自衛隊が危ない (小学館101新書 28)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250288

作品紹介・あらすじ

発足から55年、田母神・前航空幕僚長の「懸賞論文」問題が露呈した巨大軍事組織、自衛隊の歪みとは何か。「軍歌が流れる基地」「悩める現場」、そして「アメリカという聖域」。足かけ15年、1000人を超える陸空軍自衛隊員に話を聞き、F15で空中戦訓練を体験し、軍事機密のかたまり、潜水艦で深海を行った「兵士」シリーズの著者が、さらに3年にわたり防衛省の人事関係施策等検討会議委員をつとめた経験をもとに、いま自衛隊の現場で何が起きているか、つまびらかにしていく。その軋みの、悲鳴にも似た声が、歯止めを失ったこの組織で相次ぐさまざまな問題の底から聞こえてくる。

感想・レビュー・書評

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  • 自衛隊もある意味、一般の企業と変わらないのかもと思わせる書だ。踊る大捜査線と通じるモノを感じた。
    官僚主義がはびこる一方で、自衛隊内で、権利があるから命令を拒否できて、強制されたら訴えるという話しがある。官僚と同じで、組織というものは、劣化が避けられないものなのだろうか?

    [private]・裁判で争うこともできるのですよ。
    ・水兵の言うことを信用してはダメ。[/private]

  • 2009年刊。◆身も蓋もない自衛隊の内幕暴露本。少数例だけで全体を論じる愚は避けたいが、①窃盗・横領事件がオープンにならない件は自衛隊の(警察官等も同様か)隠蔽体質を、②銃を撃たせられない隊員の処遇は、隊内の教育・リクルートを、③階級意識の欠如(経験豊富な下士官と未熟な士官が生むことあり)は旧軍との連続性と公務員のキャリア・ノンキャリとの関係性を、④新規隊員の自己主張など態度の変容は、民間企業の新人と同様の問題を照射したものだろう。現代・公務員・旧軍との関係等、自衛隊の属性から導出される要素なのだ。
    ◇著者対田母神氏論争における、公僕の姿勢に関し、公務員の身分保障を盾にとる田母神氏は、悪い意味での公務員チックな発想・反論であり、逆説的な意味で、なかなか面白い。◇また、自己防衛のために、自ら大きな価値を置いていない現行憲法の表現の自由を持ち出す田母神氏の右顧左眄には苦笑せざるを得ない。そもそも非現業・権力的作用を有する公務員は、国民の多様な政治的意見の存在が想定される中、政治的中立性が要求される。つまり、彼のような立場の官僚においては特定の見解に依拠する表明・表現には縛り・制限があるのだ。
    公務員なら当然認識しているべき精神に欠けた田母神氏の有り様に関し、批判的目線を持つ著者の方に親近感を覚えるのは否定できない。◆確かに、叙述が体系的・網羅的ではなく、あくまで著者の切り取った断面であることは忘れてはならないだろうが、自衛隊のある種の実態を明らかにした本として、また、簡明に読める本として一読するのはいいかもしれない。PS.自衛隊の制服組幹部の発言・発想には注意を要するかも。

  • 長年自衛隊を見つめ続けた著者が詳らかにするこの組織の歪み。
    変わりゆく自衛隊。自衛隊がより「軍隊化」していくとでも言えばいいのか。一方で忘れ去られつつある創建当時の精神。何が、どういう方向性が正しいのか浅薄な自分にはまだよくわからないが、自衛隊を取り巻く環境、そして自衛隊自身が変わりつつあるいま、自衛隊は、自衛隊員はどうあるべきかというのは、組織の内外問わず考えなくてはならない問題だな。

  • 発足から55年、田母神・前航空幕僚長の「懸賞論文」問題が露呈した巨大軍事組織、自衛隊の歪みとは何か。「軍歌が流れる基地」「悩める現場」、そして「アメリカという聖域」。足かけ15年、1000人を超える陸空軍自衛隊員に話を聞き、F15で空中戦訓練を体験し、軍事機密のかたまり、潜水艦で深海を行った「兵士」シリーズの著者が、さらに3年にわたり防衛省の人事関係施策等検討会議委員をつとめた経験をもとに、いま自衛隊の現場で何が起きているか、つまびらかにしていく。その軋みの、悲鳴にも似た声が、歯止めを失ったこの組織で相次ぐさまざまな問題の底から聞こえてくる。

  • [ 内容 ]
    発足から55年、田母神・前航空幕僚長の「懸賞論文」問題が露呈した巨大軍事組織、自衛隊の歪みとは何か。
    「軍歌が流れる基地」「悩める現場」、そして「アメリカという聖域」。
    足かけ15年、1000人を超える陸空軍自衛隊員に話を聞き、F15で空中戦訓練を体験し、軍事機密のかたまり、潜水艦で深海を行った「兵士」シリーズの著者が、さらに3年にわたり防衛省の人事関係施策等検討会議委員をつとめた経験をもとに、いま自衛隊の現場で何が起きているか、つまびらかにしていく。
    その軋みの、悲鳴にも似た声が、歯止めを失ったこの組織で相次ぐさまざまな問題の底から聞こえてくる。

    [ 目次 ]
    第1章 「武士」は消えたのか
    第2章 軍歌が流れる基地
    第3章 護憲の軍隊
    第4章 悩める現場
    第5章 アメリカという聖域

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    [ 参考となる書評 ]

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    発足から55年、田母神・前航空幕僚長の「懸賞論文」問題が露呈した巨大軍事組織、自衛隊の歪みとは何か。「軍歌が流れる基地」「悩める現場」、そして「アメリカという聖域」。足かけ15年、1000人を超える陸空軍自衛隊員に話を聞き、F15で空中戦訓練を体験し、軍事機密のかたまり、潜水艦で深海を行った「兵士」シリーズの著者が、さらに3年にわたり防衛省の人事関係施策等検討会議委員をつとめた経験をもとに、いま自衛隊の現場で何が起きているか、つまびらかにしていく。その軋みの、悲鳴にも似た声が、歯止めを失ったこの組織で相次ぐさまざまな問題の底から聞こえてくる。

  • 自衛隊の内部は今どうなっているのか。旧軍の伝統と今時の若者が同居する世界。

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著者プロフィール

1952年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、

読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に

新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興

亡』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション

賞を受賞。1996年、『兵士に聞け』(小学館文

庫)で新潮学芸賞を受賞。以後、『兵士を見よ』

『兵士を追え』(共に小学館文庫)『兵士は起つ

 自衛隊史上最大の作戦』(扶桑社新書)と続く

「兵士シリーズ」を刊行。7作目『兵士に聞け 

最終章』(新潮文庫)で一旦完結。その後、2019

年より月刊『MAMOR』で、「兵士シリーズ令和

伝 女性自衛官たち」の連載を開始。ほかに小説

『汐留川』『言問橋』(共に文藝春秋)、『デルタ

 陸自「影」の兵士たち』(新潮社)、

『OKI囚われの国』(扶桑社)など著書多数。

「2022年 『私は自衛官 九つの彼女たちの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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