チェンジリング・シー (ルルル文庫)

  • 58人登録
  • 3.13評価
    • (0)
    • (8)
    • (11)
    • (3)
    • (1)
  • 16レビュー
制作 : 蒼 兎雲  Patricia A. McKillip  柘植 めぐみ 
  • 小学館 (2008年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094520828

チェンジリング・シー (ルルル文庫)の感想・レビュー・書評

  • この本、マキリップ本を揃えようと E-BookOff で書影を見ずにゲットしたから KiKi の手元にあるんだけど、もしもこれを本屋さんの書架で見つけたんだとしたら購入するのに戸惑っちゃっただろうなぁ・・・・。  というより、そもそも小学館ルルル文庫の棚には KiKi は最初から近づかなかっただろうなぁ・・・・・ ^^;  逆に言えば余計な先入観を持たずにネット上でポチしたおかげで出会えた本とも言えるわけで、世の中何が幸いするのかわからないものです。

    いかにも少女が好きそうな挿絵、そしてシンプル & ロマンチックな物語だと感じました。  逆に言えば「影のオンブリア」のマキリップと比較すると、幻想的な雰囲気は若干パステルチックで、ついでに書きすぎの感もあって、イメージ喚起力とでも呼ぶべきものが薄めかなぁ・・・・と。  ま、端的に言ってしまえばこのルルル文庫というレーベルのせいもあるのかもしれないけれど、「お子ちゃま用マキリップ」という感じがしないでもありません。  ま、そんな風にマキリップを定義できるほどには彼女の作品を読み込んでいるわけじゃないんですけどね。(苦笑)

       

    物語はチェンジリング(取り替えっこ)プロットなんだけど、貧しい健気な娘と王子さまが出会ってどうたらこうたら、そこに若くて魅力のある魔法使い(当然♂)が現れてさらにどうたらこうたら、取り替えっこのもう片方の王子さままで登場してどうたらこうたらと、ヒロイン・モテモテのストーリー。  う~ん、このテのヒロインもてまくり物語っていうのは KiKi のようなおばさんにはむず痒く感じられちゃうんですよね~。  

    しかも挿絵がこの表紙のイメージでしょ。  何だか少女マンガを読まされているような気分になってしまうのですよ。  さらに言えばこれは翻訳のせいなのか、マキリップ女史自身がそんな風に描いているのかはわからないんだけど、使っている語彙が直截すぎるような感じがしちゃいました。  海や月の光といった風景描写の中には「影のオンブリア」に通じる何かを感じないでもなかったんだけど、人物描写がちょっとねぇ・・・・・。  時折、「こんなにあけすけでいいのか?  マキリップ??」と思わないでもありませんでした。

    海に帰りたいのに帰れない王子キール。  ほんとうは陸に生まれた者なのに、海につなぎとめられてしまっている海竜。  そして、父の命と母の思考を自分から奪い去った海に「呪い(まじない)」をかけようとするペり。  この3人が「影のオンブリア」のデュコンとマグ同様に「どこにも属し、どこにも属していない」感じがして、マキリップの描きたいものはそこにあるのかなぁ・・・・・な~んていう感想を持ちました。

    まあ、マキリップはまだ2冊目ですから、まだまだ KiKi にはよくわからないことだらけ・・・・・。  次のマキリップ本に進んでみたいと思っています。

  • “「行ってはいけません。あなたは——」
    困ったように頭を振る。次の瞬間、海竜の頭のなかでさまざまなことがらが渦巻き、合わさって、正しい姿をとったようだった。真実に気づいたとたん、海竜がぱっと目を見開いた。
    「昔々、二人の息子を持つ王さまがいました。一人は王妃、つまりは王さまの妻の子どもでした。もう一人は海からやってきた……あなたです」
    海竜はそう言って、キールの不意をついた。
    「あなたなんですね」
    海竜は優しくキールの額に——目のあたりに触れた。つづけて、髪にヒトデの飾りをつけた女性の絵に触れる。その女性のものうげな青みがかった黒い瞳を、少年も海の下で覗きこんだことがあったのだろう。
    「あなたは海からやってきた息子ですね」
    「……そうだ」
    ようやく、キールが小さく答えた。
    「そのとおりだ」
    「ぼくは違います」
    「そうだ。きみは違う」
    海竜は再び、困ったような顔になった。
    「それなら、どうしてぼくは海にいるのですか?」”[P.211]

    題名がネタバレってますが。
    面白かった。言い回しとか。
    鮮やかな青や黄金の色が浮かんで、潮混じりの海の匂いが漂う。

    “「わたしもしばらくいますよ。きみに少しばかり魔法を教えておきたいですからね」
    平然とそう付け加える。
    「もちろん、きみが望むならですが。せめて厄介事に巻きこまれないように……」
    リョウは再び口をつぐんだ。あまりに一生懸命に床板の木の釘を見つめているので、ペリは、それが床から浮かび上がってくるんじゃないかと思った。
    その時、リョウが体を揺すり、両手で髪の毛をかきむしった。意を決したようにペリの目を覗きこむ。
    「どうなのでしょう?」
    「なにが?」
    「次も王子に恋するつもりですか?」
    ペリはリョウを見つめ返し、その可能性について考えてみた。それから深いため息をつき、ポケットに手をすべらせる。指が、すべての思い出が詰まった黒真珠に触れた。
    「それはないと思うわ。一度の人生に王子は一人で充分」
    「よかった」
    リョウはなぜか安心したようだった。いきなり空中から、ビールと黄色い水仙の花を取り出す。その上、宿屋の主人の台所から直接取ってきたと思われる温かいパンを。
    「まあ、リョウったら!」
    母親が花を目の前にして、大声で笑った。
    「大丈夫ですよ。明日、ちゃんとお返しをしますから」
    そう言うと、今度はペリの膝の上に早摘みいちごでいっぱいの籠を取り出した。
    「朝になれば潮に乗って、蔓日日草<ペリウィンクル>の花が山のように運ばれてくるでしょう。村の人たちは、絶対忘れられない収穫を行うことになるはずです」
    ペリの顎ががくんと落ちた。浜辺のいたるところで、海が整然と打ち上げた蔓日日草が黄金に変わっていくさまが、目に浮かぶようだった。
    「そうなったらケアリーは幸せでしょうね」
    「かもしれません。でもひょっとすると、ケアリーは幸せになれないかもしれません。おかしなものです、幸せというのは。黄金によって幸せになれる人がいます。黒真珠によって幸せになれる人もいます。でもずっとずっと幸運な者は、ペリウィンクルで幸せを摑みます」”[P.274]

  • 1冊完結なので、アップダウンのある話ではなく、かなり淡々と進む話。
    話の筋より花が一面に浮かぶ水面や、水晶でできたクモの巣の影などの美しい海のイメージを楽しむものだと感じた。

    青を基調にした表紙もとても綺麗。海外作品を手に取りやすくしてると思う。

  • 2010年1月25日読了♪

  • …これ本当にマキリップ?

    海と島を舞台に、宿屋で働く一人の少女と二人の王子、若い魔法使いの青年が登場するファンタジーなのですが、ダメだ、どうしても浮気性の王様の話にしか読めない。

    ていうか、主人公の少女も心変わり早すぎ!
    どうしてこう見るそばから恋に落ちていくんでしょうね?

    キレイなイラストも見栄えはしますが、イメージが固定されてしまって想像の余地がなくなるのが残念。

    出版社の人は本当にマキリップが好きなのかな?

    海の魔法のイメージは好きでした。
    一人、夜の砂浜にたたずんで、ずっと海を見つめるシーンとか。

  • ストーリーは良かったです。
    でも、イラストで男性の描き分けが出来ていなくてこれは誰? 状態に…。

  • マキリップはマキリップなのだけど……創元や早川から出てるものと比べると濃度が足りない気が。
    乙女的に一番の物足りなさはカップリングだったりするのだけどw

  • イラストがかわいくて、主人公がモテモテでよかったです(笑)

  • ルルル文庫から出たマキリップのタイトルどおり『取り換え子』もの。
    マキリップらしく面白くはあったんだけれども、なんというか…訳の文体がマキリップらしくない、とでもいいますか。
    訳者の力量不足に因るものなのか、文体にぎこちなさと不自然さを感じてしまった。
    同時期に出た『ホアズブレス〜』と比べてしまい、純粋に楽しめなかった感もある。
    あと、イラストかなぁ。
    日本にいるマキリップ好きさんの大半は、このレーベルが狙った層ではないと思われるのでイラストは不要だったんじゃない?

    …よくよく考えてみると、訳文にイラストも対象年齢を思えば妥当なのかもしれない。

  • チェンジリング=取り替え子

  • ヒロインはペリウィンクル、愛称ペリ。小さな島の港町の宿屋で下働きをしている。父親は海で行方不明になり、母親は海に思いを馳せたまま、うつろに過ごす。だからペリは海に悪態をつく。宿屋の床を磨き、海辺の家に帰る毎日。そこに王子様と竜と若き魔法使いが現れて…。こう書くとなんて登場人物が豪華なんでしょう。
    少女向けに書かれたライトノベルなんだろうか。すてきなおとぎ話だけれど、ファンタジー小説としてはいろいろ物足りない。もう少し長い話にして掘り下げてあった方が良かったなぁと思う。
    まずはヒロインの初恋。恋に落ちるのが早すぎる、というか心理描写が物足りず、いろいろ腑に落ちず。王子の苦悩ももうちょっとエピソードがあってもよかったんじゃ?魔法使いも存在に深みがなく、ただ魔法使いという存在。しかし登場人物に道を指し示す役割は果たしている…かな?
    お話の終わり方も、女の子向け、という感じ。安直に「幸せに暮らしましたとさ」ではなく、別れを選ぶあたりは、少女向け小説にしては大人な結末のように感じたけれど、そのすぐ後にヒロインに次の「可能性」が示されるあたり、ヒロインは愛されて幸せにならなくちゃいけない!という少女読者達への救いなんだろうか。筆者のサービスか。
    終始、海辺の描写が美しい。浜辺にくだける波や、空、砂浜、夜の暗闇、黒い馬、黒い乗り手、真珠に珊瑚、銀色に輝く蜘蛛の糸。幻想的な画集を眺めているような気分で楽しめた。

  • 少女ペリは、漁村の宿屋で床磨きなどをして働く15歳。
    海で父を失い、母の様子もおかしくなったので、海辺に独りで住んでいた魔法使いのおばあさんの小屋で暮らしている。
    海を恋しがる王子キールが黒い馬に乗ってさまよってるのに出会い、惹かれ合う。
    そして、おばあさんの見よう見まねで海にまじないをかけていたとき、赤い海竜が海から出てくるのを目撃。
    黄金の鎖につながれた海竜の出現に、村人は金目当てで捕捉しようと魔法使いリョウを雇うが、竜の正体は…
    王がかって海の女性を愛してなした子が、王妃との間に出来た王子と取り替えられていたのだ。
    マキリップは1948年生まれ。1975年「妖女サイベルの呼び声」で世界幻想文学大賞を受賞。
    これは小学館ルルル文庫から発行。1988年の作品。

  • マキリップの翻訳本とは!
    恐るべし、ルルル文庫。侮り難し。

  • 幻想的なマキリップの世界。

全16件中 1 - 16件を表示

チェンジリング・シー (ルルル文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

チェンジリング・シー (ルルル文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

チェンジリング・シー (ルルル文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

チェンジリング・シー (ルルル文庫)の作品紹介

海で父を失った少女ペリは、海に執着する王子キールに出会い、どこか親近感を覚える。ある時ペリがキールに頼まれるまま、見よう見まねの「呪い」を海に流すと、黄金の鎖をかけられた海竜が現れた!さらには、その騒ぎの中に現れた謎の魔法使いリョウの魔法から、思いもよらぬ出来事がおこり…!?さまざまな形で海に心を捕らわれた少年少女たちの解放を描く幻想ファンタジー。

ツイートする