- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098251261
感想・レビュー・書評
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レビュー省略
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暴力団の抗争について、ノンフィクションライターとして有名な溝口敦が綴った一冊。
暴力団について知識がないのでディテールは十分に理解できなかったものの、戦後の暴力団史について知ることができた。 -
暴力団もいいけど
これもgood
抗争の概略を知るには
適切な本です
4.4点 -
やられたらやり返す。血で血を洗うとは正しくこのことである。
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繁華街で銃撃戦。手榴弾で爆破。警察官に銃乱射―。そんな話が全編にわたっててんこ盛りでつづられている一冊です。「暴力団はなぜ殺しあうのか?」この疑問に余すことなくこの本は答えてくれますが、重いです。
この本は週刊ポストに連載されていた記事をまとめて加筆訂正の上新書として刊行されたものです。僕はこの連載を飛び飛びでしかも斜め読みで読んでいたのであまりじっくりとは読んでいなかったのですが、このたび書籍化されたということで手に入れて読んでみることにしました。
僕よりも『業界』の動向についてお詳しい方はいらっしゃるかと思うのでさらりとしかないようには触れませんがいわゆるヤクザ、暴力団の文字通り血で血を洗うような抗争を広島代理戦争や、大阪戦争、山一抗争など映画にもなっているような有名な抗争事件を、背景や当事者たちのインタビューを通してさまざまな角度から浮き彫りにし、『暴力団はなぜ殺し合うのか』という命題について、40年間以上も彼らを取材してきた筆者にしか書くことのできないものに仕上がっているなと感じました。
読み終えてわかったことは具体的な組織名や彼らの『掟』にまつわることはことはあまりにも複雑なのでここには取り上げませんが、ほとんどの抗争事件がいわゆる『仲間殺し』というもので、『昨日の友は今日の敵』といわんばかりにかつては同じ組織で見知った間柄が袂をわかった瞬間から『敵』として凄惨を極める殺し合いを全国各地で繰り広げていく。その凄まじいまでの世界に慄然としてしまいました。さらに、抗争にまつわる諸経費も事細かに書かれてあってやるほうもやられるほうも経済的なものが最低でも数千万、場合によっては億単位の費用が発生すると知り、暴力はもちろんのこと経済力という指標が表社会以上に場合によっては重要な意味を持つことを知ることができました。
そして俗に「暴力団の抗争は西に行けば行くほど激しさを増す」という言葉を如実なまでに体現する『沖縄抗争』のくだりが書かれている第二部の第三章『凄惨な仲間殺しが繰り返された沖縄抗争』は読んでいてあまりの残忍さにページをめくる手が鈍ってしまったことをここに付け加えておきます。
彼らの存在がスポットライトを浴びたのは2011年8月の島田紳助の芸能界引退や、同年10月の「暴力団排除条例」の施行がきっかけだと思いますが、今後、彼らに対する風当たりが厳しくなっていく中で、『表向き』大規模な抗争はなくなっていくだろうと思いますが、2012年に入ってさらに指定暴力団のうち特に凶悪とされる組織を「特定抗争指定暴力団」、「特定危険指定暴力団」に指定するなどの暴対法改正案が通常国会に提出されるなどの『追い討ち』が彼らに課せられこういった抗争が『地下』に潜ってしまうのではないか。そんなことを危惧してやみません。この本には筆者の『執念』を感じました。
『彼ら』の内在的論理を知る上でも非常に参考になる文献かと思います。