幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書 こ 13-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252848

作品紹介・あらすじ

不完全である勇気

劣等感とは、他の人と比較したときに、自分は劣っていると思い知らされること、と思っている人は多いでしょう。このような思いにさいなまれるのは、本当に嫌なものです。しかしアドラーのいう劣等感とは、自分の理想と現在の自分の状況を比較したときに生じる感覚。他人との比較ではなく、自分自身の問題なので、自分を卑下する必要はありません。劣等感があるからこそ、何かを創造したり、社会に貢献することなどを通じて、成長(これをアドラー心理学では「優越の追求」といいます)することができるのです。
自分の理想と比べて劣っている(不完全な)部分があるとしても、他者との比較や、周囲からの評価によってではなく、自分らしさを追い求めていくと、“本来の自尊心”が高まっていきます。
本書では、こうした「不完全である勇気」をはじめ、「ライフスタイル」「共同体感覚」などアドラーの“哲学”を徹底解説。私たちが幸せに生きていくために、いますぐ実践できる意識改革のヒントを、“アドラー心理学の伝道師”である著者が詳しく紹介していきます。

【編集担当からのおすすめ情報】
「アドラー心理学」の魅力は、これまで私たちが当然だと考えていたことに対して、別の角度から考えることの大切さ、おもしろさを教えてくれることです。シンプルな言葉のなかに込められた深い意図を、存分に味わってください。

感想・レビュー・書評

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  • 下記のフレーズに勇気づけられました。

    自尊心を高めるには他人と比べないことが必要。劣等感は誰もが持っているものだからそれ自体は問題ない。ポイントは劣等感を感じた時、自分はまだまだ未熟だが良くやっている。と考えること。不完全な勇気と呼ぶ。
    失敗、それは失敗ではなく挑戦した結果である。

  • 各章に図解と汎用的なQ&Aがあり、新しい章では前章の要点がさらっと数行でまとめられているので、読みやすいほうではないかと。なんだかモヤッとして、今のままでよいのだろうか?と感じるとき、味方になってくれるかもしれない参考書。

  • (レビュー初心者です。読みにくかったら申し訳ありません。)

    本書はアドラー心理学の源流と人生への活かし方について、平易な文章で書かれています。アドラー心理学の初心者が、大枠を掴むのにおすすめです。

    以下、自分の生活で使えるポイントを抽出しました。

    ・自己理想と自己概念が優越の差を生んでいる。優越への追及の際、劣等感は起爆剤
     として使えること(使用の心理学)。
    ・自己欺瞞を使って自尊心を守り、自己防衛をしている。(例:酸っぱいぶどう)
    ・「自分はまだまだ未熟だ。でもそこそこ良くやっている。」(不完全の勇気)
    ・ライフスタイルは3つから成り立つ。
     -追求する自己理想
     -対人関係のつくり方
     -自己、他者、世界についてのスキーマ
    ・人間は所属の感覚があれば安心できる。
    ・感情は対人関係の良さを示すバロメーター
    ・感情には明確な目標と方向性がある
    ・私たちは社会に埋め込まれている(社会統合論)

    最近アドラーの本を連続して読んでいますが、体から勇気が湧いてきます。
    生き方に迷っている方(特に対人関係に困っている方)はぜひ読んでみて下さい。

  •  本書も、息子の中学の先生のお薦め図書。
     アドラーといえば、岸見一郎が有名だが、ほかの人がどのようにアドラーを描いたのかも気になって、読んだ。


     ・ドライカースの言う4つの誤ったゴール
    ①注目を得ようとする
    ②権力争いをする
    ③復讐する
    ④無能であることを示す

     私たちは自分のフィクションに基づいて、まわりの人たちがこうあってほしい、こうあるべきだという期待を抱いています。…
     こうした期待は、自分にとっては「当然こうあるべきだ」ということであり、正しくて疑いのないものです。しかし、自分にとってどんなに正しいことであっても、それがまわりの人と共有されない限り、自分のなかのフィクションにすぎないということを確認しておかなければなりません。
     このフィクションに基づいて、対人関係のなかで「相手にこうしてほしい」「こうするべきだ」という目標が立てられます。これを「仮想的目標」と呼びます。

     自分の子どもに対して「あなたは、こんなふうに育ってほしい」「あなたは、このような人間になってほしい」という期待を持つのは親の自由ですが、あくまでもそれは親自身の仮想的目標です。親が勝手に考えていることですから、本当は子どもにはなんの関係もないのです。ですから、その仮想的目標どおりに子どもが育たないからといって、子どもに対してイライラしたり、叱ったりすることには意味がありません。
     ただひとつできるのは、親の仮想的目標を自分の意見として子どもに伝え、子どもと一緒に目標を考えるということだけです。その場合であっても、子どもの考え、つまり子どもの仮想的目標をよく聞いて、ふたりのあいだの共通感覚を見つけることが大切です。そうしたプロセスを踏むことによって「目標の一致」ができるでしょう。


     では、勇気づけるとは具体的にはどのようなことでしょうか。まず最初に明確にしておきたいことは、勇気づけとは、相手をほめたり、励ましたり、期待したりすることではないということです。ですから、相手を必ず勇気づけることのできる「魔法の言葉がけ」―そういうタイトルの本や記事が、世の中にはたくさんありますが―などというものは存在しません。…
     勇気づけにはふたつの方向性があります。ひとつは自分に対する勇気づけ。自分の人生を自分自身で引き受けること、そして社会のなかで他の人と協力して生きることを決心することが、自分に対する勇気づけです。もうひとつは他者に対する勇気づけで、その人が自分の人生を自分自身で引き受け、他の人と協力して生きることを決心してもらうことです。

    ・「自己受容→所属→信頼→貢献のサイクル」
     自己受容するためには、不完全である勇気を持つこと。所属をするためには、不完全である勇気を持ちつつ、自分の強みを見つけること。
     信頼関係をつくるためには、自分のマイナス感情が起こる仕組みを知り、相手の私的感覚を尊重しつつ、お互いの共通感覚を見出していくこと。
     まわりの人の役に立って貢献するためには、自分自身を勇気づけて人生の有益な面での行動を積み重ねていくこと―。
     これらのステップを着実に踏んでいくことで、私たちは自分の共同体感覚を育てていくことができるのです。

    ・アドラー心理学の重要な概念
    ・努力と成長のバネとして「劣等感」を使うこと
    ・自分が生きる方向性として「ライフスタイル」を持つこと
    ・幸せに生きるために「共同体感覚」を育てること

  • Q&Aが多くあり、普段感じていることをアドラー心理学の視点でとらえることができた。

    *アドラー心理学はあなたが生きている意味を説明してくれる理論です。その理論を受け入れることができると、その結果として、生きる勇気がわいてくるということなのです。
    *最優先目標による4分類
    安楽でいたいタイプ、コントロールしたいタイプ、喜ばせたいタイプ、優越でありたいタイプ。

    *所属と承認
    いいところのみつけられない部下には、自分にないものを相手が持っているか考えよう。おそらくそれが相手の強みです。
    自分がどの共同体に所属するのかは、自分で決めてよい。家族以外の共同体はすべて自分で決められます。人はせいぜい2、3個の所属できる共同体があれば十分幸せにやっていくことができます。

    *相手との共通感覚を見いだす
    自分の私的感覚が妥当なものか判断する方法は相手ととことん話し合うこと。自分の私的感覚を相手に語り、同時に相手の私的感覚を言葉を通して理解するために語る。どこかで見つけられる共通点が共通感覚です。
    *感情
    イライラの感情は、このままではいけないということを自分に知らせてくれる合図です。イライラの感情がわきおこったら、何がこのままでいけないのだろうか。何が私の期待(仮想的目標)を裏切っているのだろうか。良い方向に向かうためには、現状を変えるのがいいのだろうかそれとも自分の期待を変える方がいいのだろうか。ということを考えるきっかけにする。
    イライラが日常なのは習慣だから。これは合図だと思うこと。

    *勇気づけ
    まわりの人を信頼し、協力するためには、周りの人たちはすべて善意でやっていると信じること。その方法がおかしいと思うときは、あくまで自分の意見としてつたえる。すべて善意だと思うと、自然に感謝の気持ちがうまれる。ありがとうや嬉しいは、相手を勇気づけると同時に自分自身を勇気づけます。自分が共同体の仲間の一人として働いていることを実感できるからです。

    自信をもつにはまず<自分は不完全な人間である>と認める勇気をもつこと。そして努力と成長に注目すること。

  • より良く生きるためのアドラー心理学。
    すぐに使える実践的なアイデアが満載です。

  • 岸見版アドラー心理学を読んだ人なら違和感を感じる内容。アドラー心理学の古典を学びたい人には不向き。

  • アドラーの考え方は、合わないかもしれないな。

    もうちょっといい本を探したほうがいいかもしれない。

  • アドラー心理学のポイントが端的にまとめられていてわかりやすい。

  • 精神分析学(フロイト)、行動分析学(スキナー)、認知心理学、人間性心理学(マズロー、ロジャーズ)
    アドラーはフロイトから独立し「個人心理学」を打ち立て人間性心理学の源流となった。
    アドラーの影響=劣等感と補償→発達心理学、ライフスタイル→パーソナリティ心理学、競争から協力へ→教育心理学、統覚スキーマ→臨床心理学、対人関係の重視→社会心理学。

    自己概念と自己理想のギャップにより劣等感となり、それを補償という努力で埋めようとする、優越の追求、創造と貢献。
    ライフスタイルの最優先目標による4分類=安楽でいたい、コントロールしたい、喜ばせたい、優越でありたい。
    自己受容→所属→信頼→貢献(共同体感覚)

    努力と成長のばねとして「劣等感」を使うこと(自己受容)
    自分が生きる方向性として「ライフスタイル」を持つこと(ライフスタイルを使って所属)
    幸せに生きるために「共同体感覚」を育てること(信頼、貢献)

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著者プロフィール

向後 千春(こうご・ちはる)
1958年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。博士(教育学)(東京学芸大学)。
専門は教育工学(特に,eラーニング,インストラクショナルデザイン),教育心理学(特に,教授法,生涯学習,作文教育),アドラー心理学(その実践と実証研究)。
著書に『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』『アドラー“実践”講義』(技術評論社, 2016, 2014),『コミックでわかるアドラー心理学』(中経出版, 2014),『上手な教え方の教科書 入門インストラクショナルデザイン』(技術評論社, 2015),『教師のための教える技術』(明治図書出版, 2014),『200字の法則 伝わる文章を書く技術』『いちばんやさしい教える技術』(永岡書店, 2014, 2012),『統計学がわかる』『統計学がわかる【回帰分析・因子分析編】』(技術評論社, 2007, 2008)など。

「2016年 『18歳からの「大人の学び」基礎講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

向後千春の作品

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