雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001395

感想・レビュー・書評

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  • ギリシャ・アトスには行きたくなり、トルコには行きたくない(読むだけで十分)という読後。
    残念、アトスは女人禁制の島なんだった…
    状況としては深刻で冗談も通じないようなシリアスな場面でも村上春樹の描く文章は何か状況を滑稽に伝える。

    2023.3.2

  • 村上春樹の紀行記を呼んだのは初めてだったが、とても面白かった。ギリシャ、トルコのどちらの旅も相当ハードな、大変そうな旅であったが、彼の文章でもってその旅を想像してみると、不思議と楽しそうな印象を受けるのである。

    トルコ篇で、道中真っ白なドレスに身を包んだ女の子の一行に遭遇する場面がある。車を止めて話しかけるでもないが、トルコの荒々しい風景の中で突如として現れた予想外の光景に村上春樹氏が思ったこと。素晴らしい叙述だった。こういう世界の捉え方は、ぜひとも参考にしたいと思った。

  • 村上春樹の紀行文、いくつか読みましたが
    こちらがいちばんハード(かつタフ)な印象を受けました。

    日本に住んでいて想像できうる「ハードな旅行」を遥かに超越した別世界を見せてくれます。
    ギリシャ編はまだ楽しむ余裕があるのですが、トルコ編は「おお…」とちょっと引かざるを得ないような描写があります。(1988年の事なのでだいぶ違いはあることを差し引いても…)

    自然の美しい描写と、なんと言っても現地の人々の描写が生き生きしていて読み応えがあります。写真も、現地の空気が伝わってくるようなものばかりで見応えがありました。

  • 「村上春樹」の紀行『雨天炎天 ―ギリシャ・トルコ辺境紀行―』を読みました。

    「坂本達」の自転車紀行エッセイ『やった。―4年3ヶ月の有給休暇で「自転車世界一周」をした男』に続き、旅の本で現実逃避です。

    -----story-------------
    「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。
    険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。
    一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ―。
    雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く。
    -----------------------

    「村上春樹」の紀行は、5年くらい前に読んだ『辺境・近境』以来なので久しぶりですね。

    本書はギリシャのアトスへの旅と、トルコへの旅が収録されており、以下の構成となっています。

     ■ギリシャ編 アトス―神様のリアル・ワールド
      ・さよならリアル・ワールド
      ・アトスとはどのような世界であるのか
      ・ダフニからカリエへ
      ・カリエからスタヴロニキタ
      ・イヴィロン修道院
      ・フィロセウ修道院
      ・カラカル修道院
      ・ラヴラ修道院
      ・プロドロムのスキテまで
      ・カフソカリヴィア
      ・アギア・アンナ―さらばアトス

     ■トルコ編 チャイと兵隊と羊―21日間トルコ一周
      ・兵隊
      ・パンとチャイ
      ・トルコ
      ・黒海
      ・ホパ
      ・ヴァン猫
      ・ハッカリに向かう
      ・ハッカリ 2
      ・マルボロ
      ・国道24号線の悪夢
      ・国道24号線に沿って

    ギリシャ正教の聖地アトスを巡る旅と、トルコを一周する旅、、、

    旅行先として選ぶには躊躇するけど、一度は足を踏み入れてみたい場所… でも、楽な旅じゃないですよねぇ。

    俗世界と隔絶されたアトスの不思議な世界観、死の危険と隣り合わせのトルコの辺境… 行ってみたけど、行くとしたら、なかなかディープな旅になりそうですね。


    実際には行けそうにない土地だけに、現実逃避にぴったりの作品でした。

  • コロナ禍で旅行に行けない今読むのにぴったり。
    ギリシャのアトス半島と、トルコの黒海地方+東南部を周遊した旅のもようを綴っている。旅行記なのでかなりスラスラと読めた。
    ギリシャ編ではいくつもの修道院を訪れ、出会った人や食べものを宗教的な要素にも簡単に触れつつ紹介しているが、なかなか一般的な観光客は足を踏み入れないような場所であるから興味深い。
    トルコ編では、トルコのキラキラした部分だけではなく、旅で起こったことをもとにその地の雰囲気、トルコ人の気質や現地人はあまり話したくないような暗い部分に触れたりしていることに好感を持てた。クルド人の話であったり、東南部の街の雰囲気など、少し重い話題であっても重すぎず、かといって軽く流しているようでもないため読みやすかった。

    「物事がとんとんとんと上手く運ばないのが旅である。上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの・不思議なもの・唖然のするようなものに巡りあえるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。」
    序盤で響いた言葉。頭では理解できても、心の内からこう思えるようでありたいと思う。

  • 紀行文もおもしろいなあと思った。異文化の体験がまるで自分が経験しているように感じて新しい価値観が生まれた。旅をしたいなあ。

  • 2021年初読み。中々よし。

  • f.2018/6/15
    p.1991/7/29

  • アテネを走った話がおもしろい。

  • ギリシャの巡礼にはいってみたいですが、トルコは駄目ですね。

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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