西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕 (小学館101ビジュアル新書)

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著者 : 遠山公一
制作 : 高階 秀爾 
  • 小学館 (2013年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098230266

西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕 (小学館101ビジュアル新書)の感想・レビュー・書評

  • 全頁カラーで解説に該当する箇所のアップの画像もあり、非常にわかりやすい。

    現代人が遠い過去に描かれたものをみるとき、決定的に欠けている視点がある。たしかにカラー印刷の技術は、本物に違わぬかのような図版を大量に生産することを可能にし、現実には決して相見えることのないであろう作品たちが、わたしの手元にも揃う。美術館へ足を運べば、国も時代も問わず、ありとあらゆる美術品が並ぶ。そしてふと忘れる、パッチワークのようにかき集められたものたちは、いったいどこから切りとられてきたのかということを。
    本書は、とくにルネサンス絵画に描かれていることを理解するとき、この忘れがちな視点の重要性を読者におしえてくれる。

    本書に紹介されていたなかでとくに目をみはったのは、ジョヴァンニ・ベッリーニ《サン・ジョッペ祭壇画》の復元図である。今はアカデミア美術館に所蔵されたかの作品は、もとはサン・ジョッペ修道院付属聖堂の身廊に飾られていた。絵はそこで重厚な枠に覆われていたのだが、枠からとられた現在の姿と復元図とをみると、この祭壇画の本来の姿に驚く。本来の姿ならば、絵に描かれたものと現実の枠とが見事に連続しており、まるで飾られた壁の先に空間があるかのような錯覚を覚えるのだ。現在の姿であれば、描かれたマリアは描かれたものでしかない。しかし復元図のマリアは、画家の筆によって穿たれた空間に存在の重みを持って佇んでいる。画家の綿密な計算が、わたしにマリアの存在を感じさせるのである。
    やはり野に咲け蓮華草とはいったもので、本来あるべき場所から引き剥がしても、わたしたちはその美までも手にすることは叶わないのだろう。

    本来の姿を知ることは、絵の意味を知ること、描いた人物を知ること、描かれた時代を知ることはもちろん、わたしと同じ場所に立ったであろう過去の人々の思いさえ想起させるようである。

  • 新書サイズなので絵の大きさは望めないが、カラー印刷の状態はかなり満足できるもの。3巻シリーズのようだが、本書はゴシック末期からマニエリスムまで。人々はすべて神の前に平等であった中世から、個の時代ルネッサンスへの転換は、絵画や美術のみならず、世界観そのもののパラダイムシフトであったようだ。また、本書で初めて眼を開かれたのは、北方ルネサンスがイタリアの影響を受けた後進的なものだと思っていたが、実は彼らに独自のリアリズムが、フィレンツェの画家たちに衝撃を与えたとの指摘。たしかにファン・エイクは15世紀前半だ。

  • 面白かった。絵が描かれた、場所、時代背景をしっかりと押さえ、その意義を的確に捉える努力をしている。
    この分野もまだまだ仮説であることに興味を覚えた。
    図版が綺麗で、かつ切り取り方は教育的だった。

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西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕 (小学館101ビジュアル新書)の作品紹介

ルネサンス絵画をめぐる驚愕の真実に迫る

15世紀ルネサンスから20世紀までの西洋絵画の歴史を、数多くの美麗な作品図版、詳細な図解でたどる、「西洋絵画の歴史」全3巻のうち第1巻。
遠近法や明暗法など、西洋絵画の根幹をなす画期的な表現技法が生み出され、一気に広まった時代。ボッティチェリらの初期ルネサンスから、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらの巨匠が活躍する盛期ルネサンスを経て、マニエリスムの台頭に至る激動の1世紀あまりを、イタリア、フランドル(ベルギー)、ドイツの主要な画家の代表作を中心に、視野をルネサンス以前の14世紀にまで広げながら概観。
絵画作品とそれが展示される場所との関わりに注目することによって、絵画が担わされた機能や社会的・政治的・宗教的な意味にまで迫る、斬新で画期的な入門書。

西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕 (小学館101ビジュアル新書)はこんな本です

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