あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫 す 5-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 72
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094515497

作品紹介・あらすじ

彼女と出会った、忘れたくないあの夏の日

何もないのどかな田舎町・松乃に暮らす中学2年生の眞田寛樹は、幼なじみの三島桐子・親友の阿久津恒正らと、毎年変わることのない夏休みを過ごしていた。そんなある日、徹夜をしてしまった寛樹は熱中症で倒れてしまい、助けてくれた謎の美少女・伊藤ノアに恋心を抱くようになる。日本語をうまく理解することのできないノアのために寛樹は妹のなずなと一緒になって、自分たちが暮らす町を案内したりしながら、徐々に距離を縮めていく。そんな時、寛樹はノアに過去の記憶がなく、深海生物に似た奇妙な生き物と共に自身がよく通っている駄菓子屋・伊藤商店の庭に倒れていたところを発見されたという事実を知る。さらに謎の生物がしゃべる名前が、先日まで自分が読書感想文を書くために読んでいた小説の作者の本名だということがわかり、ますます混乱していく。ノアが記憶をなくしたまま不安な毎日を過ごしていると感じた寛樹は、彼女の記憶を取り戻すべく、さまざまな場所に彼女を連れて行ったり、小説内に書かれたことを調べたりしていくのだが・・・・・・。第9回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品。中学生の男女が繰り広げる甘くせつないひと夏の青春グラフィティが登場。

感想・レビュー・書評

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  • 夏休み、宇宙人に恋をした中学2年生男子の話だった。ヒロインであるノアがペッドボトルロケットに空気を入れるために空気入れのハンドルを押し込む時に発した声が喘ぎ声のような書き方をされておりエロさを感じた。主人公が幼い頃に関わっていたお兄さんが生前に残した小説『あの夏、最後に見た打ち上げ花火』を元にストーリーが展開し、ヒロイン(※ノアの母親も含む)の謎が解けていくのは、すでに攻略本を読んだゲームプレイのようで意外性がなくて退屈だった。けれども、駄菓子屋とラムネ、ひまわりの種など夏を彩るものたちが存分に出てきたのは好印象だ。

  • ひと夏の出会いと恋と別れの物語。

    こういう話はそれこそ古今東西一杯あるのだけど、なぜ一杯あるかというと、やっぱりそれだけ人の心に沁みるからなのだ。
    その切なさ、苦しさ、そして余韻。
    そういう意味で、この物語もしっかり描けていて良かった。

    SF設定なのだが、最後までヒロインの正体ははっきりと明かされなかったのでSF以外の想像の余地もあってなんだか自分の中では想像が広がっている。
    それにしても母娘二代で同じ経験するとか、それってフラグだよな。
    いつかノアも帰ってくるのかな?
    あ、でも、それにはちょっと親密度というか、決定的な何かが足らない気がするな。

    中学生の夏休みの、親友と幼馴染との恋のあれこれも、なんだか懐かしい気分になって、物語の中に入ることができた。
    これがデビュー作だそうなので、これからも頑張って欲しいところ。

  • 新人なので甘めに見たいところだったけれど、なかなか褒めにくい内容で難しい。

    レジャー施設に小旅行に行くくだりなど含めて全体的に進行に必然性が無く、要素がとっ散らかったまま必要なことが描写されていないと感じた。
    作中作の内容にオーバーラップされていく主人公とヒロインの描写がキモのようにも思えるが、結果的には大した意味を成していないし、幼馴染間の三角関係など必要だったのか疑問符の付くところも多かった。
    特に、ヒロインが主人公に惹かれる経緯が珍しいほどまったく描かれていないのが(恋愛メインの物語として見るならば)致命的。

    ガガガの新人賞らしい雰囲気は持っているが、私はあまりおすすめできない。

  • 物語のコンセプトそのものは認めるけれども、いかんせん物語としての完成度そのものが不足しているような印象。作中作となる小説も高校生書いた作文のような出来栄えで読む度にモヤモヤがたまる。ラストの要であるノアとの結びつきも、結局運命的な演出を見せることが出来ないまま、印象薄く終わってしまっている。

  • 意図的に詳しい説明や込み入った解説を避けて、主人公たちの視点から描かれる演出を中心にしており、「ひと夏のアバンチュール」感があった。ノア側にもう少し切羽詰まった理由付けがあれば、最後の畳み掛けで感情移入できたかもしれない。

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