- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001609
作品紹介・あらすじ
ふかえりはきっと特別な存在なんだ、と天吾はあらためて思った。ほかの少女たちと比べることなんてできない。彼女は間違いなくおれにとって、何らかの重要な意味を持っている。それなのにどうしてもそのメッセージを読み解くことができない。ー『空気さなぎ』、宗教集団さきがけ、リトル・ピープル、そして夜空に浮かぶ月。謎に満ちた「1Q84年の世界」を生きる天吾と青豆の運命は―。全6巻の文庫版、第2巻。
感想・レビュー・書評
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〈4-6〉後編2では、「一九八四」について多少の記述があり、関係性を仄めかす感じ。ビッグブラザーの対比?としてのリトルピープルの存在が、ふかえりの「空気さなぎ」等から明らかになっていく。
ふかえりが両親と共に所属していた組織「さきがけ」、そこから発生した過激派グループ「あけぼの」。この「あけぼの」と警察との武力衝突が、青豆の記憶にない1Q84での出来事の象徴となっている。
月が二つ均衡を保つ1Q84、これは空気さなぎの世界観でもある。
「一九八四」が、ビッグブラザーをストーリーの中に充満させていた重量感を思うと、リトルピープルの象徴的な表現がもの足りなさを感じる。
まだまだ続くんですよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前回読んだのは多分15年くらい前だと思うが、意外と細かいところまでよく覚えている。いつもは読んだ内容はわりとすぐ忘れるので(ミステリーのトリックや犯人だって忘れちゃう)、やはり自分にとってインパクトのある作品だったんだなと思いながら、懐かしく面白く再読中。一番たくさん読書していた頃に読書記録をちゃんとつけておいたら、感じ方・考え方の変化がわかって良かったかもな。
この巻では、青豆さんが自分の陰鬱な生い立ちを思う第21章「青豆 どれほど遠いところへ行こうと試みても」がとても好きだ。「自分が手にしているもののほとんどは、その暗い土壌に根を下ろし、そこから養分を得ているみたいに思えた。どれほど遠いところに行こうと試みても、結局はここに戻ってこなくてはならないのだ。」
書かれていることは暗く重たいはずなのに、読んでいると不思議と安心感や嬉しさがある。作者が人の深い思いを漏らさず掬いとって丁寧に言葉にしてくれているのが伝わってくるからかもしれない。 -
インセインとルナティック。
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Audibleで聞く読書。
10年ぶりに足を踏み入れた「1Q84」の世界は、新たな発見の連続だった。
一回読んだはずだが、忘れてしまったこと。
なんとなく覚えてはいたが、改めて気がついたこと。
杏が朗読する青豆の世界。
柄本時生が朗読する天吾の世界。
交わるはずのない二人の世界が少しづつ近づいていく。
幼き時に家族と別れる決断をした青豆は、必要最低限の人間関係の中で生きてきた。
だが、数少ない大切な人と悲しい別れを経験しなければならなかった。
そのことがきっかけに、もう一つの仕事の世界に足を踏み入れることになる。
予備校で数学の教師をしている天吾にも、幼少期の辛い体験があった。
数学の世界にのめり込むこと。
結論のない文学の森に入り込むことで、これまでバランスを保って生きてきた。
二人はそれぞれの生きる現実で、抗いがたい大きな出来事に巻き込まれていく。
優れた文学作品は、それを読むこと自体が人生の追体験になる。
世界を魅了し続ける村上春樹の世界に浸る幸せを感じる。 -
全部で6冊あるうちの2冊目。
362ページ。先が気になる度★4。
先が気になる度が★5に近い。
どうなっていくんだ…。
謎の扉がどんどん現れて床には鍵が散らばっているような感じ。早く手にとって扉を開けたい。
比喩表現は真似しようとしてもうまくできないかは村上春樹氏はやっぱすごい。
以下ネタバレ!!!
↓
青豆と天吾がどう接点を持つのかと思ったら、小学校が同じで青豆が天吾に片思いをしていた!
探そうとせずたまたま再会するのを待っているらしい。
果たして会えるのだろうか…。
「一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。たとえその人と一緒になることができなくても」
すごく良い。
【登場人物のメモ】
青豆(あおまめ)
母親に宗教(証人会)の勧誘を手伝わされていた。
小5で両親と袂を分かち母方の叔父の家に行った。
川奈 天吾(かわな てんご)
小5でプチ家出をしてから集金を手伝わなくて良くなった。
彼女を作ったり就職したりという責任があるものから逃げて生きている。
つばさ
青豆編に出てくる少女。
宗教団体から逃げてきて保護された。
レイプされていた形跡あり。
言動や見た目の描写がふかえりっぽい。
【内容メモ】
青豆と天吾視点。
青豆は月が2つあることに気づきパラレルワールド1Q84年であることを確信する。
ロリコンレイプ魔を暗殺するために宗教団体のことなど調査し始める。
天吾は美少女ふかえり名義で小説を応募し賞をとった。
ふかえりが消息不明になり色々とやばい状況になるのではと心配になる。
天吾の世界は月が1つだけなので1984年を生きている。
次へ続く!!! -
ナゾが少しずつ解決されるようでされない。
美少女ふかえりが書いた(実際は天吾が文を整えた)「空気さなぎ」は予想通りベストセラーになるが、ふかえりは失踪。彼女を特別な存在と思うようになっていた天吾は動揺するが・・・彼女の親は、カルト教団「さきがけ」の関係者らしい・・・
一方、青豆は婦人警官のあゆみとチームを組んで男を探し、定期的にワンナイトラブの関係を持っていた。
この人だけを愛していく、10歳の時にそう心に誓いながらその人には会わず、愛のない行為を欲する青豆。青豆が殺し屋になった経緯が明らかになり、さらに「さきがけ」の被害者と思われる少女つばさの登場で、本格的に「さきがけ」についての謎に迫る4月-6月。
地元の図書館にはこの巻ばかり4冊もあって、他の巻が全然見当たらないのですが・・・
カルト教団と言えば日本ではオウムが一番そのイメージが強いけれど、青豆の両親が入信していたエホバの証人も職場柄たまに耳にします。輸血を拒み、現代医療をもってすれば助かる命をむざむざ散らす・・・
「シーラという子」「Itと呼ばれた子」など幼児期に虐待を受けた子達のお話は読んでいて気分が沈みます。虐待の発端として、狂信的宗教に親がのめりこむというのは意外に多く「ジェニーのなかの400人」のようにその教団信者らの手によって延々虐待され続けた結果、人格が400以上に分裂してしまった人も中にはいます。
リトルピープルは実在する、空気さなぎも実在する、、、
このお話はどう終焉を迎えるつもりなんでしょうか。。 -
「世界というのはひとつの記憶とその反対側の記憶との果てしない闘いなんだよ」とあゆみに言わせた真意はなんなのだろうか。
アンダーグラウンドの執筆を通して、「悪しき物語」に対抗するための「善き物語」を自分が作り続けなければならないと村上自身が感じたのだろう。
遺伝子の乗り物に過ぎない私たちがなぜここまで苦悩し、奇妙な生涯を送らなければいけないのか。自分で選び取った人生のようでその実、「選ばされている」。人が運命を選ぶのではなく、運命が人を選ぶ。海辺のカフカや世界の終わりとハードボイルドワンダーランドでも見られたテーマがまた瀟洒な表現で語られる。 -
おもしろくなってきたーーー
作者と編集が色々頑張って描いたのかなぁ、っていう文章なのかなと感じました。
定期的に入る設定、条件の説明がかなり繰り返されますが、作者は説明が必要という脳みそにはなかなかならないと思うんですよね。(違うかもだが)
それにしても、天悟と青豆を交互にかきながら物語をびみょーーーーーに交差させていくの、すごいとしか言いようがないですね。
どっちかの話を書いて分割してたら書けないような構成だなと思います。