「いのち」と帝国日本 (全集 日本の歴史 14)

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著者 : 小松裕
  • 小学館 (2009年1月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096221143

「いのち」と帝国日本 (全集 日本の歴史 14)の感想・レビュー・書評

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  • 明治中期から1920年代。日清戦争から関東大震災という歴史になる。面白い本だったし、この日本史のシリーズは読んでみたいと思う。

    しかし、2点批判を。

    1点目。為政者や権力システム側への言及が足りない。
    だれが、なぜそうしたのか。それが現場におけるどのような実践に結びついたのか。そしてそれがどのように、権力側の意思決定にフィードバックされたのか。そのダイナミズムが知りたい。
    「なぜこのようにしたのか」のベースにあるのは、著者の言うとおり「いのちの序列化」にあったからだと思う。それはいい。その上でそれが、どのように作用したのかを知りたい。

    2点目。「社会科の先生流儀の上から目線」と私がよぶもの。
    「我々は◯◯しなければならないのである」「我々が◯◯を認識することが今後求められるであろう」といった文章の締め方。この本でも随所に出てくるが、巻末の言葉がまさにこれだった。「これ以上『非命の死者』を生み出さないために、私たちは、あらためて歴史に学ぶ必要があるだろう。」(P352)

    この著者だけではなくて、センセイはこういうのが好きだ。ほんとうにそう思って書いているのか、それとも「お世話になっております」とか「おつかれさまです」と同じような言葉なのかは、よく知らない。
    だとしても、この本の趣旨的に言っても、こういう「内在化され、自覚していない上から目線」こそが、批判されるべきなんじゃないの? だってそれは、日本人が朝鮮人に対して、中国人に対して、霧社の生蕃に対して、癩病患者に対して持っていた視線なのではないの? と思うからだ。あっちの序列化は悪い序列化、こっちの序列化は良い序列化、というわけには行かないのではないかと思う。

  •  第一章。地にうずくまる農夫に手を合わせて拝まれたとき、未熟な国家意識は立派な帝国戦士へと変貌した。朝鮮半島も遼東半島も不潔であった。けれども戦争は不潔を習慣にした。ひたすらに歩き、戦死した清国兵の団子をむさぼった。新聞はこぞって文明対野蛮をあおった。旅順は残虐にまみれ東学農民は蜂起し台湾民衆は抵抗した。中華体制は帝国主義にのまれた。

  • [ 内容 ]
    日清・日露戦争で序列化された人びとの「いのち」。
    帝国主義の発展と重みを失う一人ひとりの生命。

    [ 目次 ]
    はじめに 「いのち」の序列化
    第1章 「いのち」と戦争(向田邦子の祖父の体験;日清戦争―文明国への「入学試験」 ほか)
    第2章 「いのち」とデモクラシー(川岸きよの米騒動;足尾銅山鉱毒事件―もうひとつの「近代」 ほか)
    第3章 「いのち」とアジア(霧社に立つ;韓国併合― 植民地帝国へ ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 日清・日露戦争~「大正デモクラシー」期まで。この時期を「いのち」を序列化する資本主義・帝国日本の発展期と位置づける新しい視角で通史を執筆。かつてなかった視点からの通史という意味で、評価できると思う。

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日清・日露戦争で序列化された人びとの「いのち」。帝国主義の発展と重みを失う一人ひとりの生命。

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