とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)

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著者 : 犬村小六
制作 : 森沢 晴行 
  • 小学館 (2011年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094512984

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 一人の飛空士が戦況を一変させる…というのはファンタジーに近い話なんだろうけど、良かったです。
    戦争は二度と起こってほしくないし、あって良かったとはちっとも思えないけど、戦争を戦っていた人たちの思いは、もっと知っていなければならなかったのかな、と思いました。
    大体聞くのは、こんな被害にあった、こんなひどい目にあった…という話ばかりなので、戦争を戦った人がどんな思いでいたのかということを考えたことがなかったです。
    普段ならば目を背けたくなるような話なのですが、その人たちの努力の上に今の生活があるのだと思うと、感謝していかなければならないことですよね。

    …って、完全に過去の戦争のことを考えていますが、このお話自体は架空の世界の架空のお話です。
    一人の飛空士の生き様…という言い方が本当に似合う。

    何度も泣きそうになりました。
    ホント、このシリーズにはうかうか通勤中には読めませんね(苦笑)。
    「左捻り込み」の飛び方の軌道がイマイチわからない自分は、読解力がないなぁ…と思います…。

  • かっこ……よすぎだろ!(ToT)
    泣いた。その清々しさと誇り高さに、幾度となく本を持つ手が震えた。

    帝政天ツ上と神聖レヴァーム皇国の
    己の全力をかけて戦った中央海戦争
    その決着がつく時が、ついにきた。

    次第に物量で押しはじめてきたレヴァーム軍に
    疲弊していく天ツ上軍の飛空士たち。
    極限状態にありながらもその胸に燃える闘志と誇りは消えることなく、彼らを奮い立たせる。

    空では無敗を誇る千々石も、度重なる出撃に疲労の色は濃い。
    しかし、満身創痍の千々石の前に
    とうとう
    再会の思いに焦がれて止まなかった男の、その両翼が煌めくのだったーーー。


    追憶を読んだ時には、ただひたすら敵対するものとして恐怖の対象だった真電と、天ツ上に繰り広げられたドラマを見て
    悲しくて仕方がなかった

    彼らのうちに宿る思い、願い
    そしていかにレヴァームが差別の眼差しでこちらを見ていたのか
    ひたすらショックだった

    戦争は一元的ではない
    誰が諸悪の根源というのでもない
    起こるべくして起こったただの事象としての戦争にもはや意味などなく
    無駄に命が散華していく

    ほんとに戦争は虚しいものだと、読みながら痛感した

    それでもその戦いの空に、流れる血に、交わされる意思のやり取りに
    言い様のない格好よさを覚えて高揚する自分は、やはり残酷なのだろうかと
    ちょっと思ってもみたり

    あんなにかっこよかったシャルルにはつい
    必死で、来ないで!!と祈ったw
    そして何度となくファナに、早く戦争を終わらせてくれと願った…
    これ以上誰かが犠牲になる前に…


    虚しいばかりに命は散って
    海も空も大地も、砲弾と鉄屑に汚れ
    ほんとに失うばかりで何も残らなかった戦争だけど
    読了後のこの清々しさは、いったいなんだろう…

    彼らと駆けた空はすぐ目の前に見え、彼らの命の軌跡を刻んでいる。

    どこまでも変わらず続く
    自由の青い空

  • 上下巻合わせて600ページほど。一気に一日で読みました。

    上巻では勝ち戦だった天ツ上・帝軍ですが、戦争が長引くにつれて国力の差が浮き彫りになり、苦境に立たされていきます。
    上巻のレビューにも書きましたが、この辺は太平洋戦争の旧日本軍の様子と同じ感じだったようですね。
    旧日本軍は偵察機を使っての偵察スキルが驚くほど高かったので、レーダーの機能を高める必要が無く、開発が遅れたようですが、同じような描写が作中にちらりとあり、ニヤっとしました(他にもたくさん、いいところも悪いところも含めて、史実になぞらえた描写がある)。
    そんな中、敵の索敵スキルやミサイルの機能、そして敵機アイレスは、もはや真電では追いつかないほどの進化を見せます。
    だんだんと厳しくなっていく戦況の中、やはり千々石と仲間たちの交流のシーンはほっとする。
    波佐見が意外とミーハーで可愛かったりするんですが、心躍ったのは観音寺・御堂の登場。
    強くて気さくでイケメンで、本当にいいキャラ!
    彼らにも秘められた物語があると思うので、いつかどこかで読みたいです。
    しかし、その観音寺と御堂、そして杉野・松田が散ります。
    あんなに心強かった彼らが敵機の機能が凄まじすぎて撃墜された時は、ドラゴンボールで言うとベジータとピッコロがやられてしまったくらいの絶望感が漂いました。
    飛空士シリーズは「追憶」とこれしか読んでいないため、天ツ上がどうなったかわからず、この時点では「あー負けたわ。レヴァームと併合だわ」と思った。

    千々石は海猫と最後に一騎打ちの対決をします。
    勝負には勝ちますが、運命には抗えなかったということでしょうか。
    勝負の後、千々石なら逃げることもできたと思うのですが、そうしなかった。
    逃げてもしょうがなかったんだと思います。
    逃げて戦に負ければ、自分も、仲間も、ユキも、皇軍に自由を奪われて、人として生きてはいけない。
    作中で波佐見も言っていますが

    P360
    「戦って死んだ人間たちは、意味など求めておりません。ただ身近な人を守りたかった」

    自分が逃げずに応戦することで、未来に続く扉を一ミリでもこじ開けたかったのかもしれません。たとえ死んでも、ただ死にになっても。
    現代に生きる私は、こういう軍人の感情を100パーセント理解するのは無理なのかもしれない。
    でも少なくとも、千々石はその運命を何一つ悔いてなかった。

    ユキを残して散った千々石が惜しまれてなりませんが、千々石の生き様・死に様が深く心に残った600ページでした。

  • 「とある飛空士への追憶」から続く物語、結論から言えば、個人的嗜好の正にど真ん中!最高にエキサイティングかつドラマティック。生涯ベスト10入賞の一大傑作だった。この思いを忘れないためにも色々思うことを留めておこうと思う。


    ここ数年において最も売れた書籍に「永遠の0」がある、特攻を描いていることに注視されがちだが、かの中では軍人が描かれていたことを既読の方は覚えておいでだろうか?残念ながら映画では省略されてしまっていたが、実在した戦闘機搭乗員のエピソードが実名にて散らされていたのである。いわずもがな彼等の愛機は零戦。


    そして宮崎駿監督による「風立ちぬ」零戦設計者堀越二郎を主人公に据えた作品である。こちらは観てない。


    いずれにしてもかつての日本が世界に誇った技術の結晶が注目を集めることになった。今の若者いや子供達でさえも「ゼロ戦」は死語ではないはずだ。同時にであるが隣国の影響もあり太平洋戦争を含む先の大戦も、真実とその歴史の解釈は大きな社会問題といえるだろう。


    その中で作者犬村氏は「追憶」を2008年に、そして今作「夜想曲」を2011年に上梓している。

    作品のジャンルとしてライトノベルに属するようだ、ファンタジーと言ってもいい。なぜなら作品世界は現実世界の地理にあてはまらない、さらにその地の人間、これは我々と同じだが、彼等の運用する技術、兵器は現実とはまた違う。航空機の技術はほぼ同じだが発動原理が全く違う。さらに大出力揚力装置なるものがあり、艦船は洋上を航行するのはもちろん空を飛ぶのである。しかし、排水量の大きな艦船は脚が遅く、戦闘においては互いの航空機による攻撃が必然なのは現実と同じなのだ。


    震電なる戦闘機がある、太平洋戦争末期に旧帝国海軍が試作した局地戦闘機、いわゆる迎撃機である。米国の爆撃機を邀撃する為に設計試作されたがそのフォルムは一度見たら忘れられない。ハッキリいってめちゃくちゃカッコいいのだ。そこには芸術的美さえ見てとることができる。


    戦争の道具、人殺しの道具であるその機体ではあるが、それが生まれた背景には携わった人達の並々ならぬ努力の賜物、試行錯誤の結実なのだ。そこに美を見るのは不謹慎なのかもしれない、しかし実際そう感じる己がいて同様の感慨を持たれる方もいるはずである。


    そしてその機体が躍動する時、大空を舞う姿を目視した時、それ以上の美を視認し大きな感動に包まれたとしても、それを不謹慎とは感じない己がいるのだ。今作では震電をデザイン的に模した「真電」なる戦闘機が登場する。銀翼を煌かせて大空を翔る戦闘機同士の空戦、その優美な機動と生死を賭けたダンスが物語りの大きな軸となっている。


    「追憶」で主人公を追い詰める敵役、帝政天ツ上パイロット千々石 武夫が今作の主人公である。空戦において無敗敵ナシだった撃墜王が手痛い一敗をくらった相手、神聖レヴァーム皇国パイロット「海猫」を幾多の戦域を潜り抜けながら捜し求める物語である。そして敵を撃墜すること、人を殺すことが戦争という局面であっても正当化されるのか?軍人の責務を果たすことと敵を殲滅することが己の中で折り合えるのか?真っ当な自分で居続けることができるのか?軍人の内面を緻密に描き、彼のアイデンティティを宿敵に向けることによって残酷な空の死の物語を、優雅な様式美へ変革せしめる物語であった。犬村氏は「永遠の0」ではさほど取り上げられなかったパイロットの生き様をファンタジーの世界観の中で見事に描ききった、そう思うのだ。軍人、パイロットが己が戦う目的、使命、と命令は常にそのベクトルが合致していたことは、おそらくないと思う、しかし明日をも知れぬ身なれど、心のうちでなんらか折り合いをつけ仲間を思いやり空へ駆けていったのだと思う... 続きを読む

  • 別の作品では悪役だったキャラが主人公。ちくしょう、嫌いになれなかった。むしろ好きだ。

  • 多分、これは追憶がヒットしたからこそ書けたんじゃないかなぁ、と思うほどの
    ラノベっぽくない一冊。
    俺個人としては面白ければなんでも良いのだけれど、もう、上下巻通して女性キャラが一人しか出てこなくて、作者の書きたかったであろう漢祭りが全開でした。
    今はちょうど夏ですし、元ネタであろう大空のサムライ、ひいては旧日本軍などについても少し思いを馳せても良いかもしれません……。

  • ライトノベルらしからぬライトノベル、というのが一番の感想
    最近目頭が熱くなる事が多いのも要因かもしれませんが、戦争というものを重すぎず、かといって軽くと言う訳でもなく絶妙な重さで綴ったものだと思いました
    読んだ者にしかわからない何とも言えない複雑な気持ちがあります
    おすすめの本として周りに薦めたい本です

  •  本作を創作と呼ぶのは躊躇。
     また、シャルルって本作のような性格だったかという違和感、ストーリー展開とそれに付随する登場人物の性格描写が型どおり。
     余りに唐突かつ?だらけの戦争終結展開に加え、そもそも、戦争期の、ある個人の体験と心裡を描写展開していく作品に、敵国家の意思決定如何は必要とは思えない等々…。

     男しか出ない物語は全然問題ないんだけどなぁ…。とまぁ、その点はおいても、ベタベタな戦記モノ(というより特攻ベースのお涙頂戴モノ)は、子供の頃と違い、個人的にはもう全く楽しめないんだなぁということを思い知らされた。

  • 空にしか生きられない男たちの物語。
    今私たちが平和に暮らしていけるのは昔の人たちが戦争で辛い思いをしたから。
    私たちに同じ思いをさせまいと世界を変えてくれたから。
    この物語はフィクションだけど、そんなことを思い出させてくれた。

  • そうやって時代は語り継がれる?

  • 大空で戦う勇者の物語。ひたすらストイックで格好いい男たちの物語です。ゆるいラノベに飽きた人に是非読んで欲しい。

  • 歴史に刻まれる礎とはこういうことだ。これを決して忘れてはならない。
    歴史に偉大な名を残した千々石武夫。見事な生き様だった。かっこよかった。空の王だった。


    この物語を、決して忘れてはならない。

  • ちょっと無理のある空戦シーンではあるが、ストーリーの展開は面白い。

  • 「ビーグル」と「海猫」の最後の戦い。
    アイレスV300機と真電改3機の戦い。

    空戦が始まってから涙が止まらなかった。
    鮮やかな飛空に高揚しながら、どうかもう誰も死なないでくれと懇願しながら読みました。
    展開は想像した通りのものでした。それでも、真電改と一体となって飛ぶ千々石の姿に心を奪われて泣き続けました。

    イラスト無しで、いかにもラノベのヒロインの存在が無かったら★5を付けます。

  • やっぱり、ファンタジーはいい。夢がある。細かいところ気にしなくても頭に情景が浮かびやすくて楽しめる。
    うーん、海猫のその後が気になってしょうがない。

  • 東洋人を人扱いせず、圧倒的な物量で攻めてくる皇国に対し、絶望的な戦況でも誇りをかけて戦う戦闘機パイロットの戦記。

    「恋歌」で主人公を執拗に追った千々石の話。
    何故斯様に王女を追い詰めなければならなかったか。逃したことでどうななったか以降が、ヒロイックに描かれる。
    例え死ぬことになっても、民族ごと人扱いされない未来を受け入れるぐらいなら、退かず戦うという状況は、
    幸せのカケラもない人生は生きる価値がない思う私の感覚と合致する。
    だから、自分の人生は終わって良いから、大切な人の生きる国を守る状況も燃えたのだが、やはり帰らない空はいささか悲しい。
    盛り上げるための死を量産しすぎている気もするし。

    空戦は装甲に頼りにくい分、技量で性能をカバーしやすいのでヒーローが生まれる余地があるという。このシリーズは、ずっとその、極端なヒーローを中心に据えて、なかなか面白い。
    常にどこか、やりすぎている気は、するが。

    そう似ているわけでもないが、アイゼンフリューゲルを思い出しました。

  • この壮絶な雰囲気を漂わせた表紙に、千々石という人間。そして、戦況からしてこの結末になることは読めたことなのですが、やはり胸に来るものがありました。そして、その覚悟を支えたもの。それが海猫も千々石も互いに、愛する人への思いだった、というのが非常に興味深いと思いました。もう少し、停戦が早ければ。その思いもありますが、停戦を呼び込んだのが千々石の最後の空戦だった、というのが胸に強く残りました。残された人々は辛いと思いますが。彼の思いを受け取ってくれるのではないかな、と感じました。熱くて苦しくて、最高の物語でした

  • ここ最近で1番のディープインパクト。 迫力ある空戦の描写の細かさと熱さはラノベの域を越えてしまっている……もはやラノベではない、な。
    もう言葉はいらない。 読むべし読むべし!

  • 空戦シーンは上巻以上の迫力。少し描写が第二次大戦の日本軍に寄り気味な点と、相変わらずの女性キャラへの違和感を除けば本当に名作に仕上がったと思う。うーん、惜しい!

  • 正統派戦記モノとして読み応えありました。

    悲しい結末が見え隠れしてくる中、救いのない終わりへと進むだけかとおもいきや、この作者ならではのある意味では救われるエンディングへ一気に進んでゆきます。

    絶対オススメの本です。

  • 熱い男の熱い物語。最期の空戦は決着に相応しい戦いでしびれるものがある。それを上手く表現してる描写も素晴らしい。

  • 血に染みし操縦悍を握り締め男命の生き甲斐ぞ知る
    (有名な句)


    そんなラノベ。


    面白さを優先してよかった。(上下読了)

    モデルの分かりやすい状況・舞台で語られる、あの作品のその後。というか。


    親しみのような感情を抱きながら1日で読みました。

  • いや,いいよ.凄い良かったよww
    特に,最後の展開・・・

    飛天御剣スタイルッ!!
    天・翔・龍・閃ーーーーーーッ!!!

    ・・・みたいになってたぞww
    いや,マジでww

    気になった方は是非に

  • シリーズ第1作の追憶以降ぱっとしねぇなぁと思い続けて早幾年、ここに来てようやくの大ヒット。燃えた燃えた。互いを恋焦がれる焼けつくような海猫と魔犬の思い、意地と信念で自分の命を燃やす天ツ国の兵士たち、これ読んだ男は間違いなく熱くなるな。

  •  筆者は千々石がどこまでも好きだったンだろうなと思った。

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サイオン島には「魔犬」がいる-。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった…!魔犬と海猫-ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結。

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)のKindle版

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