世界観 (小学館新書 さ 18-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252879

作品紹介・あらすじ

「知の巨人」が実践するニュースの読み方

トランプ大統領の誕生によって、世界が大きく動こうとしている。

いま日本人に必要なのは、無秩序な情報を論理的に組み合わせ、「見えざる敵」を炙り出す思考である。

本書は、この5年間に世界で発生した大事件に対して、佐藤優氏が正面から思考した記録である。

国際情勢分析は、同氏にとって外務省主任分析官時代からのライフワークだ。インテリジェンスや地政学、宗教的知見から事象の「本質」を導き出すアプローチは、大陸から隔絶された島国で暮らす日本人が国際社会で生き抜く術でもある。

【目次】
第一章 世界の「ルール」が変わった――欧米・ロシア
第二章 視えざる「テロ」との戦い――中東・欧米・日本
第三章 東アジアの命運――中国・韓国・北朝鮮
第四章 危機に備えよ――日本

地球規模の動乱を生き抜くために――。そのヒントは本書にある。



【編集担当からのおすすめ情報】
オバマ外交の失敗とトランプ現象、ヨーロッパ「移民問題」、英国「EU離脱」、中国軍「領海侵犯」、朝日新聞「誤報」、北方領土交渉、安倍政権と創価学会、金正恩「核外交」、パナマ文書、トルコ「クーデター騒動」、「イスラム国」テロ…といったテーマについて、佐藤優氏が正面から論じています。本書を読めば、傍目には、別地域、別次元で起きた事件ですが、見えない糸でそれぞれが繋がっていることがよく分かります。「これから」を生きる学生、ビジネスマンにおすすめです。

感想・レビュー・書評

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  • 「21世紀に入ってから16年になるが、国際情勢は年を追うごとに複雑になっている。その最大の理由は1991年12月のソ連崩壊だ」との書き出しで始まる、元外務省主任分析官・佐藤優氏の評論集。

    ここ数年の雑誌SAPIOの連載をまとめた。

    外務省時代、英国とロシア(ソ連)に赴任していた筆者はソ連崩壊を現場で体験してきた。

    あの鈴木宗男事件にからみ2002年に逮捕されて、獄中闘争を潜り抜けて作家となった。

    自分の努力と知恵と人脈とで練り上げられたネットワークから得られた情報をもとに、多様化し複雑化する世界情勢を分析していく。

    筆者は一貫して、相手の立場を理解しようとした上で、複眼的に物事の本質を捉えていく。

    物事に対する視点が深くて広い。そして奇をてらっていない。

    「外交は人である」--6000人の命のビザで世界的に知られる杉原千畝への見方も、筆者ならでは。
    外交ジャーナリストの手嶋龍一氏との対談で、「単なるヒューマニズムでけでなく、インテリジェンス(重要な事項に属する知識・情報)の面でも重要だ」と語る。

    知の巨人がわかりやすく語りかける、新聞、ニュース、そして世界の見方が広く深くなる一書。

  • 元外交官の佐藤優による、雑誌に連載している外交についての論述をまとめたもの。

    2015-2016年と若干古いものの、著者の外交についての意見と見分が知れて勉強になった。

  • ロシアネタは面白い。が、連続でこの人の本を読んで飽きた。少し。

  • ずっとプーチンのことが気になっていました。

    ロシアの大統領なのに、可愛くて親しみやすい名前。
    そして脂肪がないルックスが、欲望をコントロールできる人に見える。
    名前に関してはトランプも負けていないけど、こちらは脂肪が多い。
    私はトランプのニュースを見ていると
    「これから日本はアメリカよりロシアと仲良くしたほうがいいんじゃないか?」
    と思ってしまいます。

    この『世界観』見出し35中、「プーチン」が入っているものが8個!
    佐藤優さんも、一番気になっていること間違いありません。

    その中から私の好きな3個をメモしておきます。


    ●プーチンは「裏切ったスパイ」元CIAスノーデンを許さない

    スノーデンが一か月以上ロシアに滞在していた間、
    ロシアには「スノーデンの亡命を受け入れるべき」と主張する政治家や有識者が少なからずいた。
    プーチンは記者会見でこう述べた。
    「ロシアに残りたいのなら条件がひとつある。
    われわれのパートナーの米国に損害を与えるような活動をやめなければならない」

    佐藤さんは次のように考える。
    「スノーデンのロシアへの正式亡命は米国の激しい反発を招き、米露関係の悪化を招く」
    「プーチンはインテリジェンス機関を裏切ったスノーデンを心底軽蔑し、嫌っている。
    この要因を、スノーデンは恐らく理解していない」


    ●プーチンの最側近として畏怖される47歳「灰色の枢機卿」はいかにのし上がったか

    第一は「主権民主主義」というプーチンの理念を的確に表現する思想を構築したことである。
    有力な政治家は無意識のうちに理念を持っているが、それを的確に表現する思想的な言葉を見出すことができない。
    プーチンに思想的影響を与えようと試みた多くのイデオロギー官僚と異なり、
    スルコフは「プーチンの思想を別の言葉で表現する」というアプローチをとった。
    その結果、スルコフはプーチンの信任を得るようになったのである。

    第二はスルコフの大衆動員能力だ。
    彼は「プーチンを支持する官製青年運動」を構築した。
    この運動は、非知識人の中で、社会に不満を持つ青年の力を体制維持のために活用する試み。
    運動幹部によると「運動を成功させる秘訣は、“偉大なロシア”という言葉で青年の愛国心に感情的に訴えるとともに、
    警察、軍は、われわれの見方だという意識をもたせることだ」と。


    ●朴槿恵の「反日共同声明」ゴリ押しがプーチンの逆鱗に触れた

    佐藤さんがエリツィン政権時代に親しくしていた、クレムリン幹部サターロフ大統領補佐官との会話をまとめると次のようになります。
    「日本人と韓国人のクレムリンに対するアプローチはだいぶ異なる。
    韓国人は初動できわめて積極的だ。人脈もそこそこできる。しかし、長続きしない。
    がっつきすぎるからだ。短期的な成果を挙げようとして、要求を突きつけるアプローチをしてくる。
    ロシア人もそうで、磁石のN極とN極が反発するようにロシア人と韓国人は関係が深くなると感情的に反発するようになる。
    これに対して日本人は慎重だ。なかなか個人的関係をつくろうとしない。
    しかし、いったん信頼関係が確立すると、日本人は友情を大切にする。
    友人を困った立場に追い込むようなことはしない。
    強引に自分の立場を相手に押し付けない。
    少なくとも私の付き合った日本人はみなそうだ。」

    プーチンは2013年11月、朴槿恵との会談に30分近く遅れた。
    サンボの少年選手たちと話し込んでいるうちに遅れたというのが公式の説明。
    極めて非礼。事実韓国では批判が巻き起こっている。

    インテリジェンス・オフィサーであったプーチンは意味のない行動をしない。
    韓国の強引な姿勢がプーチンを逆撫でしたのではないか?
    「今回の韓国の対応に強い不満を持っている」という認識を可視化させるための行動ではないか?


    以上の3点、個人的にプーチンに惹かれたと同時に
    自分の今後の行動の参考にしたいと思いました。

    それとプーチンの話ではなくて、池上さんと朝日新聞の問題について。
    この件は池上さんの本で詳しく知っていたけど
    佐藤さんはまた切り口が違って、とても興味深く読めました。

  • コンパクトに最近の国際情勢がまとめられている。非常に参考になる。

  • 2017.07.20読了
    難しいけれど、理解できる部分もある。世界情勢(特に中東)に関する情報は定期的に読まないと理解が及ばなくなる。

    佐藤優はこれまでに何冊か読んでいるけど、未だについて行けない。今回も読了までに時間をかけてしまった。

  • 公開される情報を有機的に構造化することで,世界を別な視点から解釈する.その実例が一つ一つ丁寧に書き下される.言うは易いが行うは難く,実際世界と照らし合わせてきたがために磨かれる能力と思われる.

  • ここ5年間に起こった事件に対する考え方、背景を解説してくれている。SAPIO誌に連載の文章から抜粋して加筆されている。
    自分が分かっていない出来事や背景が山ほどあり、ラジオで佐藤優さんが解説してくれるのがたいそうわかりやすいので、読んでみるが基礎知識が少なくて追いつけず。
    ただ、読む中で少しずつ理解することもあり、今年は意識してこんなジャンルを増やそうとしている。

  • 何が何でも自分の立場が正しいと固執することはしない。「絶対に正しいものはある。ただし、それは複数ある」という発想をする

    ネバダ州、デラウエア州はタックスヘイブン

    2016/2 ローマ法王とロシア正教総主教の歴史的和解

    東西教会 1054 大分裂
    1964 コンスタンチノポリス世界総主教座と正常化

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    共産党支配に潔しとしないユニエイト教徒は、カナダのエドモントンに居住 カナダの3番目の流通言語はウクライナ語 遠隔地ナショナリズム

    北方領土返還 日米安保から除外すると、尖閣諸島は適応除外地域にされるリスクあり

    4代目カリフのアリーガなくなったあと、アリーとその子孫こそカリフと考えるのがシーア派(イランなど1割)、ムハマンドが伝えた慣習スンナに従うもの。代々合議で選ばれたカリフを正統とする、スンナ派(9割)

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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