走る悪党、蜂起する土民 (全集 日本の歴史 7)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096221075

作品紹介・あらすじ

終わりのない戦乱新しい価値観が人びとを躍動させる。南北朝の争乱から応仁の乱まで闘争する社会を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の中世後半、鎌倉幕府の滅亡後の「建武の新政」から南北朝を経て、応仁の乱とその後、戦国時代の幕開け直前を扱った、「日本の歴史」第7巻。
    キーワードは、タイトルにもある通り「悪党」。鎌倉時代までの「悪党」の概念が、室町時代にはどのように変容したか、最初と最後でわかる仕掛けになっている。天皇と武家と寺社、土民・百姓、様々な階層、職能の人たちが入り乱れて自己主張する激動の時代のダイナミズムが伝わってくる。
    最近話題の「南北朝」「観応の擾乱」「中先代の乱」「応仁の乱」の時系列、人物関係を俯瞰できるので、それぞれの書籍資料(新書など)を読む前に読んでもいいし、読んだ後におさらいのつもりで読むのもよいかと。(私は呉座勇一著「応仁の乱」は読みました)。「応仁の乱」でお馴染み、興福寺一乗院別当尋尊も登場します。
    応仁の乱を土一揆の別形態と読み取る、という新しい視点も紹介されていて興味深い。
    それにしても、建武の新政から室町時代、まったく落ち着いていない。守護や国人の小さな戦、小競り合い、土一揆に飢饉と、安定する気配がない一方で、東山文化など日本独自の和風文化の基礎が築かれた時代でもある不思議。教科書で習った歴史から、アップデートされた情報もあり(2007年刊なので、さらに研究の進んだものもあるだろうけど)、日本の中世史をおさらいするには十分だった。
    目まぐるしく価値観が変わり、世情は常に不安定。既成の価値観にとらわれない中世人のダイナミックな生き方には学ぶところは多いんじゃないでしょうか。

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  • この巻では、後醍醐天皇一派による鎌倉幕府滅亡後から南北朝分裂そして、その統一してから戦国時代突入直前まで書かれています。

  • 室町時代の人々の暮らしを知るために購入。実際には商業や農村が発達し、民衆も活発な時代なのだが、幕府や天皇などの動きではなく、民衆の歴史を中心に俯瞰して読める室町期の歴史書は当時ほかにあまり見当たらなかった。福山駅前にある広島県立博物館(草戸千軒ミュージアム)の実物大復元模型等と併せて読むと非常にわかりやすい。1FI下2奥

  • 鎌倉幕府滅亡、南北朝動乱から応仁の乱終結までを扱う。悪党と一揆という視点を入れていますが、政治史中心で読みやすい。第8巻を先に読んでいたのですが、ようやく時代のつながりが見えてきました。セットで読むべきですね。

  • 地元の図書館で読む。

  • 昨年から読み始めた小学館刊行の歴史もの。一年かかってようやく七巻目。今年中に読み終えることができるかどうか?がんばる。

  • 歴史好きというと戦国、幕末がメインのようだが、通が好むのはだんぜん鎌倉末期である(←根拠なし)。が、読み物としておもしろいというものではないし、内容にも「おお!」と思わせるものがなかった。タイトルがけっこうドラマティックなだけに残念である。やっぱり読むものはおもしろくないと。全体に教科書みたいな感じである。いったい誰を読者に想定しているのか。

  • 小学館のシリーズは講談社に比べ内容が子供向けなのだろうか。新視点というより落ち穂拾いの感あり。
    それでも、寺社や日記を中心にした資料の精査は良かった。
    体系的に何かを論じる書物ではなかったが、「見えないところに光を当てる」という側面は十分に感じされた。
    体系的ではないが、時系列を追っているので、教科書レベルの通史としてならまあ読めなくもない。このどっちつかず感がちょっと違和感として残っているが。。
    著者は足利義満天皇簒奪説にシンパシーを持っている。
    まあこの説の真偽は確かめようがない以上、永遠のお楽しみといったところか。

  • 個人的にはあまり評価は高くありません。

    講談社の該当分野の方が評価としては圧倒的に良い様に思います。
    1時間ほどであっさり読んでしまいました。さっくり通史を当たっていますが、それ以上でもそれ以下でもないというのが感想です。

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著者プロフィール

1950年、奈良県生まれ。1979年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学教授を経て、現在、お茶の水女子大学名誉教授。 ※2021年9月現在
【主要編著書】『中世の奈良』(吉川弘文館、1998年)、『中世の興福寺と大和』(山川出版社、2001年)、『走る悪党、蜂起する土民(日本の歴史7 南北朝・室町時代)』(小学館、2008年)

「2021年 『尋尊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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