真似できないな。徳田虎雄という特異な人物像をみてそう思った。慣習にしたがっているようでは、飛び抜けることなんかできない。徹頭徹尾一貫した態度は作為的でないことの現れなんだろう。良し悪しは抜きで、真にイノベーティブな人物は我々一般人とは全く異なる動機から仕事をしているのだろうなと感じた。
    そして何しろこの人の人生で一番スゴいのはルールなんか関係ない、俺が正しいと思ったら正しいんじゃい、と医者になってさえも貫き通した人生の終わりに、ALSという難病中の難病を煩い、病のルールに囚われていること。なんたる皮肉。

  • アイスバケツで話題になっているALSを患う 病院王の生き様のお話 医療 政治 経済 社会 について とても勉強になった

  •  一代で日本一の病院帝国を築き政界進出も果たした徳洲会創設者、徳田虎雄の人生に迫る。
     
     猪瀬前都知事の辞職に絡んで大きな話題となった徳田虎雄と徳洲会。
     徳田の正しいことをするなら手段は何でも正しいという感覚、ALSになって尚トップとして病院経営を続ける程の恐ろしいまでのバイタリティ。さらに徳田個人以外でも、娯楽の少ない島では選挙が賭け事の対象で一生懸命な人が多かったり、選挙に熱心に取り組むことによって組織がひきしまるという事情。この本を読む徳洲会事件がなぜ起きたのかの一端がよく分かる。
     この本がすごいのは、この本を読むと上記のことが分かった上で、それなのになぜか徳田虎雄という個人が好きになってしまうことだ。何とも不思議な気持ちである。

     怪物、徳田虎雄を体感できる良書。

  • 徳田虎雄のハチャメチャな半生。ALSを患いながらも彼のエネルギーはほとばしり続けとどまることを知らない男。
    自分の理想を実現させるためには手段を選ばない姿勢には感服するばかり。
    青木理の取材力はあっぱれである。

  • 難病との壮絶な闘病生活。今までのパワフルな生き方。波瀾万丈の人生には、タフなトラオ魂がしっかり根付いている。大した人間だ!

  • 島育ちの少年が浪人をしながらも猛勉強の末に医師となり、若いときに自身に保険をかけて銀行からカネを借りて徳洲会グループを立ち上げた徳田虎雄氏。彼の尋常ではないエネルギーの源泉の正体。同氏の生き方と徳洲会にあり方に迫る。

全21件中 1 - 10件を表示

青木理の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
ヴィクトール・E...
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)に関連するまとめ

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)の作品紹介

徳田虎雄氏の「正体」に迫る決定版評伝

日本一の病院帝国を築いた徳洲会創設者・徳田虎雄氏がいま、己の「生」と向き合っている。ALSとは身体を動かす神経系が壊れ、全身の筋肉が縮んでいく難病だ。02年春に同病を患った徳田氏は、もはや全身の自由が利かない。
それでも眼球の動きで文字盤を追いながら、こう語るのだ。「これからがじんせいのしょうぶ」。
だがそんな徳田氏にも「運命の時」が近づいている。13年に徳洲会グループは、次男・毅氏の衆院選を巡る公選法違反容疑事件で東京地検特捜部の強制捜査を受ける。さらに徳田氏自身の病も進行し、眼の動きすらままならなくなる「完全なる閉じ込め状態」も、近く訪れるかもしれない。
窮地の徳田氏の「心奥」と徳洲会騒動の「核心」を気鋭のジャーナリスト・青木理氏が描く。

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)の単行本

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王 (小学館文庫)のKindle版

ツイートする