広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクション

  • 18人登録
  • 4.38評価
    • (5)
    • (1)
    • (2)
    • (0)
    • (0)
  • 5レビュー
制作 : 浅野 秀剛  浅野 秀剛 
  • 小学館 (2007年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096820094

広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクションの感想・レビュー・書評

  • 名所江戸百景。幕末の浮世絵師、歌川広重最晩年の連作である。
    人気の作であり、出回っているものは数多いが、意外にも揃い物として全作品が伝わる例は少ない。特に初摺りと呼ばれる最初期に摺られた作品が、一揃いで装幀のまま残るのは、「岩崎本」と「東洋文庫本」の2つのみという。
    本書はこのうち、「岩崎本」を元にした大型本である。大胆な構図の広重の作品が、美麗な色彩で楽しめる。収録作は「名所江戸百景」に加え、「近江八景」、二代広重の肉筆画、そして刊行直前になくなった広重の死絵(肖像画)、凝った意匠の目録もある。
    江戸百景に収められた名所図は併せて119枚。プラス19枚のお得感も楽しい。
    四季に分けられ、春夏秋冬の順に並べられている。

    清水の舞台にしろ、天橋立にしろ、いわゆる景色のよい場所にいったとき、人がふわぁーと感動を覚えるのは広々とした眺望の遥かさだろう。「名所江戸百景」には、まるで名所に行ったときの「胸のすく」思いを追体験させるような鳥瞰図が数多い。「両国花火」や「よし原日本堤」、「南品川鮫洲海岸」などがこうしたものの一例だ。
    それに加えて広重の「江戸百景」に特徴的なのは、近景のものをばーんと手前に大きく描き、その向こう側に広がる景色を配した形のものが多いことだろう。よく知られる、「亀戸梅屋敷」や「深川洲崎十万坪」はこうしたものの筆頭格といえるだろう。「深川万年橋」もここに入ろうか。近景で目を惹きつけ、広がる奥行きに爽快さを感じさせる、大胆で天晴れな構成である。

    刊行開始は安政3年。前年に起きた安政の大地震の傷がまだ癒えぬころである。かてて加えて、時は動乱の幕末期。黒船が来て下田総領事館が開かれ、世の中が激変していく中、しかし、広重が描いたのは「古き良き」江戸である。
    「深川万年橋」のカメ(イシガメだろうか?)は、生きもの供養の放生会(ほうじょうえ)で放されるもの。「金杉橋芝浦」の行列は日蓮宗の人々が祭式に向かうさま。「虎の門外あふひ坂」の寒そうな親子は金比羅社への寒参りの最中なのだという。
    時代に生きた人々の息づかいが聞こえそうでもある。

    広重ブルーと呼ばれるベロ藍の美しさ。あてなしぼかしや布目摺、空摺といった、熟練の摺師たちの技術に唸らされる。大型本ならではの味わいだろう。
    美麗な絵はもちろんだが、各作品の簡潔にして的確な説明、広重の略伝、岩崎本を含む「名所江戸百景」自体の成立の過程、各名所の地図上の位置、「名所江戸百景」に影響を受けた海外の画家たち、浮世絵に関する用語解説とかゆいところに手が届く作り。
    すばらしいのひと言である。

    広重の辞世の歌は:

    東路へ筆をのこして
    旅のそら
    西のみ国の
    名どころを
    見む


    コレラに倒れたとも言われる「名所江戸百景」製作途中での62歳での死は無念であったことだろう。
    携えた東路の名所図は、西方浄土の仏の目をも楽しませただろうか。

  • 展覧会とか開催されないものか。

  • 日本の誇るべきゲイジュツ。色、構図、おもしろさ。

  • 欲しい・・高いー!!

全5件中 1 - 5件を表示

広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクションの作品紹介

ゴッホやモネが憧れた最晩年の大傑作全120図に加え、『近江八景』『二代広重肉筆画』『広重死絵』までを画帖に編纂した秘蔵・岩崎本を、小学館特製浮世絵用紙と世界最高の印刷技術で鮮やかに再現。

広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクションはこんな本です

ツイートする