「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)

  • 49人登録
  • 3.67評価
    • (3)
    • (5)
    • (2)
    • (1)
    • (1)
  • 1レビュー
著者 : 藤井誠二
  • 小学館 (2015年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252541

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ピエール ルメー...
サンキュータツオ
塩田 武士
有効な右矢印 無効な右矢印

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)の感想・レビュー・書評

  • 「息子は2度殺された」。神戸連続児童殺傷事件の「元少年A」が昨年
    出版した手記に対して殺された男児の父は語った。

    事件自体が衝撃的だっただけあって、この手記を購入して読んだ人も
    多いのだろう。「元少年A」が手にした印税は2千万円を超えているとも
    言われる。

    少年法で守られた「元少年A」の実名や顔写真は一部の写真週刊誌で
    の掲載を除くと報道されていない。未成年者の更生・矯正の為に設け
    られている少年法だが、この「元少年A」の手記の発表に続く有料ブログ
    の開設(既に閉鎖)などの行動を見ると彼は本当に更生したのだろう
    か…と思う。

    犯罪を、それも殺人と言う深刻な犯罪を引き起こした未成年者の更生・
    矯正は難しい問題をはらんでいるのだと思う。加害者たちは少年法で
    守られているのに、被害者遺族たちは二次被害・三次被害を受け続け、
    我が子を失った喪失感を抱えて生きて行かねばならない。

    なかには真摯に自分の犯した罪と向き合い、遺族への謝罪を続ける
    加害者もいるのだろう。だが、本書で取り上げられている加害者や
    その家族を見ていると他人事としてしか受け止められないのか?と
    感じてしまう。

    数多くの少年事件を取材して来た著者だからこそ、罪の意識もうわべ
    だけのような加害者と家族たちへの憤りが伝わって来る。

    「一度の過ちで、息子のあとの人生を棒に振りたくはない」と言う加害者
    の親。人生を棒に振るどころか、被害者の人生は奪われているのだが、
    分かっているのだろうか。

    同級生の女子生徒に付きまとった挙句に殺害し、遺族に対して事件を
    おもしろい小説に書いてみたいという内容の手紙を寄越した加害者は、
    少年院を出所後、成人になってから再度傷害事件を起こしている。

    遺族のせめてもの願いは民事訴訟での損害賠償請求だが、賠償額が
    決まっても1円も支払わないケースや、支払いが止まるケースのなんと
    多いことか。

    命はお金では賄えない。遺族もそれは分かっている。だが、賠償金を
    支払わせることでしか加害者に贖罪を負わせる術がない。

    幾度かの改正を経て、少年法は厳罰化されている。だが、それだけで
    いいのだろうか。被害者遺族への謝罪もない、賠償金も支払わない。
    いわば逃げ得になっていやしないだろうか。

    未成年にも極刑を…とは思わない。僅かでも更生が見込めて、家族共々
    犯した罪に対して真剣に向き合うことが出来るのであれば少年法も有効
    なのだろう。

    少年犯罪の加害者に対するシステムの、何かしらを見直さなければいけ
    ないんじゃないだろうか。

全1件中 1 - 1件を表示

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)の作品紹介

それでも「少年」は守られるべきか

少年による凶悪犯罪が跡を絶ちません。統計によると少年犯罪は減り続けていますが、猟奇的な事件や、いわゆる体験殺人――人を殺してみたかったから殺した――など、動機が不可解なケースは、むしろ増えている印象があります。一方で、少年(未成年)、とくに18歳未満は少年法で手厚く守られており、重罪を犯して刑事裁判にかけられても短期間で出所するケースがほとんどです。遺族たちは口をそろえて「これでは無駄死にだ」「なぜ死刑や無期懲役にできないのか」と憤慨しますが、少年法の壁は厚く、犯した犯罪と量刑が釣り合っているとは言えません。
また、遺族に対する加害者側の対応も、ひどいケースが目立ちます。一言の謝罪もない、追い打ちをかけるような言動をする、民事裁判で決まった損害賠償を支払わない……挙げ句の果てには再犯を繰り返し、また罪に問われている元犯罪少年も少なくありません。本書では、少年凶悪犯罪の遺族たちに綿密な取材を重ね、そうした実態を明らかにするとともに、少年と少年法の罪について深く考察します。

【編集担当からのおすすめ情報】
1948年に成立した少年法は4度改正され、そのたびに厳罰化の方向に向かっています。しかしまだ遺族たちが満足するレベルには至っていないし、少年による凶悪犯罪は発生し続けています。「酒鬼薔薇聖斗」に触発されたのか、猫などの動物を殺す事件も頻発しており、不穏な雰囲気が漂っています。
選挙年齢の引き下げにともなって、少年法も改正されるとは思いますが、刑罰は年齢だけを基準にしていていいのでしょうか。少年院などの矯正プログラムは、本当に機能しているのでしょうか。
この本がそれらのことを考えるきっかけになれば幸いです。

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)はこんな本です

「少年A」被害者遺族の慟哭 (小学館新書)のKindle版

ツイートする