細雪(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005126

感想・レビュー・書評

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  • 古さを感じさせない。聞きなれない関西言葉に戸惑ったが、次第に馴染んでくる。関西上流社会の話ではあるが、昭和初期の街の様子なども知れておもしろい。

  • 上より中、中より下の方がページ数が多くて「大丈夫やろか?」と心配していますが、上を読み終えた段階では、早く次が読みたい気持ちでおり、いい感じです。

  • 長編小説。雪子の見合い話が中心のお話。あまり喋らないし、「ふん」が口癖。後半ようやく面白くなる。
    縁談の仲人夫妻は配慮がなくて、さらに相手方にも配慮がなかったりと落ち度が多い。さらにお見合いする前にはまず興信所で下調べするんですね。今も昔も変わらず配慮に関してはいろいろ考えねばなりませんね。中に続く。

  • 昔の有名な作家だから、と変な堅いイメージができてしまっていましたけど、やわらかくて読みやすいです。予備知識もなく読んだのと、名前がみんな「子」で終わるので最初は誰が何番目の姉妹なんだろう、と混乱しましたが、そんなのは物語に引き込まれ、すぐに慣れてしまいます。
    この作品は四人姉妹の日常がさっぱりと、かつ愛おしげに描かれています。いまのところ個人的には2番目の幸子が好きです。旧家の女性らしさもあり、明るく可愛らしさもある魅力的なひとだと感じました。
    祖父母の生まれる少し前の作品だと思うと感慨もより深くなります。私は好きな作品です。

  • わたしが読んだことがなく、生きているうちに必ず読もうと思っている作品は三つある。「レ・ミゼラブル」「カラマーゾフの兄弟」そしてこの「細雪」。
    谷崎潤一郎は美しい文章であるけれど、少し読みにくく感じた「春琴抄」があるため、読みたいけれど読むのを躊躇していた。それでも今読んでおかなければ、この先いつになったら読めるかどうかわからないため三冊まとめて購入。

    読んでみたら、物凄く読みやすく面白い。

    これに尽きる。
    わたしにとってはなかなかの一大決心で読み始めた「細雪」だけれど、躊躇うことなど何も無かったのだ。

    「こいさん、頼むわ。」
    この書き出しから一気に関西の上流家庭である蒔岡家に引き込まれる。

    船場の蒔岡家の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子。
    美しい四姉妹の次女幸子を中心に三女雪子の縁談と、奔放な四女妙子の行く末を描く。

    物語それ自体は難しいものではなく、四人の女性の心情や戦中の日本の世情などを描いたもので、文体も平易で美しい。
    物語の中心である幸子家族の暮らす蘆屋、花見に出掛ける京都などの様子が描かれ、「細雪」を持って作中に出てくる場所を巡ってみたくなる。

    読む手を止められないまま中巻へ。

  • 懐かしき昭和の生活、和風若草物語。

    なんとなく、読んでいなかったので手に取る。谷崎はこれを戦時中に書いたという。彼が求めた日本の女性の美とは。しかし、美人だけど内気で無口な雪子が縁付かないのを焦る姉の幸子というのも、とても昭和だなあ、とか。そんなぼんやりした読み方になってしまった。

    四姉妹なのでつい『若草物語』を思い出しますが、この三女は病気で亡くなりそうにはないですね。四女が奔放な印象なのは変わらないんだけど。そして、長女の影の薄さも。

  • それぞれ個性を持った四姉妹の話。三女の雪子がちょうど今の自分と同い年なので、この姉妹の中では一番身近に感じられた。おとなしいのに頑固なところもけっこう好き。
    次女幸子の娘の悦子もおませな感じでかわいい。雪子と悦子の叔母・姪関係も仲良くていいな~と思った。こんな姪っ子がいたら超かわいがる…絶対。悦子の作文の「うさぎの耳を足でつまむ姉ちゃん」がかわいすぎる。
    雪子のお見合いの話がメインっぽいけれど、その間に描かれている何気ない日常の場面の方が当時の生活をうかがうことができて面白かった。袋分け節約法ってこの頃からあったのか、とか。はじめの方で、音楽会に行くのに「袋帯がキュウキュウいう」といってあれでもないこれでもないと姉妹三人で帯を選ぶ場面も好き。みんなで京都にお花見に行くところも華やかで憧れる。
    書いているのは男性(谷崎潤一郎)なのに、女性の描き方が男性視点っぽくなくて、すごいと思う。しかも古臭い感じもしない。大変読みやすいのでサクサク進む。

  • (旺文社文庫版)
    谷崎さんは猫と正造と二人のおんなしか読んだことないんやけど、そのときとおんなしで関西弁のテンポのいい会話文に、一文は長めやのに無駄なくすーんと入ってくる地の文で、読みやすいです。知らなんだわ。

    雪子の縁談話を軸にした分家の日常みたいな感じでぬるぬる話が進むので、気楽に読めるしむしろトイレにおいといてもいいかもしれん。ていうかそれでまだ上巻やけんか知らんけど雪子の話が進まんくて話の中心というか盛り上がりが捉えにくい、ってかもしかして中心は幸子さんとこ夫婦か。あのふたり仲良しで、やりとり読みよったらほっこりしてくる。上巻の終盤はかなり大変そうなんやけど。
    ってか妙子さんは彼氏とどうなっとん

  • (2016.06.04読了)(2013.01.25購入)(2009.10.30・百十刷)
    登場人物たちを整理しておきましょう。
    中心となるのは、蒔岡家の四姉妹です。
    鶴子 長女、本家、大坂上本町在住、37歳
    辰雄 鶴子の夫、婿養子、銀行員
    幸子 中姉ちゃん、次女、分家、芦屋川在住
    貞之助 幸子の夫、計理士、商大卒、
    悦子 貞之助・幸子夫妻の子供、10歳
    雪子 雪姉ちゃん、きあんちゃん、三女、英文専修科卒、三十歳
    妙子 こいさん、四女、二十歳の時駆け落ち事件、人形制作、夙川に作業場、二十五六歳
    奥畑啓坊 貴金属商の倅、妙子さんの駆け落ち事件の相手
    井谷 神戸の美容院の女主人
    瀬越 MB化学工業勤務、41歳、雪子さんの見合い相手

    雪子さんと妙子さんは、次女で分家の幸子さんのところにいます。
    話は、幸子さんの家族と雪子さんを中心に進んでいます。雪子さんの役割は、幸子さんの子供である悦子さんのお相手ですね。
    妙子さんは、人形製作の仕事をしています。夙川にアパートを借りてそこを仕事場にしています。仕事が忙しくなると、仕事場に泊まり込んだりしています。
    二十歳の時に、駆け落ち事件を起こしていますが、駆け落ち相手との交際は今も続いており、姉の雪子さんが、結婚したら、結婚するつもりで、いわば順番待ち状態です。
    雪子さんと瀬越さんの見合いは、順調のようだったのですが、瀬越さんの母親の病気が、精神病らしいということで破談となりました。
    見合いの場合は、興信所を使ったり、お互いの身内のものが、相手のことや家族のことをしっかり調べたうえで結婚が妥当かどうか判断することになります。
    健康面が疑われる場合は、診断書を提出します。
    現在はどこまで行われているのでしょうね。
    幸子さんの隣の家には、ドイツ人が住んでいて、子供たち同士で仲良くなっています。
    妙子さんのお弟子さんには、ロシア人がいます。さすが神戸は、国際色が豊かです。まる
    幸子さんの春のイベントは、京都の桜見物ということで、かなり丁寧に書いてあります。日帰りではなく、何泊かするんです。
    本家の辰雄さんが、東京に転勤になり、一家で引っ越すことになりました。原則論に従い、雪子さんと妙子さんも、本家といっしょに東京に移ることになります。ただし、妙子さんは仕事の区切りがつき次第ということで、猶予がありました。
    雪子さんが東京に引っ越したら、悦子さんの寝つきがうまくいかず、手こずっています。精神科医を紹介してもらい、薬を処方してもらっています。
    雪子さんは、子供の扱いが上手なようで、東京の本家でも、子供の看病などで重宝されています。大阪に行きたくても、わがままを言える質ではないようなので、我慢しています。
    幸子さんは、二度目の見合いを口実に、雪子さんを神戸に呼び寄せます。
    二度目の相手は、四十代半ばの、妻に死別した人物です。
    雪子さんの見合いが迫ったころ、幸子さんは、流産してしまいます。二人目がなかなかできなかったので、せっかくの二人目を残念なことをしてしまいました。
    見合いの日取りを延ばし伸ばしにしたうえに、見合いの段取りも齟齬が重なり、破談となりました。
    流産後の、体調不十分なまま無理をしてしまった幸子さんの今後の成り行きが心配です。

    ●未年(26頁)
    関西では、未年の女は運が悪い、縁遠いなどと云い、殊に町人の女房には忌んだ方がよいとされているらしく、「未年の女は門に立つな」という諺まであって、町人の多い大阪では昔から嫌う風がある
    ●本家の家族(184頁)
    出立の日は、辰雄夫婦と、十四歳を頭に六人の子供と、雪子と、九人の家族が、女中一人と子守一人を連れ、総勢十一人で、大阪駅を午後八時半発の列車に乗り込むことになった。
    ●暖房(210頁)
    姉に云わせると、大阪の家庭で暖房ということがそろそろ普及し出したのは大正の末頃で、万事に贅沢であった父でさえも、居間に始めて瓦斯ストーブを引いたのは亡くなる前の年ぐらいであったが、それも、引いては見たものの上気せるといって実際にはあまり使わなかった。(平素は火鉢だけだった)
    ●個性(221頁)
    東京と云うとこは、女がめいめい個性を貴んで、流行云うもんに囚われんと、何でも自分に似合うもんを着ると云う風やさかい、
    ●家賃(222頁)
    五十五円という家賃

    ☆関連図書(既読)
    「痴人の愛」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1947.11.10
    「鍵・瘋癲老人日記」谷崎潤一郎著、新潮文庫、1968.10.25
    「源氏物語 巻一」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.06.10
    「源氏物語 巻二」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.07.10
    「源氏物語 巻三」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.08.10
    「源氏物語 巻四」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.09.10
    「源氏物語 巻五」紫式部著・谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.10.10
    (2016年6月5日・記)
    内容紹介(amazon)
    大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。

  • 春琴抄がすごく良かったので読んでいるが、非常に長く、また、あまり楽しめていない。面倒くさい人間関係の描写や、当時の優雅な生活ぶりの描写などは面白くもあるのだが、かといってこの分量を読む気力を湧かせるほどのものでもない。一旦寝かせる。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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