- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001005
作品紹介・あらすじ
日本人初のノーベル文学賞に輝いた川端康成の作品には、日本的な美とともにエロスが限りなく漂っています。『伊豆の踊子』の薫を見つめるまなざしにも、『雪国』の駒子を覚えている島村の指にも。それは端整な文章が誘う甘美な「魔界」。さあ、川端ワールドをたっぷり召し上がれ。わかりやすい評伝・名作の要約・音読したい名場面・人気作家のエッセイなど、文豪の新しい魅力が発見できる画期的なシリーズ。
感想・レビュー・書評
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『水晶幻想/禽獣』は微妙だったものの、先日『雪国』にガツンとやられた。
次は何がいいのだろう…と思い、取り敢えずコレを手に取った。
初心者向けに短めにザーッと紹介してくれているので助かる。
本書によるとやはり『伊豆の踊子』スタートで、次に読むと良いとされているのが『雪国』だったので、さてどうするか…。
気になっていたのは『眠れる美女』と『山の音』。
『雪国』が良すぎて、次でがっかりしたくない感があるというのが正直なところ。
齋藤孝が、川端の文章が如何に官能的で美しいかを巧みな言葉で表現されていて良かった。
が、直後に『雪国』を名古屋弁でやってみるという暴挙に出ており、流石に引いた。
なんてことを。
齋藤先生ご本人も"暴挙"と仰られているし、"破壊"がどーたらとお話になられてはいたけれど、
それにしてもあんまりだ。
正直私には、そうして壊すことの意味がわからなかった。
壊してみなくとも、川端の描く女性の美しさは明確だからだ。
石田衣良は川端の小説を、"美しい「あいまい」さ"と表現していた。
角田光代は、高校一年の時に『伊豆の踊子』を読んで"まったくつまらない"との感想を残したとのこと。
だが、"つまらないのは「伊豆の踊子」ではなく私自身であった、と気付くのは、感想文から十五年後の………"と続く。
"そうして川端康成は、映像よりも確かに、映像よりも美しく、映像よりも強烈に、その光景を読み手の内側にねじこんでくる。あんなに短い言葉の連なりで。"
『禽獣』には不快感を抱いたので気にしなかったが、川端が犬や鳥が大好きだったことを、島内景二先生の評伝で知った。
そして"川端が執着したのは「少女」であって……"、"お人形さんのような美に心ひかれたのだ。"
そして"性愛"という意味ではなく、"温かい肌と肌との接触"を願う。
そうだよねぇ。
それはもう、初心者の私でさえ感じる部分だもの。
『夕景色の鏡』という作品の、"……つまり写るものと写す鏡とが、映画の二重写しのように動くのだった"という汽車の窓の描写を取り上げており、本書文中にもある通り、『雪国』でも使われた技法じゃん!と興味深かった。
昭和五年の雑誌インタビューに答えたアンケートも面白かった。(P68に写真あり)
1~10の回答で、既に川端康成という人の輪郭が見えるようだ。
「1.妻はなしに妾と暮らしたいと思います」
「6.仕事は一切旅先でしたいと思います」
等々。
"昭和四十七年四月十六日、逗子の仕事部屋でガス管をくわえて自殺している川端の姿が発見された。"
本書を読み終えて、当初から思っていた、次は『眠れる美女』か『山の音』にしようという思いは固まった。
どちらにするかは決めてないけれど、再び川端作品を手に取るときは、どちらかにしようと思う。
『夕景色の鏡』も少し気になりつつ…。 -
「眠れる美女」「みずうみ」
読んでみたくなった
昔の文豪はなかなかクセが強い
ブックオフにて取り寄せ -
谷崎潤一郎のエロティックさと、彼のそれは、別種のような気がする。
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伊豆の踊子、雪国をもう一度読みたくなった。
眠れる美女、山の音を読みたい。 -
角田光代先生!僕も同じです!
中学だか高校の頃、「伊豆の踊子」を読んで「まったくつまらない」と思い、以来、川端康成には近づきませんでした。
角田先生と違うのは、川端康成を再読するきっかけとなった本。僕は「眠れる美女」でした。角田先生と並んでエッセイを収録されている石田衣良先生と一緒です。
ほんっとに川端の踊子とか、漱石の猫とか、太宰のメロスを子供に薦めるのはやめてほしい。
子供には判りそうになくても、内容が不謹慎でも、最高の物を読ませてほしい。所詮芸術なんてインモラルなものなのだ。解らなくても何かを感じ取っていくだろう。
「ノーベル賞なのにィこんなにエロティック?」という副題に惹かれて本書を手に取りました。残念ながら副題について解き明かされている部分は僅かです。巻末の島内景二先生の文章がこれに触れてはいましたが、これだけでは論拠に欠ける気がします。
しかしながら、まったくつまらなかった伊豆の踊子を再読してみようとは思えました。面白かったら、今更ながら「伊豆の踊子」のレビューも書いてみようと思います。 -
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
島内氏の解説がいい
「川端は『伊勢物語』の前半を『千羽鶴』…後半を『山の音』へ…割り振ったのかのようだ」
また、鎌倉時代、優雅な連歌の作り手は「柿本衆」、通欲的な作り手は「栗本衆」と呼ばれ、『千羽鶴』の太田夫人は「柿本衆」で、栗本ちか子は「栗本衆」だと。
衝撃的だったのは
「川端家は、何と北条泰時の子孫だとされる」の一行。書き手は島内景二さん。
なぜ義時や時政ではなく「泰時の子孫」と書いたのか。鎌倉文学館の川端関係の図録に記載あったかな? -
新書文庫
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なぜ、川端康成の文章が優れているのか。若い人は、読んでもさっぱりわからないのも多かろう。著者の文体の解説、人となり、人生を紹介した本書を読んでから、作品に臨むのもありだと思う。2014.8.21
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写真が綺麗
川端康成の入門書にはピッタリでしょう
川端、良いですよね。私の最推し、徳田秋聲をベタ褒めした作家でもあるので、違う意味でも好きです(笑)
『山の音』良いですよ。
戦...
川端、良いですよね。私の最推し、徳田秋聲をベタ褒めした作家でもあるので、違う意味でも好きです(笑)
『山の音』良いですよ。
戦後の日本文学の最高峰と言われるだけあります。
個人的にまた読みたい作品です。
『眠れる美女』は現在積んでいますが、楽しみで仕方ありません。
どちらも外さない名著だと私は思います。
存分に迷ってください(笑)
川端、良いです~。
(徳田秋聲は存じ上げないのですが。)
『山の音』『眠れる美女』、無花果さんのお墨付きであ...
川端、良いです~。
(徳田秋聲は存じ上げないのですが。)
『山の音』『眠れる美女』、無花果さんのお墨付きであれば間違いないですね♪
そうなんですよね、最高峰と言われているのは『山の音』なんですよね。
揺れるなぁ。。。
楽しみながら迷いたいと思います。
僭越ながら布教活動を。(笑)
「日本の小説は、源氏に始まり、西鶴へ飛び、秋聲に飛ぶ」と言われています。漱石でも鴎外でも...
僭越ながら布教活動を。(笑)
「日本の小説は、源氏に始まり、西鶴へ飛び、秋聲に飛ぶ」と言われています。漱石でも鴎外でもない。
近代文学、特に小説において決して無視できない作家(のハズ…)です。
秋聲の作品はとにかく地味。物語に起伏が無い。文章も飾り気が一切無い。そして読み難い。これらが要因で読まれなくなりました。
しかし、地味ではあるが、滋味なのです。
川端も「秋聲氏の作品は読み難い。だが、時間をかけてじっくり、本当にじっくり読んで貰いたい」と言っている程です。
例えるなら、どん兵衛(赤いきつね)のお揚げを一口噛んだ時に溢れ出るお出汁が、腹の底に染み込んで行く。(個人的感覚)
そんな味わい深い文章が特徴です。
強いることは致しません。ご興味が出て来たら読んでみてください。
朝から煩わしいコメント、失礼致しました。