「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098251124

作品紹介・あらすじ

お役所の作った「変なルール」が国を壊す!

役所・官僚による「規制」が、国民の利益を損ない、企業の成長やビジネスチャンスを妨げていることを、わかりやすく明らかにしていく。
・なぜ日本の電気料金はアメリカの2倍なのか?
・なぜ「余った電力」を一般市民は買えないのか?
・なぜ散髪屋の定休日は地域ごとに一緒なのか?
・なぜ日本のビールをアメリカで買ったほうが安いのか?
・なぜ薬のCMは最後に必ず「ピンポン」と鳴るのか?
・なぜ学校の階段には必ず「踊り場」があるのか?
・なぜ日本の公道で「セグウェイ」が走っていないのか?
・なぜラブホテルに「使われない食堂」ができるのか?
答えは「規制」があるから。様々な業界での、役人たちの手練手管を詳細解説。

これまでの官僚・霞が関批判は「天下り」や「ムダ遣い」「国家I種キャリアの傲慢」に関するものがほとんどだった。しかし、そうした現象が起きる原因、役所の権限の源、となるのは「規制」である。「規制」は非常にわかりづらい悪文で書かれているので、役人の“レトリック”がわからないと、読み解けない。元経産省キャリア官僚の著者が、日本の津々浦々にまで浸透し、この国をダメにする規制の数々に、切り込む。

【編集担当からのおすすめ情報】
本書を読むとわかることは2つ。

1.この国ではお役所の「規制」によって、本当に細かく、いろんなことが決められている。

2.それら「規制」のせいでたくさんの困ったことが起きている。

身の回りの事例から説き起こし、わかりやすく問題点を解説。たくさんの“豆知識”を仕入れながら、「規制」を知り、お役人に騙されない思考を身につけるための、絶好の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 日本における役人の非効率な規制の実例
    石炭ストーブの時代に学校の最低天井高3mが規定され最近まで使われていた→階段には必ず踊り場が必要
    校長は教師に人事権を持たず、ダメな教師を淘汰する仕組みがない
    理容師や美容師は団体に所属させられ、休日も実質的に強制される
    ビールの税制はビールが高級洋酒だった頃の名残で今も高い
    酒に水以外のものを混ぜると別の酒を作ると「酒造」とみなされるが、梅酒に関しては1962年に高級官僚の梅酒製造が問題化し法律の方が改正された
    運転免許の5年更新は警察の天下り団体の既得権益と密接に関連
    高速道路の速度規制は設計速度とは関係なく1968年の通達に基づいている
    関西のタクシーの規制は新興のMKタクシーに不利になる独自のルールがある
    旅館業法でのホテルの基準にはGHQ時代に決められた洋朝食の規定がある
    医薬品のコンビニ、ネット販売に関する厚労省の規制
    利息制限法の上限金利20%は江戸時代からの規制の名残
    農協の既得権益と新規参入障壁の構造

  • 「規制」のせいで困ったことがたくさん起きている。
    しかも、その規制は官僚が作っていて、天下りOBのためや既得権益を持つ人たちのための規制が数多くある現状は改善しなければならないだろう、といった内容

    本来であれば、国会が率先して規制緩和を行い、そのうえ検証まできちんと行わせる(事業仕分けのように言って終わりではなく)、それこそが本当の政治主導なのだろう。

  • 撤廃する必要のある規制って、いろいろあるんだなあ。

  • 官僚が決める法律の矛盾、不合理さを実例を上げながらわかりやすく解説。
    身近な話題から、よく話題に昇る時事問題まで広く扱い、語り下しで読みやすかった。

    免許の更新は交通安全協会の組織維持のため、混合診療、農地改革も既得権益のため。
    規制緩和や弱者保護が、本来の目的を達成するどころか弊害を多く生む本末転倒。
    法令より通達のほうが実質の強制力を持つ、などは興味深く読めた。
    また選挙運動はウグイス嬢がひたすら連呼するだけで具体的な政策を述べにくい、というのも規制が絡んでて致し方ないというのは初耳だった。

    広く浅くではあったが、こういう分野の初読にはうってつけの内容だった。

  • おバカな規制に対して、読みながら
    クスッと笑ってしまいました。

  • おバカな規制の話。
    知っているおバカな規制も結構あったけど、小学校の建築物のおバカな規制や、ホテルの朝食にはトーストと卵がないとダメなんて知らなかった。
    おバカすぎる規制。。。

    そもそも、作られた時代がかなり前。
    それを今だに伝統を守るかのごとく守っているのだから、おかしい。
    時代背景が変わったら、法律(この場合は、省令かも。)も変わらなきゃおかしい。
    そこを気づきながらも、利権のために、守り続けるのはおかしいと思う。

    興味深い本でした。

  • 題名はややこしいが、エネルギー問題ではなく、お役所の時代遅れの規制をユーモアを交え辛辣に解説してくれている。とはいえ、目から鱗というほどでもない。

  • 流石、東京大学法学部を出た優秀な元官僚さんだ。

    「人をみて法を説け」。

    万人に解りやすく法制度、政治メカニズムを解説してくれている。

    法治国家は近代国家としての大原則だ。

    これだけ、おバカさんルールでがんじがらめの規制国家では、日本の将来は悲観的なものとなることが理解できる。

    官僚が、ノータリン政治家を手玉にとるメカニズムも法制度上そうなってしまっていることが、重々理解できました。

    矜持ある真に優秀な官僚が霞が関を去るのはもったいないですが、現今の状況ではいたしかたないことも理解できました。

  • あの手この手で既得権益が守られているのがよく理解できた。日本国民必読書ですね。

  • この本を読むまで小学校の建築構造について、ここまで規制があるとは知らなかった。

    「規制を作る・天下り先を増やすのが官僚の仕事」から、
    「(時代にあわせて)減らすのも仕事」にならないと、この国は本当におかしくなる。

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著者プロフィール

株式会社政策工房代表取締役社長。
1966年生まれ。東京大学卒、シカゴ大大学院修了。通商産業省(現・経済産業省)入省後、規制改革・行政改革担当大臣補佐官などを経て退職。2009年に株式会社政策工房を設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、規制改革推進会議投資等ワーキンググループ座長(-2019年)、大阪府・市特別顧問、NPO法人万年野党理事なども務める。
主著に『岩盤規制』(新潮新書)、共著に『国家の怠慢』(新潮新書)などがある。

「2021年 『総務省解体論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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