教師花伝書 (教育単行本)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098373840

作品紹介・あらすじ

「風姿花伝」の精神に沿い、教師の授業実践とその学びのありようを探る。

感想・レビュー・書評

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  • なんとなく実践をしていてはだめで、子どもにも、教材にも、自分の信念にもとことんこだわりをもち、あくまでも子どもが学んでいるかに焦点をあて、自らの実践を粛々と積み重ね、省察していくことが大事。すごすぎる教師の話を聞くとぞっとするというかなんというか、、、。今からできることをするしかない。


    14 教師の仕事は、職人(craftsman)としての世界と専門家(professional)としての世界
    職人としての振る舞いは見えやすい
    専門家としての思考は見えにくい
    27 授業が始まる時点の教室の「息づかい」が、その授業のその後のすべてを決定すると言っても過言ではない
    37 教室の子ども(生徒)全員を自分の身体イメージの中に入れ込む「居方」で立たなければならない
    46 子どもの発言やつぶやきを聴くということは、ただ、その発言やつぶやきの意味を理解することではない。教師が子どもの発言やつぶやきが、題材(テキストや資料)のどことつながって発せられているのか、他の子どものどの発言とつながって発せられているのか、そして、その子自身のそれ以前の考えや発言とどうつながって発せられているのか、この三つの見えない関係を認識することが必要である。(中略)子どもの発言の受容に「タメ」がある
    53 「職人」としての教師の性格も「聴く」ことに集約的に表現されている。(聴くことで、教師の想像力+子どもをまるごと受容)
    56 職人気質 ①子ども一人ひとりの尊厳を大切にすること
           ②教材の可能性と発展性を大切にすること
           ③教師としての自らの哲学を大切にすること
    60 上手は下手の手本、下手は上手の見本
    101 聴く・つなぐ・もどす
    188 自他の授業を「評価」する見方から「省察」する見方への転換を図る必要がある。「よい授業」「悪い授業」「成功」「失敗」として授業を観察したり反省したりしている教師は一生かけても素人のまま~~(中略)「教師の教え方」を観察と批評の中心とするのではなく、「子どもの学びの事実」(どこで学びが成立し、どこで学びがつまずいたか)を観察と批評の中心に置くことを主張してきたのは、教師たちの研修を専門家らしい学びの場へと転換することを企図したからである。

  • 片山学級訪問の感想を読ませていただいていて、思い出したので再読した。

    −−−
    教師の仕事は決して派手な仕事ではない。それは「小さな事柄」の集積のような仕事である。
    (中略)
    この転換期において、より確かな教育の未来を準備するためには、教室に生起する「小さな事柄」を何よりも大切にし、一人ひとりの子どもの学びの実現に心を砕き、日々の授業実践の創造に粛々と取り組まなければならない。その粛々とした実践こそが、教師自身の専門家としての成長を促し、同僚性の構築を促進し、この転換期にふさわしい学校改革を内側から推進して、より確かな教育の未来を開拓するものとなる。
    ーーー
    これは片山先生のことだなあと。
    教職の職業特性として「不確実性の高さ」が挙げられると言われるが、毎年、どんな背景をもつ子どもたちを担任しても、一人一人の自立と自律心を育み、学級集団として温かさとまとまりのある繋がりをつくり、安心感と所属感を感じられる学級風土を作ることができるのは、「粛々と実践を創造」しているからだと思った。

  • 「風姿花伝」の精神に即して、教師の授業実践とその学びのありようを探ります。受難の時代に教師としての人生をまっとうするための秘伝書です。OPAC → http://t.co/LliIFsZVQ2

  • 教師としての専門性は、「教えること」だけでなく、「学ぶこと」でもある。

  • ・「隠れた優れている教師たち」から学ぶことをテーマに、筆者がこれまで関わってきた教師たちの実践について述べられる
    ・雑誌の連載をまとめたもので、平易な言葉で読みやすい

  •  教職のための科目の教科書として指定されたもの。著者の佐藤学が様々な学校・授業を見学した経験によって作り上げられた「これからの教師」のための教科書。 
     教師の「専門性」と「職人性」を軸におく著者の「教師論」にはうならされるものがあり、非常に参考になる。とくに、佐藤学が実際に出逢ってきた多くの教師を描いた実像は魅力にあふれており、感動すら引き起こしうる。一部の声が大きな者たちによって語られるがちな「教育」を、よく耳にするような言説に惑わされることなく、しっかりと見て、考えたいという人は必読。これからの教育の可能性を信じてみたくなるであろう。
     また、現場主義を取っているという著者の態度によって育まれたものかもしれないが、専門家が書いたとは思えないくらい読みやすい文章で、教育を専門として学んでいないような人でもすんなりと内容が頭に入ってくる点も素晴らしい。

  • 【34/150】「学びの共同体」、「響き合う授業」、教師の役割として「聴く」「つなぐ」「もどす」、専門家として役割と職人としての役割、それから居方(ポジショニング)など学ぶべきことがたくさんあった。
    世阿弥のことば「上手は下手の手本、下手は上手の手本となりと工夫すべし。下手のよき所を取りて、上手の物数に入るること、無上至極の理なり」 この考えは私にもガーンときました。

  • あり方って大事だよね。っていうか、暗黙知を知るということって大切だよね。
    立場が変われば色々あると思うけど、声が大きくて、いいこと思いついちゃう迷惑なタイプの教育関係の偉い人はみんな読むといいよ。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授,北京師範大学客員教授

「2024年 『新しい時代の教職入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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