筺底のエルピス (ガガガ文庫 お 5-1)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094515275

作品紹介・あらすじ

人類の存亡をかけた影なる戦い。

殺戮因果連鎖憑依体――

古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。
日本の暗部である《門部》は、不可視の存在を網膜に投影する改造眼球『天眼』と、時を止める超常の柩『停時フィールド』を武器とし、そのプログラムを追い立て、狩り、そして葬り続けてきた鬼狩りの組織だ。

時は現代。

百刈圭(ももかり・けい)と、乾叶(いぬい・かなえ)――心に傷を抱えて戦う二人が遭遇したのは、歴史上、たった六体しか確認されていない《白鬼》だった。
叶の親友に憑依したその鬼を巡って組織が揺れる中、黒ずくめの刺客《ゲオルギウス会》が動き始める。それは日本を守護する《門部》と同じように、ヨーロッパで連綿と戦い続けてきたもうひとつの鬼狩りの組織――バチカンの狩人たちだった。

《白鬼》とは何か。二つの組織の衝突はいかなる戦いを引き起こすのか。そして、滅亡を防ぐ希望はあるのか。

人類の存亡をかけて戦う、影なる戦士たちの一大叙事詩が、いま語られる。
気鋭・オキシタケヒコが描く異能バトルアクションシリーズ。イラストは各方面で活躍中のtoi8が担当。

感想・レビュー・書評

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  • 何これ格好いい!面白い!!
    SF+伝奇風要素+異能バトル+その他諸々かっこいい要素盛り盛り(語彙力;;)で、夢中で読み進めちゃいました。

    停時フィールドの設定(制約とか、使い手による個性とか)が他の能力者ものとは一風変わってて面白い。1巻だけでもかなり多種多様だったのに、「なんかよくわからない能力」にならずちゃんと理解できるのすごい。
    あと「鬼」の設定がいい感じに伝奇っぽいのが良い。伝染型怪異。

    • 魚雷屋阿須倫さん
       私はラノベだと思って読み始めたら、巻を追うごとに壮絶かつ悲壮な展開になっていき、その展開に言葉が出なくなった巻もありました。凄い
       私はラノベだと思って読み始めたら、巻を追うごとに壮絶かつ悲壮な展開になっていき、その展開に言葉が出なくなった巻もありました。凄い
      2022/04/16
  • ★いつの日かその繰り返しの中で(p.294)
    ・「鬼」を討伐する組織。/「鬼」による人類の、百余年後の絶滅はすでに確定している。/門部の封伐員である叶の親友、結に「白鬼」が憑いた。/白鬼の存在を知った別組織の祓魔師襲来。/白鬼の危険性とは?/そして圭にとって因縁の鬼が現れる。/エルピスなので筺はパンドラの函ですね? どんな「希望」が残されているか?/続編あるなら今回は設定の紹介巻でもありますね。/デキのいいラノベと聞いていたので一度読んでみようと思ってました。なるほど、バランスいい感じです。読後感もいし。

    ■門部についての簡単なメモ

    【一行目】時間の猶予は、わずかもなかった。

    【青鬼】謀略など直接的でない要因により死を繰り返すと青鬼と呼ばれる存在になる。
    【赤鬼】直接的な暴力による死を繰り返すと赤鬼と呼ばれる存在になる。
    【燈/あかり】百刈燈(ももかり・あかり)。《門部》現当主。圭の妹。二十一歳だが十二歳くらいで停まっている。異星知性体に憑依されているが圭のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。
    【阿黍宗佑/あきび・そうすけ】門部のナンバー2。圭や叶の師匠。指令を与える。アロハシャツの爺さん。使ってた停時フィールドは「久遠棺」。
    【悪魔】「鬼」の異なる文化圏での呼称と思われる。
    【乾叶/いぬい・かなえ】→叶
    【姥山/うばやま】門部の封伐員。
    【荻窪童子二十七号】圭の家族を惨殺した鬼。その後も憑依相手を変えつつ活動し現在は行方不明。
    【鬼】→殺戮因果連鎖憑依体
    【鬼退治】自分を殺した者に憑依を繰り返し憑依した者の同族を殺すのが「鬼」というプログラムなので殺すためには一旦殺した者に死を与え、さらに人類が滅びた一万年後の世界に送り出しプログラムの対象物をなくし自死させるしかない。
    【朧筺/おぼろばこ】直方体で包み込んだ空間の時の流れを静止させるテクノロジー。漫画『結界師』の結界みたいなイメージかと。外の時間で三秒間しか維持できないが射程距離も長く自由度も高い強力な能力。
    【門部/かどべ】古来「鬼」を封じてきた組織。職員総勢八百一人。全国に監視員を持つ。
    【叶/かなえ】乾叶(いぬい・かなえ)。門部討伐員。「蟬丸」の遣い手。十六歳の高校二年生。コミュニケーションを重視しておらずぶつ切りの言葉しか吐かない。自分の命も重視していない。
    【貴治崎花/きじざき・はな】巧務の女医。好きな治療は「麻酔なしの開胸手術」。美貌の持ち主で三十路に入ったばかりだが不摂生がたたり肌は荒れ目の下に隈ができている。封伐員ではないが停時フィールド「磐長(いわなが)」を持ち接触した相手の時間を凍結し治療可能な場所につれていくことができる。
    【霧島/きりしま】門部の封伐員。
    【圭/けい】百刈圭(ももかり・けい)。内閣府宮内庁外院《門部》筆頭討伐員。チームリーダー。二十二歳。「朧筺」の遣い手。
    【ゲート】門部地下深くに設置された、一万年後の世界とつながっているワームホールゲート。地球上に合計三つあり日本とヨーロッパとあとひとつどこかにある。
    【玄関扉】圭の恐怖の対象。小学五年生のときドアを開けたら妹の燈(あかり)を除いて家族が殺されていたから。開けるまでは生死不明の箱はシュレーディンガーの猫ですね。
    【巧務/こうむ】門部の部署のひとつで封務のバックアップを担当する。貴治崎花などが属する。
    【殺戮因果連鎖憑依体】別名「鬼」「悪魔」。人間に憑依し超人的な能力を持ち人を殺す。不可視、不可触だが改造眼球「天眼」により映像化できる。死と、その死を与えた者への憑依を繰り返しだんだん強くなってゆく。直接的に死を与えた者ではなくても因果を辿り憑依できるようになってゆく。圭たちの「現在」から百数十年後に人類は鬼によって絶滅することがわかっている。
    【式務/しきむ】門部の部署のひとつ。
    【蟬丸】叶の使うテクノロジー。柄だけの日本刀から実体のない黒い刀身が伸び蟬のような音を立てる。
    【角】鬼の角のように見えるのは憑依する人間の脳に突き刺すプラグのようだ。
    【天眼/てんがん】改造眼球。不可視の存在を見ることができる。門部の証。
    【朋之浦結/とものうら・ゆい】→結
    【白鬼】日本で登場したことがなかった鬼。たくさんの角(プラグ)を持つ。白鬼の顕現を察知したバチカンが祓魔師三名を送り込んで来たほどの脅威ではあると思われる。どうやらのちに黒鬼に変じ大虐殺を行うことになるらしい。
    【バチカン】ゲートを持つ組織のひとつ。鬼のことを「悪魔」と呼び改造眼球のことを「真実の眼/オクルス・ヴェリターティス」と呼ぶ。かつての祓魔師=エクソシストの組織を解体再編した「ゲオルギウス会」はヨーロッパを中心に活動し門部よりも苛烈な闘いをしてきた。
    【バルトロメオ】バチカンの祓魔師。
    【柩使い】停時フィールドのひとつのタイプを使う者。
    【封務/ふうむ】門部の実行部隊。圭や叶が所属する。封伐員は十二人しかいない。
    【間白田俊彦/ましらだ・としひこ】門部の巧務所属の分析官で科学者。引きこもりの髭男。
    【ミケーラ】バチカン最強の祓魔師。
    【百刈燈/ももかり・あかり】→燈
    【百刈圭/もりかり・けい】→圭
    【結/ゆい】朋之浦結。叶の幼馴染み。明朗。叶をこの世に結びつけている唯一の存在。天文部員。
    【ワイデンライヒ,ジグマール】バチカンの祓魔師。

  • 一気に読んでしまう程、テンポよく物語が進み、世界観に引き込まれた。鬼狩り、悪魔祓い、という、鬼滅や呪術のような伝奇要素にSF設定でガジェットの理論武装をし、ハンターハンターやマルドゥックシリーズのような異能バトル(ジョジョ、山田風太郎的?)が楽しめる。主人公たちの闘う動機も共感でき、キャラ立ちした登場人物たちのやり取りは楽しく、腹立たしさや不快感は抱かずに読み進められる。また、SF要素には、壮大なアイデアが物語の背景として存在し、この辺りの謎がシリーズを通して解き明かされるのが非常に楽しみ。

  • 書評を読んだら、面白そうだったので
    手を出してみました〜。
    最近のラノベの傾向よりかは
    昔の富士見ファンタジア文庫っぽい?

    敵を倒すには、とにかく憑依者から
    引き剥がすしかないんだけど
    そのための武器を具現化する方法が
    SFのガジェットっぽくておもしろい。
    個人の資質によって形状が違うとか。

    人間にその技術を教えたのも
    敵とは別の異種生命体で
    その思惑はどうも謎っぽいし
    人間同士も日本の組織と海外の組織と
    利権を争ってたりして。
    まだいろいろ裏設定ありそう。

  • ライトじゃない、ライトノベル。
    しっかりSFだけど、SFが少々苦手でも読むのがしんどくならない程度の設定なのもよかった。
    叶ちゃんの立場が色々しんどくて続きが気になる...

  • この原稿用紙の分量で、ギミックやSF的な専門知識を効果的に使いうまく物語をまとめ上げてあり、とても勉強になった。
    まだ序章といった程度なのでこれからどう展開していくのか楽しみである。

  • すごく面白かった。鬼狩りというよく見かける素材を使っているが、発想と料理の仕方がとても上手い。ぜひ全巻読みたい。

  • #日本SF読者クラブ toi8さんの表紙に惹かれて購入。ライトノベルによくある伝奇SFかとおもいきや、巻が進むにつれて「SF」になる。とにかく「停時フィールド」の設定とヴァリエーションが秀逸すぎる。

  • 『結界師』のような能力バトルもの
    SF界隈の作者らしく能力が理屈っぽいが『円環少女』よりはふつうのライトノベル
    無難によくまとまっているが
    いくらなんでも能力が強力すぎる気がする
    能力者同士でなければ勝負にならないのでは
    2巻も出ているのでそのあたりどうなるか

  • 8:タイトルも作者さんも知ってたけど地元では手に入らなくて何となくそのままになってたけど、お勧めいただいて購入。めちゃめちゃ面白かったわ。
    停時フィールドのルール(一人一つ、先出し優先等)がユニークで面白く、SFみ、中二度(バチカンが登場するとクソ上がる値)、何をとっても最高。叶ちゃんを中心に話が進んでいくのかな。個人的にはモモもすごく好きなんで、うまいことバディものとして展開していって欲しいなあ。

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著者プロフィール

1973年徳島県生まれ。ゲームプランナー、シナリオライターとして、「トリノホシ ~Aerial Planet~」(日本一ソフトウェア)などのコンピュータゲームの開発に携わる。2012年「プロメテウスの晩餐」で第3回創元SF短編賞優秀賞を受賞。「筺底のエルピス」シリーズ(ガガガ文庫)、『波の手紙が響くとき』(早川書房)など、緻密に練り込まれた世界観とサプライズ溢れる展開で常に読者の度肝を抜く。「このライトノベルがすごい」や「SFが読みたい!」などに作品をランクインさせるなど、ジャンルを横断してその去就が注目されている。

「2017年 『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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