ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001425

感想・レビュー・書評

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  • 2016年の現在から20年ほど前の作品だけど僕の中ではますます輝きを増していて、読む度に評価が上がっていく。時間や雑用など忘れて夢中になってしまうので、雑用を先に済ませてからでないと安心して読めないためどうしても寝る前に読み始め、結果寝不足になる。
    この第2部ではカラフルな登場人物たちがみごとな花を咲かせるみたいに個性を開花させる。話しの流れが淀むことなく自然に進んでいく。奇妙な出来事ですら自然なものに映る。気がつけば完全に著者に操られている。操られることが読者としての喜びなのだからこれこそ至福というもの。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    致命的な記憶の死角とは?失踪したクミコの真の声を聴くため、僕は井戸を降りていく。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    さらりとした紹介ですなw
    第2部では、またたくさんの不思議な展開が待っています。
    まず、ついに奥様の失踪がはっきりとした形となって現れます。

    と言うか本気で帰って来なくなります。

    そして主人公は、この時点ではまだ状況の把握が出来ず、
    理解もできず、ただただ茫洋と日々を過ごします。

    その間には、井戸に魅せられた主人公が、
    近所の美少女の家の前にある空き家の井戸に入り
    (間宮中尉の影響?)、そこから「現実でない世界」に入り込みます。

    そこでは(たぶん)テレクラ電話の女性がいて...
    それから加納クレタと言うマルタの妹がいて...

    妻の兄である綿谷昇(失踪した猫の元の名前)が夫婦の問題に介入してきて
    主人公はそれに反発を覚えまた暗く深い闇を知り、
    奥様を取り戻すべく動き出します。

    このへん、「羊をめぐる冒険」ぽいですね。
    ただこの作品の主人公はそれほど遠くへは行かないですが。
    (現実じゃない世界には、同様に辿りつきます)

    途中で、札幌で出会ったギター弾きの男に殴られるしーんがありますが
    それはやっぱりバットを持たせる必然性かな?

    で、井戸にしょっちゅう入るのですがここで学校に行ってない美少女(笠原メイ)との交流が描かれます。

    で、なんでかまた加納マルタと性的な行為があったり。

    笠原メイの言葉じゃないけど、なぜか女性に囲まれますね。
    村上春樹の主人公って。

    で、井戸の中の非現実世界から、彼は顔にあざを作って帰ってきます。
    そのあざが多分きっかけで、この後また不思議な女性と出会い...

    ついに「ねじまき鳥クロニクル」が明かされる...のですが
    そこには間宮中尉の手紙が重要な意味を持ってきます。

    間宮中尉は、先の本田さんとノモンハンで秘密作戦を決行した仲間でした。

    そこでロシア兵に見つかり、おぞましい拷問を見、
    井戸で生命を絞りつくされ、本田さんに救出されます。

    そして中国大陸で見た戦争の実態を細かに描写するのですが...

    ここで村上春樹が中国で人気なことを思い出しました。

    この作品では、日本兵が中国人にした(であろう)残虐な行為も書かれています。

    中国の方はこれを見てどう思うのだろう...
    それともその罪の行為があったことを悔恨の気持ちを持ってストレートに書かれた作品だから人気なのだろうか...

    純粋に気になったのでした。

    奥様はまだ見つかりません。

  • 1巻では不思議なことが起きてはいたが、まだ現実の世界にいたような気がしますが、2巻では完全に違う世界が出てきます。現実とそうではない世界の境目がなくなっていってしまうのは読んでいて、とても怖い気がしましたが怖いけど、続きが気になって読んでしまいました。
    抽象的でよくわからないのに、飽きないのはすごいと思います。

  • 数年前に、図書館にあった1巻のみ借りてそのままだったが、米国に来てからむしょうに村上春樹が読みたくなり、手に取ってみた。

    こちらの図書館で英語版とちらっと読み比べてみたが、どんなにうまく翻訳してあっても、その言語が運ぶニュアンス、思い起こさせるイメージはずいぶん異なるものだと実感。
    やはり原書である日本語で読んでよかったと思った。

  • 失踪したクミコ。加納マルタの予言。綿谷ノボルとの対談。

    そして井戸の底へ。

    物語はどんどん奇妙な方向へと進んでいく。

    でもSF・ファンタジーという感じがしない。正確にはファンタジーを読む感覚で読むことができない。

    妙にリアルで読んでいるうちに不思議な気持ちになってくる。

    これが、村上ワールドの真骨頂。

  • つまりは加納クレタはふかえりなんだなー
    こうしていま読んでみると、
    1Q84との共通点とか、一貫したテーマとかがよくわかる。

  • 歴史が苦手で避けてきた私に、勉強し直したいと思わせてくれた。

  • 一部が説明的であった分、この第二部『予言する鳥編』は、物語が温度や感触を孕んだ具体性をもって動き出したようだ。

    井戸の中で顔の"徴"とともに得たものとはなんだったのだろう?

    複雑にいりくんだものが、実はごく単純でシンプルなものだけで構成されていると気づいたときのような感覚。


    良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られる、のだから。

  • 少しずつ色々な物事が繋がってきた第二部。起承転結でいえばまさに承の部分だ。

    あまりまともとは言えそうにない身近な人びとの中で、唯一まともそうに見えるのが笠原メイ。でもその笠原メイでさえ本当は問題を抱えてる。でもきっと多かれ少なかれ人はみな問題を抱えているのかもしれなくて、まともそうに見える人もまともじゃないかもしれないのだと思う。

    あるいは、クミコを例に取れば、大切な人の事をどれだけ理解しようと努めても、結局のところそれはその人の表面のごく一部ににすぎないのかもしれない、という部分は自分自身ずっと前から感じてた違和感でもある。


    どんなことも起こり得るし、どんな選択も可能だ、ということはこの小説から強く学び、今では自分の思考に強く根付いてる。

    とにかく今の自分を形成するにあたってとても重要な一冊。その第二部。続きが気になる!

  • 第3部に

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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