[新世界]透明標本~New World Transparent Specimen~
- 小学館 (2009年10月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
- / ISBN・EAN: 9784096820391
作品紹介・あらすじ
特殊な薬品につけることで「筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する」という、骨格研究。壊れそうなほどか細い骨でも、生物が生きていたときの位置のまま、立体的にその骨格を観察できる。
感想・レビュー・書評
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密度を持った骨格と
空間へ曖昧に霞む透明性
背反するものが、
生命の輪郭を描いている。
骨は、
骸から一切の無駄を削ぎ落としたものである。
ならばこれは、
一体どんな思想の果てに成ったカタチなのか。
透明な群青の脊椎は
自然界に存在しない。
だがこの被写体は、確かにかつて生きていた。
本書は理科学コーナーに並ぶ写真集である。
水族館の硝子に酔う様な、
科学室の整然とした魔力に惹かれる様な、
そんな感覚にとらわれる一冊。
なお、『ニュートンムック ビジュアルブック 骨』にも
透明標本について記載されている。
ポスターもついているので合わせてお勧めしたい、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◆青と赤が織りなす生物のコントラスト◆
ふらっと立ち寄った書店で、この書籍とともに透明標本の実物が展示されていて、その色合いの美しさに目を奪われました。
「特殊な薬品につけることで『筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する』という骨格研究の手法」でできているそうです。
表紙の写真は、紫色と青色が引き立っていますが、生物によってはピンク一色だったり、緑色が混ざっていたりと色の出方が異なり、その違いも面白いです。
気になったら、中の標本もぜひご覧ください。 -
特にカエルを呑んだヘビの標本が好き
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魚類や両生類など水中・水際で生息する生物たちに特殊な薬品を注入し、その骨格を色鮮やかに浮かび上がらせた透明標本・第1巻。
「たんぱく質を酵素により分解し、肉質を透明に、そして硬骨を赤紫、軟骨を青色に染色をする」(HP抜粋)ことによって、幻想的な姿で浮かび上がる生物たちはまるでガラス細工のよう。生き残るために進化を遂げてきた生物たちの、生きている時には見られない神秘の姿にうっとりする。
科学図鑑というよりは美術書としての色が強いように感じるほど魅入った。 -
スケスケです。見事です。
某ショップで、和金をひとつ買いました。
内臓も薄い膜となり、明りにあてるとすべての形が見えます。
次はカエルがほしいなー。 -
もう少しボリュームがあればなぁ。
標本自体は神秘的ですごく綺麗なので、一つ一つをもっとじっくり、色んな角度から眺めてみたかった。
カメレオンの標本は一見の価値あり。 -
普通の標本にはない、美しさが保存されている。これを狂気と思うか、芸術と思うか判断があるいは分かれるかもしれない。しかし、言語化できないような「なにか」を感じることは間違いないだろう。圧倒的な美の前に、人は沈黙するしかないのである。
ちなみに透明標本の作り方はweb上にいくらでもあって、意外と簡単であることがわかった。特殊な化学薬品が必要なので、特殊な資格がいるようだ。機会があれば資格を取って自分でもやってみたい。 -
芸術品と呼ぶには抵抗があるなと思い手にとる。
人間の趣味趣向の為に「生」を用いる居心地の悪さ、というべきか。しかしその気持ちもページをめくるごとに感嘆の溜息へと変わる。
この世に生を受けたものは美しい。
そして葉脈のように儚げな小さな骨の先にもその精巧さへの驚きと生への力強さが感じられるのだ。
標本だろうが芸術品だろうが、その区別さえ人間の自己満足だとは分かっていてもそこにある命に息を呑んで見入ってしまう。 -
生物の身体を作っている骨格。余計な物をそぎ落とし、身体を支えるという目的に特化した姿はかくも美しい。学術目的だとえてして地味で不気味な物になりがちな骨格標本が、著者の手にかかればガラス細工のような不思議な美しさを見せてくれる。筋肉を溶かし、硬骨を赤く、軟骨を青く染める技術だけでなく、繊細で美しいアートとして新しい形で骨格を見せてくれた事に深く感謝。いつまでも観ていたい美しい写真に仕上げてくれたカメラマンのセンスにも脱帽。
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きもちわるいと感じるのに美しい、目を逸らしたくなるのに目が離せない、これぞまさしくキッチュだと思う。