ひめねずみとガラスのストーブ

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著者 : 安房直子
制作 : 降矢 なな 
  • 小学館 (2011年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097264514

ひめねずみとガラスのストーブの感想・レビュー・書評

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  • ああ‥

    素晴らしい相乗効果

    ちょっと淋しいあたたかな話と
    かわいくて素晴らしい絵

    すてきなストーブを買った風の子と
    料理の上手なひめねずみの話

    ちょっと北の国にいって
    数年して大人になって帰ってきたら
    ひめねずみはひいおばあちゃんでとっくに死んでた
    って話

    ほしいなこの絵本‥

  • 安房直子さんの未発表作品を、新たに読めるとは思わなかった。あんまりもったいなくて、なかなか開けなかった。

    図書館で見つけて、胸に抱きしめているだけで、あの世界の存在を思い出し、ほっくりと暖かい気持ち。

    「ひめねずみとガラスのストーブ」

    1969年、目白児童文学に載っただけで、ちゃんと出版されたのされたのははじめて。絵もとてもいい。

    …素晴らしい、やっぱり素晴らしい、じいん。

    やわらかく優しいうつくしい言葉で世界を情感ゆたかに彩る描写。
    その素直で柔らかな情緒は、五感の捉える鋭敏な世界への感覚を蘇らせ、世界全体を、新鮮な驚きと歓びに満ちたものへ、と、再生させてゆく。

    物語と言葉の力だ。

    風の子フーの感じる吹きさらし木枯らしの寒さに、暖かなうつくしいガラスのストーブの描写。そして、ストーブが呼び寄せた、小さな優しいひめねずみ。

    一人ぼっちだったフーに、一緒にあたたかいシチューを食べたりお茶を飲んだりする、たったひとりの友達、家族と帰る場所ができる。

    「森の中はそれはつめたくてまっ暗ですが、たったひとところだけ、ぽつんと明るいのでした。ガラスのストーブがもえているそこだけが。

    フーは、なんだか胸がわくわくしました。たったひとつのストーブのために、たったひとりの小さい友だちのために、こんなにも心のおどる思いを、今まで知らなかったのです。

    ずっとひとりぼっちだったものですから。」


    だが、ある夜、遠い異国の街から駆けてきた風の子、ちょっと派手で失礼な女の子のオーロラに誘われて、フーは、ひめねずみに、ちょっとまっていておくれ、と言い残し、オーロラと一緒に、異国へと旅立って行ってしまう。

    ちょっとしばらく、のつもりが、何年も。

    大人になって、ふるさととひめねずみが恋しくなって帰ってきたフーを待っていたものは、フーを待って、そのまま、とっくに亡くなってしまった、ひめねずみの、大勢の子孫たち、彼らが受け継いだ、フーとひめねずみのものだった、ストーブ。

    彼らがあたたかく灯す、ふたりのものだった、小さな小さな炎、懐かしいおなべとやかん。「でも、そこはもう、フーには入っていくことのできない世界でした。」

    (ぼくはほんとにおとなになったんだ。)

    そのときフーは、目に見えない、夢をみることも、ものをいうこともない、心をもたないただの風になってしまうのである。


    この絵本のカバー見開きには、「風の子フーとひめねずみのすてきなすてきな物語」とある。

    嘘である。
    …いや、語弊がある、というべきだろう。

    寧ろ、非情なんである。
    読後感は、寧ろ、胸の痛くなるような切なさなのだ。

    安房直子さんの作品には、非常に優しく美しい、おいしい楽しい、あたたかいものを愛しむ心があふれている。なのに、それらは決して、怖さ、別離、哀しさ、寂しさ、切なさと切り離されることはない。

    誰が悪いのでもなく、ただ、かなしみは訪れ、大人になることが、強烈な、決定的な大切なものの喪失、ひとつの死を意味する、という、淡々とした時間の無常。

    この、無常さ、非情さが、けれど、そのままに、たとえようもなく、美しい。
    美しいものを美しく、愛しいものを愛しく。そのかけがえのなさを讃える大きな深い優しさで包み込む作者のまなざしによって、世界は、意味に満ちた、価値に満ちたうつくしいものへと浄化されることができる。

    安房直子さん、亡くなられてしまったときは、ひどくショックだった。
    本当に、もっともっともっと、たくさん、たくさん、書いて欲しかった…

  • 27年度 (4-1)
    15分以上(前半はあらすじのみ)

  • 全体的にハラハラした雰囲気が漂っています。それはストーブを売るくまさんが風の子がストーブを欲しいなんて、という禁忌的な行為を示すことから始まります。綺麗な表紙ですが、取り返しのつかないことをちょっとした好奇心でしてしまった風の子フーの悲しい物語。しかし、色々なことを知ることで体だけではなく、心も大人になっていくのだろうと感じました。

  • 寒がりの風の子フーがガラスのストーブを買う。
    他の仲間に知られたくないので、森の中であったまっていると、ヒメネズミがやってきて一緒に暖を取る。
    ひめねずみは料理が上手で2人は友達になり、お茶やスープを楽しむ。
    今まで友達のいなかったフーには待っている人がいるというのはとても嬉しいことだった。
    あるとき、風の女の子のオーロラがやってきて、フーは北の方にあるオーロラが見たくなる。
    ひめねずみを置いていくことになってしまうが、どうしても行きたくなり、オーロラと出掛ける。
    一方、ひめねずみの方は近くに仲間がいることに気づき、みんなで集まる。
    時間が経って、風の子フーは大人になり、風の精になっていた。
    ガラスのストーブのところまで戻って来るとたくさんのひめねずみにびっくりする。
    あの料理上手のひめねずみのことを尋ねると、1匹がひいおばあちゃんのことね、と言う。
    どこにいるのか尋ねるフーだったが、曾孫のひめねずみはもう死んでいることを教える。
    フーにとっては短い時間でもひめねずみのとっては長い時間だったのだ。
    大人になったフーにはガラスのストーブはとても小さく、ひめねずみたちのいる場所ももうフーのいるべき場所ではないと感じる。
    フーはガラスのストーブとひめねずみの場所から去るのだった。

    前から気になって読みたかった話。

    ガラスのストーブのきらきらとした反射が目に浮かぶよう。

    生きる時間の長さの違いは寂しい。
    フーにとってはほんのちょっと出掛けただけでも、ひめねずみにとってはそれこそ一日千秋だったのだろう。
    出掛ける前からそのことに気付いていても出掛けないという選択肢はなかったのだろう…。

    寂しいけれどきれいな話。

  • みかん色のガラスのストーブ。あったかそうなきれいなストーブの表紙。ちょっとさみしいお話でした。

  • 風の子フーは 寒がりでした。
    美しいガラスのストーブを買って 暖まっていると、
    ひめねずみがやって来ました。
    二人で お茶をいただき、ひめねずみの作ったスープを食べる。
    仲良くなった二人だけど、
    そこに 北の風の子オーロラが やってくる。
    オーロラは フーを故郷の北に誘う。
    フーも風の子、ひめねずみを残して、北に飛んで行ってしまう。

    何年も何年もたって、
    フーは大人になって帰ってきた。
    ガラスのストーブは 思ったより小さい・・・いえ、フーが大人になったから。
    そして、あのひめねずみは もう おらず、その孫たちが50匹ほどで
    ガラスのストーブを囲んでいるのでした。

    フーはその時はじめて もう大人になったのだとかんじました。
    「さようなら」
    歩き出したフーはもう 夢をみることも、ものを言うこともない、ほんものの風になっていたのです。
    ・・・
    ・・・
    ・・・
    美しくも なんだか もの寂しくもなる世界。

  • 安房直子の物語に降矢ななの絵なんて素敵に決まってる。
    ひとことでいえば寒と暖。
    飛び回る風の子とちいさなひめねずみ。
    冷たいガラスに温かい炎。
    温かそうな服をしっかり着こんだ寒そうな風の子。
    子供の世界と大人になること。

    絵も言葉も、相容れないものが触れ合って調和している。
    異質なものが触れあったら、混じるにせよ混じれないにせよそのままではいられない。
    ただ触あって知り合った時間は振り返ると奇跡みたいな一瞬。
    絵も言葉も美しいから、切なさも美しい。

    「これとこれ」はつながれなくても、「これとこれ」があったから「これ」が「あれ」につながっていける。
    切ないし淋しいけど幸せで温かいお話。

  • 美しい絵と美しい話。

    冬に読むのにぴったり。

    冬の寒さとストーブの暖かさ(ストーブ以外の暖かさも)感じられる。

  • ねずみのいのちは?

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ひめねずみとガラスのストーブの作品紹介

風の子なのに、さむがりのフーは、くまストーブ店で、とびきり上等のガラスのストーブを手にいれました。森のなかで、ゆらゆらゆれる火を見ていると、ちっちゃなひめねずみがやってきました。風の子フーとひめねずみのすてきなすてきな物語。

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