樹木葬 -死者の代弁者- (ガガガ文庫 え 1-6)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094514667

作品紹介・あらすじ

人を殺すこと、それは自分を殺すこと。

『鳥葬』『密葬』の舞台から数年。
時間がすぎても彼を取り巻く死の呪縛は簡単には剥がれなかった。高校を卒業し。大学に通う傍らで始めた自動車整備工の仕事。平穏な日々を過ごそうしている陵司の下に、雇ってもらった工場の社長の娘の面倒をみるという題目が転がり込む。彼女の父親は、日々死を暗示させるポエムをネット上に流す、理解の範疇を越えた娘の心境を理解したがっていた。死にたがる高校生。死を軽んじる高校生。そして、死への願望をポエムにしたため、自殺を美徳とするような高校生。陵司からしてみれば、彼らの願望そのものがガキの戯言。しかし、ある日彼は、いじめが原因で首を吊ろうとする少年に出会う。何の因果か、彼のことを助けてしまった陵司は、いらぬお節介のせいで厄介なもめ事に巻き込まれる。かつて自分が犯した罪や、そのおかげで積み重ねてきた経験を活かしながら、社会の荒波を受け流していく。余りにも都合よく陵司の周りに集まる死。その原因を探るため、陵司は再び立ち上がる。――彼らを人間にしてやるためには……。果たして陵司の生きざまに救いはあるのか……。
暗黒青春群像劇・完結編。数多の死を乗り越え、彼はようやく人間になった。

感想・レビュー・書評

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  • ダークなライトノベルで好きな作者のうちの一人、江波光則さんの新刊。表紙からもわかるように、萌えは入っておりません(^^;)かつて「人を殺した」ことのあることから、特異な育ち方をした陵司は大学生となった。働いている工場の娘の「面倒を見ている」が、この子がまた問題児で……。問題児ってどんな問題児かといえば……こんなんかよ!という。江波光則さんらしく、くらーいけれど光がないわけではない海の底で、これでまあいいんじゃね?と過ごしていたら、余計な砂煙に腹を立てて……みたいな展開。今回も楽しませていただきました。これからも作品を読んでいけたらいいなあ。

  • 鳥葬―まだ人間じゃない―
    密葬―わたしを離さないで―
    樹木葬―死者の代弁者―

    暗黒青春群像劇三部作。

    幼い頃、幼なじみたちとの遊びが原因で「殺人」を犯してしまった陵司。
    高校二年の今、幼なじみのひとり八尋が死んだ。
    疎遠になっていた陵司に「過去に殺される」とメールを残して。
    「殺人」以降、絶交していた幼なじみ5人が八尋の死を機に再び結びつく―

    何もかもタイミングが悪かった、という話。
    気にしすぎ。
    結果は重くても“子供の遊びが引き起こした事故”だもんね…気持ちのやり場が難しい。
    結局は折り合い点を探りながら日々乗り越えていくしかない、って事かな。

    主要主要皆が所謂ワルだからな-それほど嫌悪感はないけど。

    陵司の両親が、荒むことなく別れることなく家族を続けているのが、地味ながら凄いと思いました。

    しかし昔と今、子供社会はどちらが生きにくいんだろう…
    昔は不登校ってただのサボリ病って思われて学校へ行かない罪が重かった感。
    今は不登校には理解あるようだけどネットで常に繋がって監視し合ってる感。
    どちらも閉塞感ハンパないよな-と。

  • このシリーズ、鳥葬と密葬はそれほど、という感じだったのだけど、今巻は楽しく読めた。原因を考えたが、陵司が年取って自分や他人との距離の取り方に余裕が見えたのが大きいのだろうか。イラストも最初はポンチ絵とか思っててほんとスンマセンでした!

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