- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094513097
作品紹介・あらすじ
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。…なんですが。高い知能を持つ妖精さんのまわりは不思議なことだらけ。理解不能なおかしな道具を創って、わたしの身体を小さくしたり。現場復帰する、祖父の助手さんのお迎えに、何度も何度も行かせたり。…そんなこと、報告書には書けません!えっ?わたしが一因?ではないですよ!?お疲れの人類の脳に刺激と安らぎを…。
感想・レビュー・書評
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『人類は衰退しました』第2巻。
『人間さんの、じゃくにくきょうしょく』
里に出回っている妖精さんの遺留物(不思議アイテム)を回収・調査することとなった調停官である"わたし"。妖精さんの遺留物は、何を目的に作られたのか分からない不思議なアイテムばかり。その中の一つ、謎の数字が書かれた「計量スプーン」のようなアイテムを調べていると、なぜか頭に刺さり、なぜか薄力粉が産生され、なぜか身体が縮み―――。
『妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ』
現場復帰する、調停官である祖父の助手を迎えにいくため、待ち合わせ場所に向かう"わたし"。早く迎えに行けと叱る祖父、待ち合わせ場所からいなくなった"助手さん"、"助手さん"を探しに林に入ると出会う不思議な女性、妖精さんから差し出される"バナナ"、滑って転倒する"わたし"、早く迎えに行けと叱る祖父・・・同じことを繰り返しているような―――。
ほんわかしているが、なかなかにハードな2編。『じゃくにくきょうしょく』は、"自分が消える恐怖"というハードなシチュエーション。『じかんかつようじゅつ』は、意味が分からないと「?」で終わってしまうなかなかにハードなSF。2冊目にして、"ロミオ節"炸裂という印象。特に『じかんかつようじゅつ』、氏が手掛けたADVゲームが思い出された。「"ほんわか"の皮を被った"ハード"な作品」、次巻以降も期待したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「こ、このスプーンです!このスプーンがわたしをこんなポータブルな体に!持ち運びのしやすい体に──っ!」
ほのぼの黄昏SF、②。
よりSF色強くなっているようです。
ドラえもんの道具的に妖精さんの不思議アイテムで大変なことになる「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」と、
タイムリープでループでバナナでスリップな「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」の2本でお送りします。
タイムスリップ物は楽しい。
ネタバレを避けて感想を書けないのが残念ですが、「すぐおいしいけど、すごくとおくにとばされるばぐが」あったばーじょんのバナナで飛んだ先のジョシュサンが二重の意味で関わってきているあたり上手いな〜と。
不条理込みでなんでもアリ、な妖精さんのせいにしておけばどんな話でも出来るこのシリーズは可能性無限ですねえ。
続刊でどんなトンデモに発展してくれるのか楽しみです。 -
ほのぼのとしたタッチで、怖い道具が出てくるのはある意味本当の童話なのかなあとか
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1巻とは打って変わってSF臭さが沸き立つ2巻。1巻を読んだ時は世界史チックな流れになると思っていたのでそこは寂しいのだけど、それはそれ。
<人間さんの、じゃくにくきょうしょく>
「あるじゃーのん」というのはやはりあの小説のパロディだろうか。同じく自閉症(だっけ?)をテーマとした『くらやみの速さはどれくらい』しか読んだことはないけど、その手の小説を読んだことがあるなら、この短篇の恐怖はより一層伝わってくるんじゃないかと思う。
<妖精さんたちの、時間活用術>
今後のストーリーに強く絡んできそう。とりわけp.228から始まる「助手さん」の歩んできた世界の話は、この小説の世界観ともがっつり結びつく。
また、文面に少しだけ顔を覗かせる心の機微が非常にかわいらしかった。そういやこれライトノベルだったな、と今更気が付いた。これはボーイミーツガールの香り。
タイムリープモノは読んでて疲れるから好きじゃないんだけど、楽しめたと思う。 -
「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」
頭から出てくる薄力粉の正体は。
薄力粉の正体に気付かずに、最後まで使い切ってしまったらどうなるのだろう。
数字と比例して体が縮んでいくのなら、最後にはやっぱり消えてしまうのだろうか。
「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」
滑って転んで、戻って進んで。
みんな同じ時間軸から来たのかと思いきや、思った以上に幅広くて驚いた。
妖精さんたちは一体どうやって、こんな幅広い時間軸の私に出会いに行ったのだろう。
「五月期報告」
なんだかチグハグな報告書だと思ったら、逃げた知性をまだ回収しきれてなかったのか…。
そして今回より登場の助手さん。
不思議な雰囲気の彼が、今後どのように活躍するのか楽しみだな。 -
読むスピードの遅い私でも比較的するりと読めました。積極的に妖精さんが人間に関わってきた結果、大変な事件になります。
「私」が妖精さんと同じ目線で大冒険する前半と、うっかり自分の発言からお菓子を作るためだけに大変な目に合う後半の二本立てです。
前半は一巻とはうってかわって「私」が主軸になって妖精の世界を体験します。主観的に描かれる妖精の世界は鮮やかで、次々に現れる意外な事実に飽きることなく、非常に面白く読みやすい仕立てになっています。
対して後半は「難解」。新キャラである助手くんが主軸なのになかなか登場せずムラムラしたり、度々登場する「女の子」「犬」「バナナ」という謎のキーワード、物語が前後で矛盾(パラドックス)するなど、読みながら頭がこんがらがりそうになります。しかし隠れテーマである「自己の定義」と「初恋と成長」、ハッピーエンドな結末など、今までの中では一番好きな話になりました。小難しいのが好きな方はのめり込める面白い話なんじゃないでしょうか。
この巻に副題をつけるなら「とてもとても長い一日」ですかね。 -
913.6 タ (2) 登録番号10293
生徒リクエスト -
ほのぼのに見えて、ちょっとギョっとさせられるようなブラックさも持つ変な作品。
「じかんかつようじゅつ」はやっぱ判らなかったなーw -
特に読むメリットがないと思うものの、一応読んでみる。