文豪ナビ 太宰治 (新潮文庫)

制作 : 新潮文庫 
  • 新潮社
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本棚登録 : 619
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006000

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治でまず思い出すのは「斜陽」の「ひらりひらり」とスープを飲むシーン。
    今でもキチンとした食事の席でスープを前にすると、ひらりひらりと頭の中でいってる。
    確かに導入部のインパクトは強いなあ。

    この歳になって太宰治から遠ざかっているのは、彼の本を読むと10代で初めて読んだ頃を思い出して体のあちこちがむず痒くなったり、重く痛くなったりするからだな。
    「ただ、一さいは過ぎていきます。」に微妙に励まされたあの頃。

    ただ、10代で太宰治の本を読むなら、先入観なく体当たりで読んで大きな衝撃を受けるべきと思う。「人間失格」なんかはとくに。
    こういうナビはとりあえず、あらすじ程度を読んで、読後の衝撃やモヤモヤをいろんな人の解説で解き明かしていくのが良さそう。
    10代ならそのモヤモヤは宝なので、無理に解釈する必要もないかも。

    重松さんと田口ランディさんの解説も楽しかった。そうそう!って。
    評伝は、太宰治の生活がウンザリするくらい詳細に語られるのだけど、ウルシだの源氏だのと例えが多くて返って分かり難いのは私だけかな。
    太宰治を取り巻く女性陣が究極のだめんずウォーカーであることはよくわかりましたが。

    「ぼくは、若いひとにとって”ひとりきり”の時間はとてもたいせつだと思っている。”ふり”をしなくてもいい、ひとりきりの時間にこそ、ひとは暗い自分や弱い自分と向き合えるはずだから。
    でも、”ひとりぼっち”にはなってほしくない。”ふり”に疲れて、そのしんどさを誰とも分かち合えずに、暗い自分や弱い自分に押しつぶされたすえにナイフを手に取るのなら・・・その前に、太宰治を、読んでくれ。」
    「絶望するな。では、失敬」

  • 書店に行って、あまりに欲しい本がないので買ってしまった本。
    太宰治は二十歳前後に筑摩書房の全集で読み、「書簡集」や太宰治の知人・評論家の関連本まで読んだ。

    しかし、ページをめくると太宰の「毒素」がカビ・ホコリのように部屋に「散乱・充満」し、この本はダンボール箱の中に‥‥

    「美しいものには、毒がある」

    太宰治は、自己責任で読むべし。
    数十年後、どう思うかが問題。

    この書店に行ったとき、山崎ナオコーラさんの「人のセックスを笑うな」をペラペラめくったが。

    だめですね、年代的に‥‥
    絲山秋子さんが、限界かも‥‥

    しかし小説は、これでいい。
    大体、俺は「未来に希望」を持たないので「回顧趣味」が高すぎる。
    太宰治は、思い出すのも怖くなった。
    俺は太宰治を読むと、ナイフが自分(読者)のクビに当たってしまうのを再認識した。

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