月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫 ま 5-4)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094516470

作品紹介・あらすじ

宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女の物語。

人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった――。
いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。
共和国の最高指導者は、ロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。『連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ!』と息巻いていた。

その裏では、共和国の雪原の果て、秘密都市において、ロケットの実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。とある事件をきっかけに、宇宙飛行士候補生を押されかけていたレフ・レプス中尉。彼は、ひょんなことから実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナ・ルミネスクの監視係を命じられる。

厳しい訓練。失敗続きの実験。本当に人類は宇宙にたどり着けるのか。チームがそんな空気に包まれた。
「誰よりも先に、私は宇宙を旅するの。誰も行ったことのないあの宇宙から月を見てみたいの」
イリナの確かな想い。彼らの胸にあるのは、宇宙への純粋な憧れ。

上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を目指す彼らがそこにはいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティがここに。



【編集担当からのおすすめ情報】
『HiGH&LOW』や『ペルソナ5』などの脚本・シナリオに携わった、牧野圭祐が送る最新シリーズ! 宙に憧れる人間の青年と吸血鬼の少女が人類史上初の有人宇宙飛行を目指します。〈飛空士シリーズ〉のような切なさと爽やかさのある宇宙と青春の物語にご注目!

感想・レビュー・書評

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  • 冷戦中の宇宙開発の話。とても好き。

  • とても面白いSF作品でした。実際の東西冷戦時代の宇宙開発競争が下地になっているので物語に説得力があり、そこへ「吸血鬼」というファンタジー要素を組み込むことによってエンターテインメント性が高まっているのが大変素晴らしい。また本作は王道のボーイ・ミーツ・ガールでもあり、さらにレフもイリナも自分の夢に純粋で、逃げること無く突き進む姿勢に感激しました。続きが楽しみです。

  • 赤月ゆにが紹介していたので買って積んでいたのを読みました。
    人間は愚か…。
    宇宙系は読むのが初めてでしたが、人物描写多めで楽しく読めました。
    ソ連、おそロシア。

  • ソ連をモチーフにしたツィルニトラ共和国連邦と、アメリカをモチーフにしたアーナック連合王国の宇宙開発競争をテーマにした作品。舞台は共産主義国家ぽい(あんまり唯物してないとかの差異はあるけど)が別にレフトノベルではない。時代は近現代だが、吸血鬼という人種を加え、仄かにファンタジーな香りが漂う。ボーイミーツガールとして普通に面白く、実験のモルモットたる吸血姫への葛藤がよく描かれている。スケートのシーンの通り抜けるような吸血姫の美しさ、夜空を衝くような美しさ、月軌道ランデブー方式の想像、いずれもバレエのような美しさとても好き。アメリカではなくソ連を選ぶことでオーロラの麗しさ、氷の湖、雪国など日本人のあまり詳しくない要素がたくさん出てきて、さらに妖しく甘美な吸血鬼という異種を加えたことで物語に神秘性が増している。

    ライトノベルというガワを被ってはいるが、テーマは人類史上最も人の命の軽かった国のラブストーリー。しかも片方は人間以下の存在とされている。あらゆる人間に人間以下とされながら高潔さを一切失わないヒロインには尊敬すら覚える。好き。『愛しのあなたへ』はちゃんと英語歌詞でやってくれよ。

    ライトノベルのガワを被っているが、描いている中身はレイシズム、東西冷戦、宇宙開発の暗部、キューバ危機など、ヘヴィノベルと言ってもよかろう。

    作者は相当な宇宙好き。火星の衛星のフォボスとダイモス(『不安』と『恐怖』)は人工衛星なのではという話を持ってきた。50~60年代の有名な話でかのカール・セーガンも人工的要素を指摘していたらしい。

    そして2巻の最後。あまりにも革命的。革命勢力に対する革命勢力として仕事を果たす。そしてそれがゲルギエフやリュミドラの想定通りなのも恐ろしい。二人は本当に月に行けるのか。

    共和国編が終わり3巻からは連合王国編へ。
    今度は共和国の「ライカ」ではなく、連合王国の「ライカ」でのストーリーになる。こちらは資料が多いせいか描写が丁寧。また、当時は新技術のcomputerの話や、人種差別(厳密には異種差別?)、男女差別の話など、知的流暢性の高いストーリーが繰り広げられる。

    設定がとても深い。独特の諺や葬儀、食物など、世界が深まる。

    っべーーーー! レイシズムやキューバ危機やら、一個人はどうしょうもなく無力になってしまうような問題に立ち向かうバートやカイエ、小心者のくせに豪胆で手に汗握る。本当に面白い。作者天才か? 天才か。

  • 米ソ宇宙開発が元ネタらしいです。米ソ宇宙開発を知らないですがストーリーはラノベの王道の展開で楽しめました。

  • 純朴でおもしろい出来やった。
    ソビエトやから、もっと悪辣な陰謀や密告を想像してたけど、ほどほどやったな。

  • 久々のラノベだがやはりランキング頼みは失敗が多いな

  • 久々にあらすじだけでときめいた小説。値下げもされていたのでその場で買って一気読みした。興奮した。
    <1960年代の旧ソ連を舞台に、実験飛行で宇宙ロケットに乗せられる吸血鬼の少女と、飛行士候補生の少年が出会い訓練を供にする>という、抜群すぎるログライン! 読み終えても、ほとんど期待した通りの内容で、そうそうこういう感じ欲しいよね! みたいなのが素晴らしいシェフの献立のように用意されていた。二人がバディになるまでが早い分、訓練生としての日常パートは必要最小限かつちゃんと面白いものになっていて、ぐいぐいと最後まで読ませてくれた。ちゃんと資料をあたったであろう部分は特に出色だった。
    逆に、ライトノベルだからなのかもだけれど、キャラクターの心情をかっこ悪いくらい明からさまに地の文に書いていたり、セリフが色々直接的すぎていたり、もうちょっと伏線が丁寧に出来るはずじゃないか、と思える場所がとにかくあって、「よしよし! ここからは大人の力でさらに直していけば完璧だね」みたいな……感じがあった。後半にあるどんでん返しもぜんぜんサプライズじゃないしな……。小説というより、超ー長いアニメ映画の初稿プロットのようだった。終わり方もロマンティックだけれど、盛り上がりには欠けていたと思うし、何より飛躍がまったくなかった。
    しかしとにかく食材が一流なので、がっかりするというより充実感のほうがずっと上回るし、何なら自分ならさあどこを直そうか、みたいな建設的な頭の回転が始まるので、やっぱりこれはシンプルにいいアイデアの話だと思う。「ラノベでしょ?」って多少食ってかかれば、ちゃんと想定年齢の読者以上でも楽しめます。……どうしても『とある飛空士への追憶』がちらついたけれど。あっちは「小説」としてもパーへクトだったんだよな……(逆に言えば、あらすじだけならあの作品以来くらいの衝撃でした)。

  • ラストも含めたシーンの美しさは文句なし。二人の関係性が伝わって来る暖かいエピソードが素晴らしい。あとはもう少し物語に緻密さがあると良かった

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