村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001456

感想・レビュー・書評

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  • 言語で分析する方法は、下手をすると、傷を深くするときがある、と河合隼雄が話していて、逆に言語化することで、意識してなかったらことに気付くことで傷が深くなるのか、と思った。
    伝えるのが苦手なのに辛いことがあると頑張って何を悩んでるのか言語化しようとしてたけど、無理に言いたくないことは言わなくていいって言ってくれてる気がして気持ちが少し楽になった。

  • もう二十年近く前の対談で、話題にのぼっているのは阪神大震災とオウムの地下鉄サリン事件。でも本質的な議論は時が過ぎても色褪せない刺激を持つことを再確認。とりわけ本書の最後にとりあげられる暴力性の問題は、2017年の現在、改めて問い直されなければならないのではないだろうか。

  • 夫婦の「井戸掘り」。「ねじまき鳥クロニクル」を読んでみたくなった。

  • 村上春樹と河合隼雄の、この風通しの良い感じ。明晰な知性と、人生をきちんと生きてきたひとの持つ寛容さ。ほんとうに大好き。

    自衛隊と平和憲法の矛盾についての河合先生のお言葉はもう、目からうろこ。あらかじめ矛盾をはらんだ存在としての人間を肯定し、ものの見方を問い直す姿勢に、加藤典洋の「敗戦後論」を読んでいて感じたもやもやがすっと消えた。
    矛盾をはらんだ存在としての人間、つまりひとは誤り得ることがほとんど運命づけられているという認識。
    日本の戦後について、60年代の学生運動についてのお話で、本質的な暴力性という話が出てきます。正しいことをしている、正しいことを成すために暴力を用いるのだ、という考えは単純であり、思想を超えた本質的な暴力性への認識がなければうまくいかない。わたしたちは自らの中の暴力性を考慮にいれて行動すべきである、ということ。自覚が大切なんだなあと思いました。自分自身をできるだけ正しく認識するための努力を怠ってはいけない。

    このお二人のお話は、物語の効力であったり、一見するとリアルさに欠けるような議題でも、なんというかリアルなんですね。それはこの二人がきちんと現実を、ノンフィクションを生きたうえでフィクションを捉えているからだと思います。

    で、耳が痛いなあと思ったことがふたつ。

    ・生きた人間でないものにエロス(求めること)を向けることは一概に良い悪いと判断出来ることではなく、結局はその人がどういう生き方をしていくかという問題である。ただ、自分が何をしているか、自分のしていることがだれに害を与えるかについて常に考えておくべき。個人の責任の問題として。
    ・苦痛の無い正しさに意味はない。苦痛の引き受け方。何はともあれまず行動、ではなく、どうすればその正しさを自分自身のものとして身につけられるか考えなければならない。

    わたしはこのお二人の言葉を読んでいると背筋が伸びるんです。気を張るという意味ではなく、人生にゆるく寄り添いながら、自分の道を探す。誠実さと正しさを持つべき場所をしっかり持つ。そんなことを思います。

  • ちょうど、ねじまきクロニクルを書き終わった後くらいの対談。村上春樹がニューヨークに住んでいたとき、河合隼雄をたずねたらしい。ほぼ編集なしむき出しの対談とのことである。深い話がたくさんあった。でも、対談集って難しい。結構読み終わると大部分忘れている。文に起こされていたとしても、会話って忘れやすいものなのかもしれない。その中でも印象に残っていたのは、欧米人と日本人との言葉に対する認識の違い。徹底的に言語化する欧米に対してあいまいさや言葉にできない何かを持っている日本人。とかく、欧米的なものを是としがちな昨今にあってあいまいさの肯定は力強かった。

    • christyさん
      大分前に読んだので、内容はうろ覚えなのですが、Rタさんが書かれているようにとても深い話をしているなあという印象が残ってます。いい対談だったな...
      大分前に読んだので、内容はうろ覚えなのですが、Rタさんが書かれているようにとても深い話をしているなあという印象が残ってます。いい対談だったなあと。そして、なんかとても深いところで共鳴していたなあと。久しぶりに読んでみたくなりました。村上春樹は何冊もtryして全部途中で挫折しているのですが、この本などの小説以外の本がとても好きな作家さんです。
      2011/12/15
    • Rタさん
      christyさん
      村上春樹の小説は僕も実はさほど好きではないのですが、対談とかエッセイとか言ってることは非常に面白いので魅力的な人だと思い...
      christyさん
      村上春樹の小説は僕も実はさほど好きではないのですが、対談とかエッセイとか言ってることは非常に面白いので魅力的な人だと思いますね。
      christyさんの本棚で河合隼雄は結構あって、気になってはいましたが、なかなか凄いひとですね。今度著書読んでみます。
      2011/12/20
  • 村上春樹氏が「ねじまき鳥クロニクル」を書き終えた直後の対談。ねじまき鳥は高校生の頃に読んで印象深い物語だったので、その話が度々出てきてその当時の自分を思い出した。頭の記憶と言うよりは、この中で村上氏が言っているように身体のリズムが思い出させたのだろう。この本自体も昔読んだような気がするが、当時はあまりピンと来なかった。けれども病院で働くようになって、臨床の仕事を何年もやるようになると河合隼雄氏の言っていることが響いてくる。そういうことがあるのだ、ということに共感する。欄外にある書く対談内容の個別の意見は読みにくい。それ以外はとても興味深い対談。

  • 村上春樹さんの本を読むようになったのはかなり大人になってからですが、その世界観に学生時代学んでいた事(社会学)が重なりあう気がしていました。
    河合隼雄さんとの対談の中で、まさにそれらが語られていたし、この方が小説を書かれるモチベーションの部分が、子どもの頃好きだった吉本ばななさんとも重なり、後に吉本さん自身も村上春樹ファンだと知り、とても納得がいきました。
    河合隼雄さんは、その後、吉本ばななさんとも対談されています。

  • 今、だからこそ読んでほしい。

    ねじまき鳥クロニクルのことについて多くの記述があったので、
    まずはそっちを読んでから全部読もうと思います。

    途中まで読んだけど、かなり面白いです。
    対話形式なのでスルスルと、
    まるで村上さんと河合さんと3人で一つの部屋にいるみたいに
    読めます。

    特にコミットメントとデタッチメントの話が興味深かった。

    引きこもりながらネットばかりやってるなんて若者が急増している今は
    デタッチメントでありながらコミットを求めてやまないという矛盾の中にあるのかな。

    とか、
    あぁ、3人で語れたらどんなに楽しいだろう!
    と思いました。笑

    河合さんの、
    なんでも『裏返し』というのは、その元のものとほとんど変わりはありません。
    て言葉にもハッとさせられました。

    読み終わったら少し何かが変わってそう。
    そんな本です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「て言葉にもハッとさせられました。」
      もう少し長生きして、若い人を、ハッとしたり、ドキっとさせたりして欲しかった。。。
      「て言葉にもハッとさせられました。」
      もう少し長生きして、若い人を、ハッとしたり、ドキっとさせたりして欲しかった。。。
      2012/09/04
  • 井戸に入る

  • 1995年11月の対談とのことだが、現代の話として聴いても少しも違和感はない。もちろん道具立てとして、スマホやSNSは無いのだが。
    人生相談の話が妙におもしろかった。

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