サルからヒトへの物語 (小学館ライブラリー 81)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094600810

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教徒の中には、アダムとイブこそが人類の祖先と考え、進化論を認めない人が相当数いることは有名な話だ。これを荒唐無稽と笑うのは簡単だが、よくよく考えてみると、創造論が物語だとすれば、進化論もまた物語的であるということに気がつく。

    というのも、霊長類の進化の過程を再現することは不可能なのだから、「科学的仮説は反証可能である」という基準に照らしたとき、進化論を科学と言い切ることはできないのだ。つまり「進化論は根本的に物語的要素を内在させている」(p.9)のであり、それはまさに科学的想像力を駆使した「サルからヒトへの物語」に他ならない。

    もともと昆虫食いだったサルが、競争に負けてフルーツ食いになり、そこでもまた競争に負けて葉っぱ食いになっていく。そうして競争に負けた敗者こそが新しいニッチの開拓者となり、ついには競争相手のいない世界を手に入れて繁栄を享受する。逆説的にも劣位者が(ヒトという)優位者を生む基盤となったとするこの物語は、三文小説よりもよっぽどドラマチックだ。

  • 私は原人の話が好きなので、無意識に借りてきてた本だった。

    確か、サルから人間に変化していく過程の説明では、食生活を環境に応じて変えていくことに注目して書いてあったように思う。

    サルは木の上で生活して殆ど草食だが、木から降りて、肉食を求めたサルがヒトになった

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著者プロフィール

1924年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。理学博士。生態学・人類学。京都大学霊長類研究所所長,財団法人日本モンキーセンター所長,日本霊長類学会会長,兵庫県立人と自然の博物館名誉館長,兵庫県森林動物研究センター名誉所長などを歴任。2021年5月14日没。著書に『ゴリラ探検記』,『少年動物誌』,『学問の冒険』,『人間の由来』などがある。

「2022年 『ニホンザルの生態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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